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AD 奇襲(黒)

「女神よ!私が護衛の任を受けました。1週間と言わず、永遠に私がお守りしますぞ!早速婚姻届にサインを…」


「しませんよ。やっぱり人選ミスったかな…」


 香夜の病室にいたのは立松から護衛を頼まれた道草だった。


「それは、私が熱烈にお願いしたからですぞ。私以外に女神の護衛が務まる者などおりません。どうぞ、安心しておくつろぎください。では、サインを…」


「しません。はぁ…道草の兄貴が一緒なら外を歩いてもいいって言われちゃったからオッケーしちゃったけど…鬱陶しい…」


「この世のどこまでもお供しますぞ。いえ、たとえ地獄の果てまでも!」


「ありがとうございますー。じゃあ街の見回り行くのでついて来てください。」


「むむ!それはもしやデートのお誘いですか?」


「いえ、全然違います。」


「私はデートでなければ行く事はできません。是非、熱烈にお誘いください!」


「ええ…イヤです。早く行きましょう。」


「………」


 黙り込んでしまった道草に、香夜はため息をつきながら偽りの言葉を搾り出す。


「……わ、私とデートしてくれませんか?鞠夫(まりお)くん?」


「おおぉぉおお!!女神よ!私は嬉しいですぞ!!是非とも、私にエスコートさせてください!」


「わーい。うれしーなー。」


 嬉しさが爆発した道草は飛び跳ねて喜ぶ。それを見る香夜の目線は冷たかった。


 外に出た、2人はシマ内を歩いていた。香夜が向かう場所は、先日火事があった周辺。


「女神よ、ここは…」


「ええ、勝谷が殺された路地裏。純平によれば勝谷は火事で死にかけたおばあちゃんを救った後に襲撃されたって。最後まで、純平を逃すために頑張ったって。…ほんとに誇らしい同期だったわ。」


「…そうですね。私も彼の年齢でそんな事はできなかったでしょう。本当に惜しい人間を失いました。」


 2人は戦闘があった路地裏で、勝谷の事を思い出した。すると、奥から人が3人現れる。


「テメェが山下香夜だな?大人しくついて来い。そうすれば、半殺しで済ませてやるよ。」


「何で私の名前知ってるのかなぁ?私も有名になったねぇ。」


「ふんっ!そんな事言うわけねぇだろ。とにかく大人しくしろ。」


「いかにも三下っぽいセリフね。そんなのでついて行くバカがいるわけないでしょ。おわかり?」


「おい!人質だからって調子に乗るなよ。こっちは最悪殺しても構わんと言われてるんだ。」


「そっちの男は死んでもらうがな。」


 そう言って3人は武器を構える。香夜も咄嗟に臨戦態勢をとるが、隣にいた道草が前に出る。


「貴様ら、『憚』だな?私の可愛い舎弟を殺しただけでなく、私の愛する恋人までも殺そうとするとは…万死に値する!」


「いや、恋人じゃ」


 香夜がツッコもうとしたその瞬間、道草が右手を前に出して、氷塊を射出する。凄まじいスピードで放たれたそれらは正確に3人の急所目掛けて発射されており、3人は何が起こったか分からずに即死した。


 しかし、次の瞬間に背後から道草に斬りかかる男がいた。前の3人に気を取られた香夜はギリギリまで気付かなかったが、道草は既に左手に盾を作り出していた。


ギィイイン!


 刀と氷がぶつかる音が響き渡り、鍔迫り合いとなる。道草は右手で氷塊を放つが、男は下がりながら全てを打ち落とした。


「今の一撃を防ぐとは、やるねぇ君。」


 そう言ってニヤついた笑みを浮かべる男は刀を構える。


「黙れ。貴様ら『憚』は全員殺す。」


「おお、怖い怖い。それじゃあ、次行くよ!」


 男は凄まじい踏み込みで距離を潰す。道草も右手で氷塊を射出するが、男はサイドに飛んでかわす。

 そして、再びこちらに向かってくるが、狙いは道草ではなく香夜だった。男は道草と香夜の直線上に入る事で、遠距離攻撃を防いだ。


「撃てないだろう?これはどうかな?」


 そう言って男が刀を香夜と道草の方向に向けると、刀が勢いよく射出される。

 香夜は咄嗟にしゃがんで回避するが、ギリギリになってしまった事で、道草は見えなかった。

 回避できなかった道草はその刃を右肩付近に貰ってしまった。

 その一瞬の隙を狙って、男は再び作り出した刀を香夜に向けて振り下ろす。香夜も咄嗟に刀でガードするが、左腕が使えず右手一本で、先日の六角での右腕の傷も完治していない香夜のガードは簡単に弾き飛ばされる。


「うぅぅ、クッ!」


「もらったよ。」


 隙だらけとなった香夜に男が再び刀を振り上げる。

 しかし、その刀が振り下ろされる前に、刀に何かが直撃して弾き飛ばされる。


「チッ!その傷で動けるんだ、すごいね。」


 香夜の背後から道草が氷塊を放って打ち落としていた。


「調子に乗るなよ、雑魚が。」


 すでに道草は男の懐を侵略していた。


「うぉ、速!でも、甘いですよ!」


 男は手の中に再び刀を作り出した事で、斬撃を再開する。それは完璧なタイミングで、懐に入った道草の脳天に直撃した。

 しかし、道草の頭は氷で覆われており、男の刀は逆に折られてしまった。隙ができた男に対して、道草の左手の氷の剣が薙ぎ払われる。


「ちょ!ちょっと待て!待ってくれ!!」


 それは、無慈悲にも男の身体を両断し、男は真っ二つになった。


「バカ…な」


 男はそのまま死亡した。同時に、道草の肩に刺さった刀が消滅し、激しく出血を始める。それを見た香夜は懐から布を取り出して急いで止血する。


「道草の兄貴!大丈夫ですか?早く病院へ行きましょう!」


「おお、女神よ!心配してくれるとは…なんと喜ばしい!まさしく、夫婦のようですな!」


「ふざけてる場合じゃないです。肩貸しますから、行きますよ。」


「なんと!女神の玉体に触れる許可を賜れるとは!この傷、一生そのままにしておきたいですぞ!!」


「…やっぱりやめました。元気そうなので、自分で歩いてください。」


 そう言って香夜は1人で歩き出してしまった。


「そんな!お待ちください!女神よー!!」

刀使いの男

器属性 刀身を狙った方向に射出できる。

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