第三話 初めての発見、森は台所
(さて、飛び出したはいいものの何を作ろうか?)
「ん~......!やっぱり転生前作る予定だった、オムライスだな!」
『クルッ!』
ソラがパッと羽を広げる。
完全に理解している顔だ。
….…食い物のことは察しがいいのか。
「とはいえ......」
俺は腕を組む。
「材料がない」
『......クルゥ?』
「いや、卵は必須だろ。オムライスなんだから」
ソラは少し考えてから、くいっと森のほうを向いた。
「あっちにあるって言いたいのか?」
『クルッ!』
自信満々。
「案内頼むわ、先輩」
♦
森の中に入ると、すぐわかった。
――ある。
森のにおいを吸い込みながら、俺は手を軽くかざす。
「《調理魔法〈クッキング・アルケミア〉》!」
薄く広げた瞬間、甘くて柔らかい"味の色”が上のほうに浮かんで見えた。
「......木の上か」
『クル』
ソラも同じ方向を見いている。
枝の先。
葉の影。
そこに――
「お、あった」
白くて丸い塊が、いくつもぶら下がっていた。
綿みたいにフワフワしている。
「......これが卵?」
スキルを強めに発動すると、情報が流れてきた。
|焦げにくい
|加熱するとふわふわに仕上がる
|濃厚な味わい
「なんだこのオムライス専用みたいな卵は!?」
『クルッ!』
ソラが得意気に鳴く。
(お前が作ったわけじゃないだろ)
枝を軽く揺らすと、卵がふわっと浮いた。
「......落ちない?」
手を差し出すと、
ポスッ、と軽い音を立てて手のひらに収まる。
「軽っ!」
普通の卵の半分以下の重さだ。
(割れる感じもしないな)
軽く押してみる。
ぷに。
「......なんだこれ」
『クル?』
「いや、食材っていうか生き物みたいな感触だ」
でも、スキル判定は完全に食材。
危険性ゼロ。
「ま、ありがたく使わせてもらおうか」
袋に入れると、ほとんど重さを感じない。
木を見上げながら、俺は少し考える。
「......この島、料理人に優しすぎないか?」
魔力が濃い。
食材の気配が至る所にある。
素材の質がいい。
「まるで、最初から”料理しろ”って言われてるみたいだな」
昨日の神様の顔がふと浮かんだ。
(......あの神様、絶対なんか知っている)
「ま、いいか」
俺は、卵の入った袋を軽く持ち上げた。
「とりあえず第一素材、確保!」
『クルッ!』
「つぎは――」
俺は森の奥を見る。
「中身だな」
オムライス作りは、まだ始まったばかりだ。




