33 健闘(白)
「はぁぁああ…ここは…」
目を覚ましたヴァルスは見知らぬ部屋のベッドにいた。そして隣ではリシェルがいつもの幸せそうな顔で熟睡していた。
「おいおい、何で隣で寝てんだよ。」
しかし、周りを見渡すが寝室と思われるその部屋に他のベッドは存在しなかった。
「…あの人、変な気遣いしやがって。リシェルが先に起きていたら俺が蹴り落とされていたな。…ん?」
その部屋の机の上に何かが置いてあった。ベッドから降りてそれを確認すると、1つの電話機と置き手紙と地図だった。手紙にはこう書かれていた。
ーーーーーーーーーーーーーー
それぞれの班ごとで家を手配した。
その時が来たらこの電話機に電話をかける。いつでも出られるように、2人交互に休憩を取る事。
家の中には1週間分の食料を置いてあるため、外には出ないように。
この家から本部までの道のりは地図に示したのでよく確認しておくように。
最後に、ヴァルスくんとリシェルくん、そういう事は程々にね。
桜田より
ーーーーーーーーーーーーーーー
「なるほど、しばらくはここでリシェルと2人暮らしか…こんな時にそんな事しませんよ。」
そう言って置き手紙を握りつぶして、リシェルの寝顔を確認する。
「まぁ、今は俺が起きてるからこのまま寝かせてやるか。…やっぱり、寝てる顔はめちゃくちゃ可愛いな…いや!ダメだ!トレーニングでもしよう。」
気を紛らわすために、ヴァルスはリビングへ行きトレーニングを始めた。
しばらくして、寝室からリシェルが出てきた。
「おはよう。他のみんなは?」
「ふぅ…ああ、班ごとで分かれているらしい。ここには俺とお前しかいない。」
それを聞いたリシェルは顔を赤らめる。
「貴方と2人!?へ、変な事したら殺すから!!」
「こんな所でしねぇよ。なに妄想してんだ。」
「いいや、貴方は以前私を縛りつけて凌辱したわ。信用できない!」
「あ、あれはお前が敵だったから仕方なくだろ。それに結局指一本触れてないだろうが!」
「私の尊厳は十分に犯されたわ。加害者は罪の意識がないものよ。とにかく、貴方はそこのソファで寝て。あのフカフカベッドは私が1人で使う。」
「はぁ…分かったよ。結局お前が気持ちよく寝たいだけだろ…それより、腹減ったから何か作ってくれないか?」
「別にいいけど、貴方料理も出来ないの?」
「料理ならできるけど、ちょっと疲れた。飯食ったら寝るから頼むわ。」
「こんな時でもトレーニングするなんて、ストイックね。まぁいいわよ。」
「悪いな。それに一度お前の手料理を食べたくてな。」
「何バカな事言ってるのよ。そんなの孤児院にくればいつでも食べれるわよ。」
「いや、数日後には戦いが始まる。俺とお前のどちらが死んでもおかしくない。だから、後悔がないようにってな。」
それを聞いたリシェルも暗い表情になる。
「そうね…でも、私はもう死なない。もちろん貴方も死なせないわ。2人で生きて帰りましょう。」
「ああ、そうだな。」
2人は束の間の休日を過ごした。
〜一日後〜
それは昼頃、机にあった電話機が突然鳴った。ヴァルスは急いでそれを取る。
「時間です。直ちに準備して、本部に向かってください。健闘を祈ります。」
それを聞いたヴァルスと音で起きたリシェルは急いで準備する。
「準備できたか?」
「ええ、バッチリよ。」
「よし、行くぞ!」
2人は家を飛び出して、柏木組の本部へ向かった。
ーー央共和国 同刻ーー
「さて、これで全員に連絡はついたかな。これからどうなるのか、非常に楽しみだ!」
「楽しそうね、慎吾くん。私にも何か楽しい話してよ。」
桜田が後ろを振り返ると2人の女が立っていた。
「母上か、驚かさないで下さい。それに雷も久しぶりだね。元気にしてたかい?」
「兄様、お久しぶりです。私はいつも通り元気ですよ。」
「ねぇ、そんな事よりここにレムちゃんの友達が来なかった?わざわざ会いに来てあげたのだけど。」
「リシェルくんの事?彼女ならもうここにはいませんよ。さっきちょうど柏木組に突入して行ったはずです。」
「柏木組?詳しい事は知らないけど、会いに行きたいから、ジェット機を手配しといてくれる?あそこチェックポイント作ってなくて。」
「うーん…俺としてはあまり母上には干渉してほしくないのですが…」
「別に争いに首を突っ込む気はないのよ。ただ、その子に会いたいだけ。」
「うーん、分かりました。ただし、一つだけ条件があります。」
「ん?何?」
「それは………………………………………………」
「ふーん。まぁ別にいいけど。顔写真はらいちゃんに渡しといて。私は覚える気ないし。それよりお腹空いたわ。行く前に何か食べさせてちょうだい。」
「分かりました。すぐに手配しましょう。雷はどうする?」
「私もいただきます。」
「なら俺も食べよう。久しぶりに3人でね。」
展開を早める為に日常編はカットしました。もうすぐ最終決戦です。




