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白と黒の特異点〜互いの家族を殺した2人が出会うまで〜  作者: 福岡へむ
第二章 死にたがりの灰人
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20 死闘(白)

 ヴァルスとリシェルはリーダー格の男に飛びかかる。ヴァルスは上段からの一撃、リシェルは毒ナイフによる刺突を放つ。


「ふんっ!」


 しかし、ヴァルスの剣とリシェルのナイフはサイドから割り込んできた男の腕に止められた。男の腕には剣もナイフも刺さる事なく、逆に弾かれてしまった。


「軽い…雑魚どもが。」


「ディフェンス型か!」


「はっ!」


 ヴァルスは弾かれた刀を構え直して、再び突撃した。リシェルは援護するように後ろからナイフを投げる。


「無駄だって言ってんだろ!」


 男はリシェルのナイフを無視して身体で弾いたあと、ヴァルスの唐竹割りを白刃取した。


「だろうな、ならこれはどうだ!」


 ヴァルスは予想していたかのように剣をそのまま手放して、男の心臓目掛けて右手の人差し指を突き出す。

 男は体勢が悪く回避できない。しかし、ただの指による突きだと油断する。


「そんなの効くわけねぇだろ!…グッ!ゴフッ!なんじゃこりゃあ!?」


 ヴァルスの人差し指は男の防御を貫通し、心臓を正確に穿っていた。


「ありえねぇ…クソ…が……」


 男は血を吐きながら倒れた。それを見てリーダー格の男がため息を吐く。


「はぁ…田中、油断しすぎですよ。……()()、あとは頼みましたよ。」


 男はそれを聞いて後ろに控える男に声をかける。


「……」


 後ろにいた男が何も言わずに前に出てきた。そして、コチラを見つめながら波動を纏った。


「っ!!!」


 その瞬間、ヴァルスとリシェルは強烈なバックステップで距離を取る。


「はっ!はぁはぁ…何よ、コイツ…」


「コイツはヤバい…あの極道よりも…リミ姉よりも遥かに強い!!」


 男はそんな2人を無視して地面に手をついて方陣を描き始めた。それを見てヴァルスが即座に動く。


「やらせるか!」


 ヴァルスが男の隙をついて攻撃しようとする。しかし、いきなり男は手を止めてヴァルスを睨みつけた。 その殺気はヴァルスも動けなくなるほどだった。


「うぅっ!!」


(なんて存在感だ!身体が動かない!!)


 その間に男は方陣を描き終え、立ち上がった。そして地面の方陣が広がって2人の足元を覆った。その瞬間、2人の周りに風が吹き始めた。


(風…風を使う自属性か。それなら距離を取られるのは危険だ!近接あるのみ!)


 ヴァルスは能力を使って強烈な踏み込みを見せる。そしてそのまま男に右手の拳を突き出す。


「っ!!」


 しかし、ヴァルスの拳は男の身体に到達するギリギリで風圧によって止まった。


「グっ!風圧で動かない!!」


「ふんっ!」


「うぉっ!?」


 男が風圧を強めると、ヴァルスは右手ごと男の身体から発せられる強力な風によって吹き飛ばされた。数メートル飛ばされて、ヴァルスは地面に叩きつけられるが受け身を取ったことでダメージは少ない。体勢を立て直しながらヴァルスは思考を回転させる。


(この風圧はちょっとやそっとじゃ突破できないな。能力を使った突きだったんだけど、この指は当たらなきゃ意味がない。どうにか隙をついてあの風圧を突破しなければ。だがやはり、自属性の弱点はやはり近接戦だ。まだ左手の電撃も使ってないし、力属性も使えるから俺の方が有利なはずだ。とりあえず、燃費の悪い右手は考えて使わないと。)


 少し考えていると、男が右手を横にしてコチラに向けてきた。


「……」


 その瞬間、一切の予備動作なく、男の手から風の刃が放たれた。


「っ!!」


 超速でヴァルスの顔に向かって飛んでくるその刃を、波動の揺らぎでギリギリ見えていたヴァルスは力属性の能力を全開放して、首を捻って回避した。しかし、完全に回避しきれず耳が裂ける。


「あ…ぶねぇ…」


「ヴァルス!!このぉ!!」


 そしてその隙に後ろからからリシェルが発砲する。


「…」


 しかしリシェルの弾丸は男の周囲を纏う風によって軌道を変えられ、後ろに逸れた。


「クソッ!風の抵抗を受けにくい銃弾でも無理なのか!?バケモノが!」


 ヴァルスは再び前に突っ込んだ。しかし男の右手から風刃放たれる。しかしなんと、ヴァルスは前に出ながらその全てを回避した。


「ほぅ…」


(飛ばせる方向は決まっているから、手の方向を避ければ回避できる!今度はコイツで!)


