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34 一蓮托生(白)

「ここか…」


「ええ、そうね。いきましょう。」


 2人はンレナからもらった地図に記された建物の前に来ていた。そこは中央部から少し離れた建物で目立たない場所に建っていた。外から見てその建物はボロボロで、何年も放置されているような古い建物だった。

 ヴァルスが扉を開けようとするが、建て付けが悪いのか非常に重かった。中には人がいる気配が全くなく、蜘蛛の巣も貼られ、まるで廃墟のような雰囲気だった。


「ねぇ、こんな所にその人がいるの?地図が間違ってるんじゃないの?」


「…うーん、合ってると思うんだけどな。とりあえず中を探索する。あまり時間がない。」


「そうね、どの道手掛かりはこれしかないんだし、手分けして探しましょうか。」


「いや、中の構造が分からないこの建物で2人ともバラバラになるのは危険だ。それに敵に入口を占拠されて挟み撃ちにあったら一貫の終わりだ。だから、俺が1人で行く。リシェルにはここで敵を見張っていて欲しい。敵が複数いれば、すぐに増援が来る。俺が岸を倒すまでここを死守してほしい。頼めるか?」


「了解よ。ここは任せて。何かあったらすぐに連絡ね。」


「ああ、頼んだ。だが、非常に危険な任務だ。…どうしても無理だと判断したら俺を置いて1人で逃げろ。」


「はぁ?何言ってんの?逃げないわよ、その時は少しでも敵を道連れにして貴方を生かすわ。」


 そう言ってリシェルはポケットから手榴弾を見せる。


「はぁ…分かった。でもそれは使わなくていい。ヤバくなったら俺のところまで来い。2人で逃げるぞ。」


「そうね、今日は一蓮托生よ。それじゃあ、頑張ってね。絶対生きて帰って来なさい。」


「もちろんだ。後は任せる。」


 そう言ってヴァルスはリシェルを置いて建物の奥へと進んだ。

 古い建物だが、中はそこそこ広く、多くの部屋があった。色々な部屋を巡って人の気配を確認するが、誰もいない。そしてとある角を曲がった時、最奥の大きな扉が見えた。ヴァルスはその扉を一目見てその危険さを悟る。明らかに他の部屋とは雰囲気が違い、扉も新しい。その部屋からは隠しきれない波動が漏れ出ていた。ヴァルスの顔に冷や汗が滲み出る。そして、深く息を吐いてから、扉に手をかけて部屋に入った。

 そこには黒スーツの偉丈夫が立っており、こちらに殺気を飛ばす。


「ここに来るとは、幹部の誰かを拷問して聞き出したのだな?外道どもが、ここで殺す。」


「貴方が岸龍司さんですね?少しだけ話しませんか?」


「外道と話す事など何もない。今すぐに殺してやると言う話だ。」


 話しかけるヴァルスに対して岸は対話を拒否する。ヴァルスも諦めて戦闘態勢に入る。


「残念です、本当は貴方も殺したくない。でも、俺は貴方を止めないといけないんです。」


 その瞬間に岸はヴァルスに向かって凄まじいスピードで突進した。

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