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4 夢(白)

「そういえば、昨日の将軍殿との話は何だったんです?」


 今日の訓練も終わり、居酒屋で酒を飲みながらナルキがリミエルに尋ねた。


「ああ、まだ言って無かったな。次の戦が決まった。今回は第二軍総員で行う大規模作戦だ。……柏木組の本部を襲撃する。」


「ブッ!柏木組だって!?それに本部!?そりゃあ、ちょっと無茶じゃねえか?俺たち第二軍単体で戦える規模じゃねえぞ。」


「いや、第二軍だけでは無い。後から第三軍と第五軍と第六軍も参戦する手筈だ。まず我々第二軍が突入して敵を撹乱し、第五軍で敵を包囲し、第三軍と第六軍が再突入するという作戦だ。」


「それは………俺たちに捨て駒になれって事か?クソッ!あのジジイ、どれだけ俺たちを嫌ってるんだ。」


「柏木組って、あの『五木』と呼ばれる五大極道組織の一つですよね?そんなに強いんですか?」


「ああ、その戦力はその辺の小国と同等と言われているからな。中でも武闘派の幹部連中は、化け物ばかりだと聞く。そんな奴らの本拠地に突っ込むなんて、正気の沙汰じゃねえ。」


「上官からの命令は絶対だ。それに今回は皇帝陛下直々の命令らしい。だから、今回戦果を上げれば私も将軍となれるかもしれない。」


「陛下直々の……ていうか、こんな大事な話をこんな場所でしちまってもいいんですか?この奇襲作戦も敵にバレたら終わりでしょう?」


「ああ。お前たちだから話したんだ。他の者には他言無用で頼む。正式には来週ごろに伝えられるだろう。」


「はぁ。俺らの命もあと少しか…まだまだやり残した事が沢山あるんだがな。」


「そうですね。やっと軍に馴染んできたところなのに、始めての戦場が激戦地とはやっぱり俺は運が悪い…。」


「お前たち、泣き言言ってないでもう帰るぞ。明日も訓練があるからな。お前達が生きて帰れるよう、もっと厳しくしごいてやるからな。」


「お手柔らかにお願いしますよ〜 隊長どの〜」



 ナルキと別れ、ヴァルスはリミエルと帰路に着く。あれだけ飲んだのに、リミエルは全く酔っているように見えない。

 少し酔っていたせいか、ヴァルスが不意に気になっている聞いてみた。


「そういえばリミ姉はなんで将軍になりたいの?」


 一緒に住んでいる2人だが、リミエルは自分のことはあまり話さなかった。


「…私は戦争を終わらせたいんだ。お前の両親も、私の父も、母も、兄も、戦争で死んだ。誰かが戦争を終わらせなければならない。だから、私が終わらせる。そのためには、陛下にこの事を直接奏上できる将軍の立場にならねばならない。」


「戦争を終わらせる、か……リミ姉ならきっと出来るよ。俺も追いつけるように頑張るからね。」


「ああ。」


 壮大な夢を語る2人の未来は希望に満ちていた。

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