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AF 爆発(黒)

 立松の部屋に呼び出された香夜は立松からの報告を聞いていた。


「香夜、お前が教えてくれたヤツらの拠点の制圧が完了したぞ。そこそこ大きな規模の拠点で、幹部クラスも捕まえた。そいつを拷問にかけて、様々な事を聞き出せた。」


 そう言って立松は懐から地図を広げた。そこには所々赤で丸が打ってあった。


「ここが聞き出したヤツらの拠点だ。全部で8箇所ある。これら全てに同時にカチコミをかける。実行は今日の午後からだ。お前はどうする?」


「立松姐さん、私も行っていいの?」


「正直言って気乗りはせんが、以前の襲撃でここにいても安全では無い事が分かったからな。今回も敵が我々のカチコミに気付いた途端、本部を襲撃してくる可能性もある。寧ろ我々が付き添うカチコミの方が安全だと判断した。あとはお前次第だ。」


「行く!私も少しでも役に立ちたい!」


「分かった。では、道草には私から連絡しておく。奴も怪我人だが、おそらく大丈夫だろう。南はもうすぐ退院だが、今回は留守番だな。」


 そう言って立松は道草に電話をし、香夜も闘えるように準備をして、午後を迎えた。


 3人は車で拠点まで向かっていた。その道中で、立松が作戦について話す。


「我々3人で1つの拠点を落とす。時刻は14時ちょうど、まず道草が外から舞台を起動させて敵を混乱させた後に3人で突っ込む。私が前に出て敵の注意を集めるから、香夜は自由に動いて敵を殺せ。道草は私たちの援護と、逃げ出した敵の殲滅だ。敵の幹部に出くわした場合は、道草に任せる。強敵が複数人いた場合や、勝てないと判断した場合は拠点に火を放って即座に撤退する。いいか、最優先は我々が生き残る事だ。その次に拠点の破壊、その次に敵の殲滅、最後に幹部の捕縛だ。分かったか?」


「はは!ばっちり理解しましたぞ。」


「…」


 香夜は下を向いて考えたまま、立松の問いに返答しない。


「おい香夜、聞いていたのか?」


「ん?あ、もちろん聞いてたよ。でも、すごく引っかかってさ。私たち柏木組と隣の佐々木組から追われて何年も潰されずに生き残っているヤツらが、こんなボロ出すかなって思って。」


「確かにそうだな…しかし、お前に言われた拠点にいたヤツらは間違いなく『憚』の構成員だったし、幹部の男にも違和感は無かった。それに、今回発見した拠点もボスのアジトなどの重要拠点ではない。下部組織はどうしても警備が甘くなってしまうのだろう。」


「うーん。でもまぁ、それしか情報が無いんだからやるしかないよね。うん!頑張ろう!」


「ああ…もうすぐ着くぞ。気合いを入れろ。」


 3人はとある廃屋に目をやる。そして、少し離れた位置に車を停めた。突入時刻まであと10分。


「私、何気にカチコミは初めてかも。」


「そうか、だが緊張しなくていい。今日は私たちがいるからな。お前はいつも通りやるべき事をやればいい。」


「そうですぞ、私が必ずお守りしてみせます。」


「はい。ありがとうございます。」


 そうして、程なくして車から降りて廃屋の目の前に着いた。


「道草、頼む。」


 そう言われて道草は地面に手を付く。すると方陣が起動して周辺が舞台に覆われる。同時に周りの温度が一気に下がった。

 その瞬間、立松が扉を蹴破って中に突入する。


「うお!なんだ!カチコミか!」


「柏木組か!!殺す!」


 中にいたのは『憚』の構成員たちで、突然の舞台にも動揺していた。敵が狼狽している隙をついて立松は既にナイフを抜いて敵の目の前にいた。そして凄まじいパワーで薙ぎ払われたナイフは1人の身体を激しく切り裂いた。