 男の懐を取ったヴァルスは手刀による貫手を放つ。貫手はパンチより風の影響を受けにくい。


「これならどうだ!」


「…無駄だ…」


 それでも男は風を集中させる事で止めにかかる。その凄まじい風圧で、貫手が減速される。しかし、ギリギリで男の腹部に僅かに触れた。その瞬間、ヴァルスは右手に波動を込め人差し指が白く光る。


「触れたぞ!」


「何!?」


 男は咄嗟にバックステップで回避するも、腹から出血している。


「何だ…触れられただけで肉が抉られた…あの膂力は力属性だと思っていたが、何か秘密がありそうだ…」


 今まで殆ど喋らなかった男が、小さな声で呟いた。

 ヴァルスも下がりながら敵について考察する。


(クソ!浅かったか。力属性の能力でパワーを限界まで上げればギリギリ届くか。風の出力を変えられるのが厄介だ。それにあの風刃、避けるか正確にガードしないと致命傷になる。近距離で攻撃してこないから、遠距離に特化したタイプか。やはり近接戦で攻めるしかない。)


 今まで無表情だった男は、少し笑いながら口を開く。


「まさか…その身体能力にその指…伝説と言われる複数属性持ちか。面白い、こちらも本気で戦うとしよう。」


 そう言って男は地面の方陣に再び手をつくと、周囲の風がさらに強くなった。


「行くぞ!」


 男はその場で右手を刀のように振ると、その先から凄まじい風圧の刃が出た。その刃の長さは10メートル以上あり、ヴァルスの首に正確に放たれた。


「うっ!!」


 手を振る速度と同等の剣速を持つその刃をヴァルスは右腕を入れてギリギリでガードした。


「無駄だ。」


 しかし、風の刃は腕で止まる事なく身体をすり抜けて、再び形が形成される。そして、男はそのまま肘を曲げる事で、即座に逆側からの攻撃となり、ヴァルスの身体を斬り裂く。


「グハ!」


 ヴァルスは胸からザックリと斬られてしまった。その防御力から、臓器には達していないが血がしとどに流れる。


(速すぎる!折り返しの二撃目に反応できなかった!刀と違って質量がないから、めちゃくちゃ速い!)


 ヴァルスが胸を斬られ一瞬怯んだタイミングで、ヴァルスの背中に衝撃が走る。


「カハッ!!」


(今のは、何かに殴られたような衝撃!クソッ!肋が折れた!まさか、風を圧縮してぶつけたのか!!)


 その瞬間、ヴァルスの周囲から大量の風の塊が射出される。全方向から来るその塊に対して、ヴァルスはその場で防御するしかない。


「ぐぅおお!!」


「風を圧縮してぶつけている。俺の知り合いによれば硬式の野球ボールのような感触だそうだ。全身の骨が砕けるぞ。」


(グッ!防御しててもダメージを受ける!やはり自属性相手に距離を取られたら終わりだ!勝機は超近接戦のみ!)


 その瞬間、ヴァルスは男に突っ込んだ。


「うぉおお!!」


「今のに耐えるとは…膂力だけでなく防御力も…やるな。」


 しかし、突っ込むヴァルスに対して、男は左手のひらをこちらに向けると、そこから凄まじい風圧の風が吹き荒れる。


「な、なんだ!?」


「俺も距離を取る手段は持っている。吹き飛べ。」


 ヴァルスの勢いは完全に殺され、逆にそのまま吹き飛ばされてしまった。


「ヴァルス!」


後ろに飛んできたヴァルスをリシェルが受け止める。


「すまん、ありがとう」


「その傷、大丈夫なの?」


「ああ、ぺっ!それより次が来る!避けろ!」


 血を吐き捨て、次の攻撃に備える。その瞬間、再び風の刃が迫り来る。しかし今度は距離が離れた事により速度が上がっている。ヴァルスは再び右手で受けるが、受けたと同時と思われるほど速く逆からの攻撃がくる。ヴァルスはリシェルを庇うように再び身体を切り裂かれた。


