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AO 決意(黒)

「そう言うわけで、私は若頭になった。これからもよろしくな。」


「そう言うわけで…じゃないですよ。姐さん、私が寝てる間に腕も治ってるし、本部で一体何があったんですか!?」


「なるほど…おめでとうございます。まぁ私にとっては興味に欠ける話題ですが。しかし、腕が完治した事に関しては詳しく知りたいですな。」


 立松の突然の報告に香夜は驚きを隠せない。道草は興味が無さそうに反応する。


「…色々あってな。しかし、詳しい事は話せないから、お前たちは気にするな。」


「ねぇ、若頭って何?役職?」


 何も知らないリシェルが質問する。


「リシェルちゃん、若頭って言うのは組員のまとめ役。そして組長に次ぐ、組織のNo.2の事だよ。」


「ま、ママが組織のNo.2!?凄いじゃない!!こんなに大きな組織のNo.2なんて!!おめでとう!!」


 素直に称賛するリシェルだが、立松の表情は硬かった。


「ああ。だが、柏木組は今ガタガタだ。立て直すために私も奔走しなければならない。今まで以上に忙しくなる。怪我が治ったら2人にも協力してもらうぞ。」


「もちろんよ。姐さんを支える為に早く治さなくちゃね。」


「了解ですぞ。」



 そして、立松は少し間を置いてから2人に話しかける。


「それと、お前たちにも伝えたい事がある。私と松林のカシラと話し合ってな。まず道草、お前は幹部に昇格させる。理由は言わずもがな、お前の強さだ。それと、今回の件で幹部が減ってしまった穴埋めだ。これからは幹部会にも参加するように。」


「ははっ!!この道草、若輩者ながら柏木組の発展に尽力する事を誓いましょう!」


 いつもの調子を取り戻した道草は敬礼しながら大声で答える。


「次に香夜。お前は2年目だが、ハッキリ言って優秀だ。強さも頭の良さも他の若手とは一線を画す。だから、私の直属の護衛に任命する。私の護衛を含めた雑務や中継役をやってほしい。役職としては若頭補佐と言ったところか。」


「私が若頭補佐!?うーん…でも確かにそれなら姐さんと一緒にいられる…よし!!その役目、引き受けます!」


 ベッドの上で殆ど動かない状態の香夜も元気に返事をした。


「うむ。2人ともよろしく頼むぞ。それと、約一週間後に襲名式がある。後で連絡が回ると思うが、先に伝えておこう。では、私はこれで。」


 そう言って立松は病室を後にした。


「姐さんも色々と忙しそうだね。私も早く復帰しなくちゃ。」


「女神よ、無理はいけませんぞ。怪我を治す事が最優先です。」


「分かってますよ。医者にも1ヶ月はこのまま寝たきりだって言われましたからね。武闘派として復帰できるのはもっと先になるでしょうね。」


「みんな色々と大変なのね。私はあの子達が心配。レムナやヴァルスに任せて大丈夫かしら…」


 リシェルは帝国に残してきた孤児院の子供達の心配をしていた。



ーー1週間後ーー


「では、準備もあるからそろそろ行ってくる。リシェルは香夜と一緒にいてやってくれ。モニターで映像は見れるはずだ。」


「うぅ…私も何とかして行きたかったけど、医者から許可が出なかった…」


「お姉ちゃん、もう諦めて。それじゃあママ、行ってらっしゃい。」


 そう言ってリシェルは立松に手を振って見送った。


「はぁ…行っちゃった…姐さんの晴れ姿見たかった…」


「まぁ、ここでも見れるからいいじゃない。」


「それはそうだけど…」


 へこむ香夜をリシェルが励ますが、あまり効果がない。そして香夜は、ふと気付いた様にリシェルに問いかける。


「そう言えばリーシェはずっとここにいるけど、東に戻らなくていいの?一応帝国の軍人なんでしょ?」


 リシェルが組に出入りするようになって1週間、香夜とは沢山の話をして組員の何人かとも仲良くなっていた。

 西から東へ携帯は繋がらない。3日前にリシェルの元をレムナが訪れ、どうするかと聞かれたところ、しばらくは残ると返事をした。そして、孤児たちについても2人に任せるような伝言を伝えて、レムナを見送っていた。


「しばらくはここにいる事にしたわ。ママの影響もあって、こっちの方が居心地もいいしね。」


「そうなのね。ねぇリーシェ、もし良ければウチに入らない?私は一緒にいて楽しいし、何より姐さんもそれを望んでるんじゃないかな?」


 それを聞いてリシェルは笑顔で答える。


「確かに、ママやお姉ちゃんのいるこの柏木組こそが私の本来の居場所だと思うわ。でもね、ママより先に私を守ってくれるって約束した人がいるの。それに、あの人の夢を私も一緒に追いかけたい。だから、柏木組に入る事はできないの。ごめんね、お姉ちゃん。」


 その固い決意を見て香夜も笑顔になりながら答える。


「うん、とっても素敵ね。その真っ直ぐな目、やっぱりリーシェは姐さんの娘だわ。でも、その人とはいつか…いえ、今はそんな話する必要無いわね。それより、モニター付けてくれる?まだ始まらないと思うけど、他の組の人たちを見れるかもしれないからね。」


「分かったわ。」


 リシェルは手元のリモコンで目の前の大きなモニターの電源をつけ、襲名式の様子を眺めた。

リシェルはまだ知らない。目の前にいる血のつながらぬ姉と、自身の愛する男がいずれ本気の殺し合いをすると言う事を



次からしばらく(白)です。

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