 しかし、ヤツらも武闘派であり、振り終わりの隙をついて銃を乱射する。

 立松はサイドに飛んで回避し、ナイフを投擲する。それは1人の男の脳天に直撃し、その男は即死する。

 次に2人が同時に斬りかかってくるが、1人は立松の右ストレートが顔面に直撃し、背中を狙ったもう1人は香夜が刀で両断した。


「姐さん、大丈夫?動き鈍ってんじゃない?」


「無駄口を叩く暇があったらお前も働け。」


「さぁさぁ、死んでください!」


 突入した3人は、数十人の敵を圧倒していた。


 半分ほどの敵を倒した後、奥の部屋からとある男が出て来た。その男は黒いコートを着ており、顔はフードで隠して見えなくなっていた。


「君ターチ、どうしてここが分かったのかね?まあいい。わたーしは『憚』のNo.2、太田界人だ。」


 変なカタコトのような話し方をする男は組織のNo.2であると名乗った。しかし、その男、太田が名乗っている最中に立松はすでに太田の懐を侵略していた。


「自己紹介とは律儀だな。死ね。」


「おバーカさんだね。ボン!」


 そう言って太田は立松を無視して地面に土下座するようにしゃがんで丸くなった。

 立松がナイフを振りかぶった瞬間、道草が叫びを上げる。


「2人とも!しゃがんでください!」


 そのあまりに緊迫した声に、2人は咄嗟にしゃがむ。その一瞬で2人の周りを分厚い氷が覆った。

 次の瞬間、施設の柱が爆発した。その爆風は中に残った構成員を吹き飛ばし、あらゆる物が破壊される。 立松と香夜はその爆風で外に吹き飛ばされる。最も爆心地から遠い道草は氷の壁によって爆風を防いでおり、無傷だった。香夜は吹き飛ばされはしたものの、氷のおかげで外に放り出されるだけで済んだ。しかし、立松は柱に最も近い位置だったため、氷で威力は軽減したが、割れた氷が身体に刺さり、施設の壁に生身で叩きつけられた。


「2人とも大丈夫ですか!?」


「イッタタ…ええ、私は大丈夫。それより姐さんは大丈夫!?」


「ああ、問題ない。かすり傷だ。」


 そう言った立松は頭や全身の所々から出血しており、特に爆風を庇った左腕は激しく損傷していた。


「隙あーり!」


 爆煙が晴れた時、地面にしゃがんでいた太田がナイフを抜いて立松に突っ込む。爆発で視覚と聴覚にもダメージを受けていた立松は反応が一瞬遅れる。そして、そのナイフは立松の腹に突き刺さる。


「グハッ!」


「ふーむ。良い腕ですね。」


「姐さん!!」


 立松の腹に刺さるナイフを持つ太田の腕は撃ち抜かれ、血が流れていた。

 刺される直前、香夜が銃を抜いて太田の腕を撃ちぬいていた。それによって太田は力が抜け、ナイフは浅いところで止まっていた。

 それでも、立松は激しく吐血する。しかし、立松はそのまま太田の腕を掴む。


「ゴフッ!掴んだぞ。」


「なーに!?ぎいぃいい!」


 その瞬間、立松が掴む腕に力を入れる。能力で強化された凄まじい握力によって太田の腕は悲鳴を上げる。たまらず太田は下がろうとするが、立松は離さない。太田は残った腕で立松の目を潰そうと指を突き出すが、立松は頭を捻って避ける。それと同時、立松の足が跳ね上がり、太田の股間を直撃する。


「コ、コヒュッ、ク、クソが!」


 たまらず太田は膝をついた。立松はトドメを刺すべく、右手を振りかぶる。

 しかし、その瞬間にどこから銃が放たれる。立松は咄嗟に横に飛んで回避した。そしてその方向から歩いてくる男が2人いた。1人は緑の服で日本刀を帯びた男で、もう1人は黒と紫のスーツの男だ。


「その怪我でも動けるとは、流石だな。」


「ハァハァ…ゴフッ!」


 腹を刺された立松は無理な体勢で回避した事で傷が開き、更に吐血する。

 歩いてくる2人の男を見た瞬間、香夜と道草は動いていた。道草は倒れた立松を即座に氷の壁で覆い、傷口を氷で止血した。香夜は日本刀を携えた男に突っ込んでおり、投げナイフを投擲する。