「グハッ!…はぁはぁ…受けが通用しない。射程も長いから後ろに避けることもできない!リシェル逃げろ!舞台の外に出るんだ!」


 ヴァルスは血を吐きながらリシェルに叫ぶ。しかしリシェルは満身創痍のヴァルスを見て、涙目になりながらそれを否定する。


「貴方一人じゃ無理よ!私も戦うわ!」


「いいから言う通りにしろ!死ぬぞ!」


 次の攻撃に備えながらヴァルスは背後にいるリシェルに再び叫ぶ。それを見た男は左手を下ろして一言呟いた。


「…それには及ばない。」


「キャア!」


 そう言った男は左手を上に向ける。すると、舞台の下から強風を吹き、リシェルだけを舞台の外に吹き飛ばした。


「イッ…たた…ヴァルス!!」


 舞台の外側に吹き飛ばされたリシェルはその場で叫ぶが、中にいるヴァルスには周りに吹く風のせいで何も聞こえない。そんな中でも男の声は何故かよく聞こえる。


「これで俺との戦いに集中できるな。」


「ハァハァ、わざわざありがとうな。」


「礼には及ばない。無力な女を痛ぶるのは仁義に反する、それだけだ。では、行くぞ!」


 そう言って男の右手から再び風の刃が放たれた。


「はぁあ!!」


 ヴァルスも今度は右手でガードしながら前に出た。防御力が少し下がったため、右手も少し削られる。そして反転の2度目が来るが、今度は体勢を低くして回避した。


「3回目は通じないぞ!!」


「ならばこれは2回目だ。」


 ヴァルスが男に接近すると、男は左手から風圧を放つ。しかし、左手を突き出した瞬間に右側に飛び、風の直撃を回避した。ヴァルスからみて右側に飛んだ事で男は右手の刃は使えない。男は左手をそちらに向けて再び風圧で攻撃するが、ヴァルスは再びサイドに回り込みながら距離を潰す。


「ここまで近づけば俺の方が速い!」


「バランス型…厄介だな。」


 男の懐をとったヴァルスが繰り出したのは再び、右手による貫手。男もそれに反応し、その部分に風圧を集中して止めに入るが、再びギリギリ左手の肘付近に指が触れた。ヴァルスの能力で肘付近が抉られる。


「チッ!」


 しかし、隙ができたヴァルスに右手の刃が放たれる。ヴァルスは咄嗟に防御するが、距離が近い事で威力が上がっており、防御しきれず左目付近を斬られてしまった。


「グゥッ!!」


 それでも構わずヴァルスは再び右手を突き出すが、男の身体から凄まじい風が吹き荒れ、ヴァルスが吹き飛ばされると同時に、男も後ろに吹き飛ぶ。

 立ち上がったヴァルスは即座に体勢を整える。


「ハァ、ハァ、ブッ!左手は潰したぞ。次は右手だ!」


 ヴァルスは男の左腕を見てそう話すが、先ほどやられた傷で左目付近は血塗れになっており、視界が塞がれていた。


「ふぅ…死を恐れぬその覚悟…やられたよ。だが強がるな。お前のその2つの胸の傷、激しく動いたせいで出血が止まってない。ものの数分で意識を失うだろう。それに全身の打撲と骨折…もはや動けるはずもないほどの重傷のはずだ。お前の覚悟に免じて、女を渡すのなら命までは取らんが。」


 それを聞いてヴァルスは激昂する。


「黙れ!お前らみたいなヤツにリシェルを渡せるか!!お前は俺が倒す!!」


 ヴァルスは最後の力を振り絞って叫んだ。それを見て男も両手を構える。


「そうか…最期にお前の名前を聞いておこう。」


「ハァハァ…ヴァルス・アラムドだ。」


「俺は柏木組の神保丸吉。ではさらばだ!ヴァルス!」


 その瞬間、神保が右手で刃を放つ。ヴァルスは再び詰めようとガードしながら突進しようとした。直後、後ろからリシェルの声が聞こえる。


「ヴァルス!避けて!」



ドンッ!



