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42 使者(白)

ここからしばらく(白)になります。

「みんな〜、今日も来たぞー。」


「お兄ちゃんだ!!」


 帝国に帰ってきたヴァルスは怪我で休みをもらっているため、毎日のように孤児院を訪れていた。


「ヴァルスさん、リーシェは?まだ帰って来ないの?」


「まだ帰って来てないよ。いつ帰ってくるか分からないけど、必ず帰ってくるから良い子にして待ってような。」


《はーい》


 ヴァルスは不器用ながらもリシェルの残したメモを使って子供たちの相手をした。




「はぁ…疲れた。」


 帰り道を歩くヴァルスは疲労困憊の顔でリシェルを思い出していた。


「アイツ、仕事の合間にあんな事を毎日やってるのか…どんな体力してるんだ。」


 子供達の相手をする大変さを身をもって体験したヴァルスは愚痴をこぼす。


「ああ…そういえばセルタスさんに呼ばれてるんだった。早く行かなきゃ。」


 セルタスとの約束を思い出したヴァルスは急いで基地に戻った。




「ヴァルスです、失礼します。」


 時間より少し前に着いたヴァルスはセルタスの部屋の扉を叩いてから部屋に入る。


「ご苦労様です。腕の調子はどうですか?」


「はい、順調に回復していっています。それより…そのお方はどなたですか?」


 ヴァルスが部屋に入ると、セルタスとは別にもう1人の知らない人がいた。


「お初にお目にかかります。訳あって自己紹介は省かせていただきますが、私は桜田様の使いの者です。主人からの伝言を伝えにきました。」


 使いの男は丁寧な口調でお辞儀をしながら話す。


「手短に伝えますね。ヴァルス・アラムド様、貴方を今回の『世界議会』に招待させていただきます。是非、ご参加を検討ください。」


 それを聞いたヴァルスは驚愕の表情を浮かべる。


「俺が議会に!?確かに帰り際に桜田さんにそんな事を言われた気がしますが…本当に行っていいんですか?」


 ヴァルスは半信半疑で質問する。


「はい、今回は桜田様の随行者として参加していただきます。では、参加するという事でよろしいですね?」


「は、はい。お願いします。」


「かしこまりました。では、2週間以内に再度連絡いたします。連絡し次第、すぐに会場へ向かいますのでご準備をお願いします。それでは、失礼致します。」


 その男はそう言って去ってしまった。

 男がいなくなったのを確認すると、セルタスが口を開く。


「よかったですね、もしかしたら貴方の夢が叶うかもしれませんよ。」


 セルタスはヴァルスの夢を知っているが故の発言をした。


「はい、そこには皇帝陛下もいらっしゃる筈です。その考えを聞くこともできるでしょうし、気を引き締めて行ってきます。」


 終戦という巨大な目標に対してとっかかりがなかったヴァルスにとってはこの機会は僥倖と言わざるを得なかった。


「そうですか、まぁ私にとってはどうでも良いのですがね。それよりヴァルス君、リシェル君がいない今、彼女の分まで君に働いてもらいます。孤児院の仕事は当然ですが、書類仕事もやっておいて下さい。君の机の上に置いておきましたから、今日中に済ませておくように。」


 そう言ってセルタスは書類の束を机の上に叩きつける。

 しかし、それを見たヴァルスは狼狽する。


「ええ…」


 ヴァルスはその日一日、2人分の仕事を徹夜でこなす事になった。




ーー次の日ーー


「ヴァルスくん、おはよー。良い朝だねー、今日も元気ー?」


 ヴァルスが朝食を済ませて基地の廊下を歩いていると、ンレナに声をかけられる。


「ンレナさん、おはようございます。はい、怪我の方は順調に回復して行っています。」


 ヴァルスは怪我をした腕を見せながらそう言った。


「そっかー、よかったねー。それで、リーシェちゃんはまだ帰ってきてないのー?」


「そうですね、何の連絡もありません。今度、桜田さんに会った時に聞いてみます。」


「ああー、そう言えば『世界議会』に参加するんだったねー。よかったじゃん、そこで皇帝陛下を暗殺しちゃえば、君の願いは叶うって事だしねー。」


 ンレナは突然とんでもないことを言い出した。幸い周りに誰もいなかった為何も起きなかったが、ヴァルスは肝を冷やした。


「ふぅ…ちょっとンレナさん、滅多な事言わないで下さい。他の誰かに知られたら、貴方もタダではすまないでしょう?」


 しかし、ンレナはいつも通りに能天気な表情を崩さない。


「そうだねー、でも私はどうでもいいんだもーん。君の願いも、皇帝陛下の事も、可愛い女の子以外は興味なーし。」


「はぁ…いつも通りで安心しましたよ。では、俺は訓練がありますのでこれで失礼します。」


「はーい、頑張ってねぇー。」


 ヴァルスは、ンレナと別れた。


 いつもの訓練施設で武器を振っているヴァルスは、考え事をしていた。


(世界議会…一体どんな会議が行われているのだろう。終戦への糸口が見つかればいいんだけど……そして、全ての元凶である皇帝陛下…ヤツの顔だけはこの目に焼き付けておかないと…)


 ヴァルスの振る剣に力が籠る。そしていよいよ、『世界議会』が幕を開ける。

無駄な事はせずに本題に入りましょう。

次回以降、いよいよ『世界議会』が始まります。

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