 その男は簡単にナイフを弾いて、香夜に突っ込む。2人が激突する直前、香夜が急に方向転換する。男が足元を見るとピンが抜かれた手榴弾が落ちていた。


「チッ!」


 気づいた2人は咄嗟に回避しようとバックステップを踏むが、道草の能力で咄嗟に氷の壁が背中に出現する。


「ふん、これはやられたな。おい、堂島。」


「はい。」


 回避が不可能と悟った2人は堂島が壁となり、田沼を庇った。

 立松の方へ急転換した香夜は、氷で覆われた立松を庇うように覆い被さる。

 そして、手榴弾が起爆する。凄まじい音と爆風が広がり、至近距離にいた堂島は背中にモロに爆風を受ける。背中は大量の破片が刺さり、出血は激しかった。

 香夜も近くにいたが、背中を氷で守られていたため、割れた氷が少し背中に刺さっただけで、軽傷ですんだ。


「小賢しいな…ゴフッ!」


「イタタ…本当はここで殺したいけど、今日はここまでよ!」


 香夜は爆煙が晴れる前に、懐から引き抜いた煙玉を地面に叩きつけたことで再び辺りが煙で包まれる。


「ふん、優秀だな。だが、この辺だろう。」


 田沼は煙の出現した方向からそこに向けて銃を乱射する。


「グッ!クソッ!道草の兄貴!」


「了解ですぞ!」


 道草は2人を氷で覆って自身の方向に引き寄せた。3人が入口付近に集まったところで、田沼との間に巨大な氷の壁を張って逃げ出す。舞台の外では氷が制限されるため、立松を道草が担いで逃走する。道草は最速で逃げるために、地面を凍らせながらスケートの要領で進む。香夜もそれに続いて3人は拠点から脱出した。


「道草の兄貴、すみません。助かりました。」


「いえ、それよりも立松の姉貴を医者へ運ぶのが最優先です。急ぎますよ。」


「ええ…姐さん、大丈夫?」


「…」


 失血によって立松はすでに気を失っていた。


「クソッ!アイツら嵌めやがったな!姐さん!死なないでね!」


 3人は車並のスピードで街中を駆け、本部は向かった。



 3人がいなくなった廃屋には、田沼と堂島と太田が残っていた。他の構成員は、爆破によって全て死亡していた。


「田沼さん…大丈夫ですか?ゴフッ!」


「イテテ、こーれは折れてるね。そーれよりも、堂島くん、君も相当に重傷だよ。はやく闇医者行きな。」


「太田お前もだ。早く病院へ行け、目障りだ。しかしあのガキ、あの状況で逃げを即決できる判断力、優秀だ。岡部が失敗するのも仕方ない。アイツを誘拐するのは骨が折れそうだ…ん?」


 そして、田沼の携帯に電話がかかってくる。


「ああ…俺だ。全部で…18人か…その内幹部が2人…まぁ十分だろう。それと、3日後に幹部全員で集会をやる。お前から幹部全員に伝えとけ、場所は東町の巨大ホールだ。」


 そう言って田沼は電話を切った。


「クフフフ…これでまたバカが釣れるといいんだがな…」


「集会場所にまた罠を仕掛けるという事ですね?」


「分かってきたじゃないか堂島。だが、今回は違う。罠ではなく囮だ。集会の1時間前に幹部全員に一斉メールだ。集会を囮に柏木組本部を落とすぞ。」


「なるほど、いよいよですね。」


「ああ、俺は1人で行くところがある。3日後の集会までに怪我を治しとけ。」


「は、はい…分かりました。」


「ボース、やっぱり厳しいね。おーれはしばらく休ませてもらうよ。」


「何を言っている?太田、お前も3日以内に治せ。あの時、アイツらから助けてやった恩を忘れたのか?」


「いやー、そーれを言われると何も言えないね。分かりましたよ、さぁーあ堂島くん早く病院へ行こうか。」


 最終局面へのカウントダウンが始まった。

立松

力属性 パワー型

握力の超強化

特質は視力


太田

力属性 ディフェンス型

一瞬だけ、爆発的に防御力を上げられる。

特質は味覚



次回から(白)と(黒)が行き来します。

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