「何っ!?」


 神保の背後から放たれた弾丸はヴァルスの脳天を正確に狙っていた。ヴァルスは咄嗟に右腕を入れて銃弾を止める。銃弾は右腕に直撃し、右腕が弾き飛ばされる。そして、ノーガードとなったヴァルスの身体を風の刃が貫く。


「ガハッ!」


 防御を貫き、その刃はヴァルスの身体を激しく斬り裂いた。そしてついにヴァルスは仰向けに倒れてしまった。


「今のは…まさか兄貴…」


「神保、タイムアップです。」


 神保の後ろからリーダー格の男が銃をしまいながら歩いてくる。


「兄貴…すみません。ですが兄貴、俺はコイツと最後まで」


「分かっていますよ。だが今回の目的はコイツとお前が決着をつけることではありません。さっさと女を回収して撤収しなければ他のヤツがここに来てしまうかもしれません。急ぎますよ。」


 そう言ってリーダー格の男はリシェルの方に歩いて来る。


「アンタ!!卑怯よ!許さない!!」


 そして、リシェルがナイフを構えてリーダー格の男に突っ込む。しかし、そのナイフを完璧に見切って半身で避けた。


「やはり、母親同様に野蛮な女ですね。私を舐めないでください。」


 そう言ってリシェルの突き出された手首を取って合気の要領で転ばせた。


「ガッ!」


 受け身を取れず、地面に叩きつけられたリシェルの肩を踏みつけた男は、胸ポケットから注射器を取り出して、そのままリシェルの首筋に注射した。


「グッ!」


「うるさいメス犬はしばらく眠っていてください。」


「ヴァル…ス…ごめ…ん」


 リシェルは注射された薬によってそのまま眠ってしまった。


「さて神保、彼にトドメを刺してください。撤収しますよ。」


「…兄貴…コイツをこのまま放置してやる事はできませんか?放っておいてもおそらく死にます。コイツの運命は天に」


「ダメです。貴方は私が真剣勝負を邪魔した事に罪悪感を感じているようですが、この男は帝国軍人です。生かす価値はありません。さっさとやりなさい、やらないのなら私が」


「…いえ、せめて俺が…少年よ、すまんな。俺たちの世界ではこんな事は日常茶飯事だ。言い訳はしない。次は地獄で正々堂々戦おう。」


 そう言って神保は右手に風を収束させ、刃を繰り出した。



「うぉおおお!!」


 刃が当たる瞬間、ヴァルスは立ち上がった。


「やはり生きていたか!!」


「はぁ!」


 撃たれた右手に力を込め、刃を弾き飛ばした。そのまま、神保に向かって突進する。逆からの刃は今度は左手を勘で滑り込ませてなんとか防御に成功した。

 左手が使えない神保はバックステップで距離を取ろうとするが、それを読んでいたヴァルスは最後の力を振り絞って、両脚に力を込めて距離を潰した。


「それは読んでるよぉ!!」


「やるな、だが甘い!」


 神保はそう言って右足を地面に強く踏みつけると、ヴァルスの足元から強烈な風が吹き、ヴァルスを宙に浮かす。


「うっ!」


「これで終わりだ!」


 神保は再び右手の刃をヴァルスに向かって放つ。そしてヴァルスは最後の賭けに出る。


「ここだぁ!」


 ヴァルスは勘で右腕を横に伸ばした。


「な、なにぃ!?」


 神保も驚くのも無理はない。ヴァルスの右手は神速で放たれた神保の風の刃を掴んでいたのだ。


「5回目も食らえばここまで見える!はぁっ!」


 ヴァルスはその刃を起点とし、華麗に地面に着地し、そのまま神保に突進する。神保は攻撃の直後で体勢が悪い。


「うぉおお!」


「まさかここまで…ならば!」


 しかし、神保もここで奥の手を出す。それは右手の中指から射出される、風圧を一点に集中する事で放つ神速の風弾。あまりの威力に神保の指も折れるほどのその風弾はヴァルスの心臓の位置を正確にめがけて発射された。


「グッ…終わりだ…」


「な!?」


 ヴァルスが認識できないほどの速さで左胸に穴が空く。ヴァルスは何が起こったか分からないまま、血を吐くが、倒れる事なく踏みとどまった。


「……まだだぁ!」


 そしてヴァルスは再び脚に力を込めて神保の懐を取った。


「バカな!心臓を潰したはずだ!なぜ動ける!?」


 ヴァルスは再度右手の貫手を放つ。


「うぉおお!!」


 神保も風でガードするが止まらない。ヴァルスの指が神保に触れる直前、神保は右手でヴァルスの腕を掴んだ。


「甘い!俺にはまだ右手がある!」


 その瞬間、ヴァルスが叫ぶ。


「それを待ってたんだよ!!」


 そう言って、右腕を掴まれたヴァルスは逆に左手で神保の右腕を掴む。


「何だと!」


 戦闘が始まってからヴァルスは右手だけを攻撃に使う事で、神保の意識を右手だけに集中させた。この左手の能力は隠して。


「くっ!何をする気だ!!はなせ!」


 神保は掴まれた手を咄嗟に振り払おうとするがヴァルスの握力が強い。


「ここだぁ!!」


 ヴァルスは左手に波動を込めて、電撃を発動させる。ヴァルスの左手の電撃は触れる事でしか発動できない。更に、触れている面積によって威力が増大する。つまり、手のひら全体が触れている、握られている状態が最も威力を発揮する。


