AI 分断(黒)
「クソッ!やはり罠だったか!」
香夜から影武者の報告を受けた品川は怒りを露わにする。
「品川の兄貴、早くカシラに連絡しましょう。」
「ああ、分かってる。クソッ!舐めやがって!」
そうして品川は松林に電話をかけようとしたその瞬間、ちょうど品川の携帯に電話がかかってくる。
「もしもし?カシラですか、今ちょうど電話しようと思ってたところです。実はここにいた田沼は影武者で…はい…なんですって!!…分かりました!すぐに戻ります!」
「兄貴、もしかして…」
「ああ、今、本部が襲撃されているそうだ。おそらくあちらが本命だ。俺たちも急いで戻るぞ!車を出せ!!」
それを聞いてホールにいた組員が一斉にホールを出始める。その中で品川は香夜と南を呼び止める。
「山下、南、お前らはここに残って後処理を頼む。」
「な!兄貴、俺はまだやれます!!俺も本部は行かせてください!!」
「だからこそだ。まともに動ける舎弟はもうお前しかいない。山下もその怪我だ。2人で死体と爆弾の後処理をしてくれ。頼んだぞ。」
「はい。分かりました。」
「ちょ、姉貴!!イタッ!」
「いいから言う事聞きなさい。」
「…はい、分かりました。」
香夜は最後まで反抗する南に無理矢理言う事を聞かせた。
そうしてホールから全ての組員がいなくなり、香夜と南は後処理を行なっていた。
「姉貴、いいんですか?こんなところにいて。今頃、組が敵に襲われてるんですよ。それこそカシラや立松の姉貴だって…」
「バカね。この後処理だって今誰かがやらなきゃいけない仕事でしょ?兄貴は病み上がりの私たちに気を遣ってくれたのよ。」
「それは分かってますけど…」
「…それよりも私の勘が言ってるの、ここにはまだ何かある。ここに来る前からずっと引っかかってる…こんな見え見えの陽動をヤツがするかな?…それに、カシラや監視員の人たちが田沼の顔を見間違えるかな?確かにアイツは服装が一緒だったけど、顔はあまり似てなかったわ。もしかしたら、まだここに…っ!!」
その瞬間、香夜は強烈な殺気を感じ、咄嗟に身体を捻った。撃ち抜かれた鉛玉は香夜の心臓を外し、怪我をした左腕に喰らいついた。
「姉貴!!」
「そこそこ頭の回るヤツもいるじゃないか。だが、中途半端に賢い奴が最も早く死ぬんだ。覚えておけ。」
銃弾の飛んできた方向から歩いてくる男が3人いた。2人は咄嗟に柱の影に隠れる。香夜はその場で服を破いて腕を止血する。
「グッ!…アンタが田沼…やっぱりここにいたのね。隠れるのがお好きなのかしら?」
「ああ、俺が田沼だ。だが、軽口を叩いている場合か?大人しく捕まると言うなら、両手両足を折るだけで許してやるが?」
「ならそれで…って言うわけないでしょ。アンタはここで殺すわ!!」
「やれるものならやってみろ、山下香夜。今日で柏木組は終わりだ!」
その瞬間、影から飛び出した香夜が距離を潰す。田沼もすでにナイフを抜いており、迎撃体勢に入る。しかし、香夜は途中で急ブレーキをかけ、ガーターベルトから銃を抜いて速射する。田沼は容易に回避しようとするが、香夜が狙っていたのは隣の男で、少し反応が遅れた男に銃弾が頬を掠める。
田沼も下がりながら既に銃を抜いており、撃ち終わりの香夜に連射する。さらに、もう1人の男もマシンガンを構えており、銃弾の雨を降らす。香夜は横に飛んで柱に回避するが、一発が耳に当たり、香夜の耳が弾け飛ぶ。
「チッ!」
「姉貴、大丈夫ですか?」
同じく既に柱の影に隠れた南が止血の布を渡す。
「はぁはぁ…ええ、大丈夫よ。それより、この状況で3対2は流石に無理か…敵を分断して闘うしかないわね。貴方が1人で私が2人よ。敵もおそらくそうしてくるはず。」
「はい、分かりました。姉貴、あの緑の服の男の剣技は一流です。気をつけてください。」
「分かったわ。それじゃあ、合図したら行くわよ。」
そして香夜は柱の影から飛び出して連射する。3人も後ろに下がりながら撃ちまくる。香夜も再び柱に隠れて、懐から閃光弾を取り出してピンを抜く。そして敵の前に投げつけ、目を瞑る。
すぐに閃光弾が炸裂し、辺りが真っ白に染まる。
「今よ!そこの扉から逃げなさい!」
その合図で南は間の扉から別の部屋に逃げる。
「バカが。逃げられるわけないだろ。おい、太田。ヤツを殺してこい。」
「えぇ…おーれですか?仕方ないですね…じゃあサクッと殺してきまーす。」
そう言ってマシンガンの男が南を追って扉に入って行った。
そして、残された香夜と堂島と田沼が対峙する。
「めんどくさいガキだな。さっさと半殺しにして連れて帰るぞ。最悪殺しても構わん。」
「はい。了解です。」
「さて、アンタたちが勝谷を殺したゴミクズどもね。仇はきっちり討たせてもらうわ。」
3人は殺意を爆発させ、臨戦態勢に入った。
田沼と堂島と太田はホールのどこかに隠れていました。松林と監視員が見た田沼は本物で、確実にコチラに戦力を割かせた上で、複数の爆弾と影武者によって罠である事を悟らせて撤退させる事まで全て読んでいました。