「ぐぉおお!!」


 握られた左手から送り込まれる電撃に神保は叫びを上げる。


「な…なにが……電撃…かくし…もって……」


 神保はそのまま、白目を剥いて気絶した。


 それと同時に限界を迎えたヴァルスも血を吐き、地面に膝をつく。しかし、力を振り絞って片膝で立ち上がり、リーダー格の男を睨みつける。


「ゴハァ!ハアハァ、次はお前だ…」


 それを見てリーダー格の男は拍手をする。


「お見事です。まさか彼を倒すとはね。しかし…そんなボロ雑巾のような身体で何ができると言うんですか。私が終わらせてあげましょう。」


 そう言って男は再び銃を構えた。


(ダメだ!血を流しすぎて動けない!やられる!)


 血を流しすぎて、膝をついたヴァルスには避ける事ができなかった。



ドン!!



「ゴフッ!バカな…!薬は…」


「はぁ…ザマァみなさい。」


 銃を撃ったのは男ではなくリシェルだった。男が撃つ前にリシェルの弾丸は男の心臓に性格に命中していた。


「…ク…そ……」


 心臓を撃ち抜かれた男は前のめりに倒れ、そのまま死亡した。それを見てリシェルが近寄って来る。


「ふぅ…昨日は16時間も寝たからね。これ以上寝てたらまたヴァルスに突き落とされちゃうわよ。」


「リシェル!ゴフッ!…無事か!」


 ヴァルスはリシェルを見て心配するが、リシェルより遥かに重傷なヴァルスは血を吐く。


「何言ってんのよ!貴方の方が無事じゃないでしょ!早く手当しないと!」


「ああ、すまん。早く病院に…グッ!」


 そう言ってヴァルスは血を吐きながら膝をついた。


「こんなになるまで戦って!…あの子達のために、貴方はホントにお人好しなんだから。」


 そう言ってリシェルはフードを被り直してから、ヴァルスに肩を貸す。


「はぁはぁ……あの子達の為だけじゃないさ、お前の為でもある。言っただろう、必ず守るって。」


「ヴァルス…それよりもう喋らないで、早く病院行くわよ。」


「ああ、頼んだ……んなっ!危ない!!」


 肩を貸されたヴァルスが急に叫ぶ。リシェルはいきなりの事で反応できない。


「えっ!」


「リシェル!!」


 ヴァルスは咄嗟にリシェルを突き飛ばした。


「ふんっ!」


 その瞬間、背後から巨大なハンマーの横凪ぎが放たれる。ヴァルスは咄嗟にリシェルを突き飛ばした事で体勢の悪いヴァルスはそのハンマーを左腕にもろに喰らってしまい、吹き飛ばされる。


「ぐはぁ!」


「ヴァルス!!」


 突き飛ばされて尻餅をついたリシェルはヴァルスの名を叫んだ。ヴァルスを吹き飛ばした男は巨大なハンマーを持ち、こちらを見ている。


「久しぶりだな、ヴァルス。お前は田淵の兄貴の仇だ!ここで俺が殺す!!」


 そう叫んで殺気を向けてくる男と、その後ろからもう1人の女が歩み寄ってくる。


「お前が田淵を殺したヴァルス・アラムドか……()()早めに済ませろ。時間がない。神保も回収せねばならんしな。」


そこに現れたのは、勝谷と立松だった。

田中

力属性 ディフェンス型


神保

自属性 風

能力

・風刃(手から射出)

・風圧(全身から噴出できるが、手から指向性を持たせることで、威力up)

・神速の風弾

(卓球球ほどの大きさの風弾を指から発射できる。威力が高すぎて反動で指が折れるため、10回しか打つ事ができない。)

・舞台

風を循環させる事で、範囲内のすべての空間を把握できる

・舞台内のみで発動できる、腕から伸びる風の剣

(射程は舞台の範囲内を無制限、普通の人間なら腕が切断されるほどの切れ味)

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