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C 平和(黒)

「松林のカシラ、お疲れ様です!」


「おう、田淵か。香夜も一緒か。」


「はい!カシラ!お疲れ様です!」


 今日の仕事も終わり、2人で帰ろうとしていたところに偶然鉢合わせたのは柏木組の若頭である松林淳二だった。


「だいぶ慣れてきたな。若い衆にちょっかいかけられてねえか?」


「そうですね、道草の兄貴にはよくナンパされますが、丁重にお断りしてます!」


「あいつか、次会ったら注意しとくわ。」


「ありがとうございます!」


「ところでカシラ、こんなところで何やってるんですか?」


「ああ、ちょっときな臭くなってきてな…詳しい事は後日話す。ところで2人とも今から飲みに行くか?」


「是非、お願いします。」


「はい!行きたいです!」



3人は行きつけのバーで乾杯した。


「田淵、お前は酒弱いんだから程々にしとけよ。」


「分かってますよカシラ。」


「香夜は今年で21だったな。どうだ、少しは任侠を覚えたか?」


「カシラ、香夜に任侠はまだまだですよ。まだまだ子供ですから。」


「おじちゃんはいつもそうやって子供扱いする。いつになったら大人になれるのよ。」


「そりゃ誰かを守れるようになったらだな。人から守ってもらってるうちはまだまだ子供だ。そうだろ、田淵。」


「ええ、でも俺は守れなかった。大恩ある親父も、尊敬する兄貴たちも、可愛い後輩たちも、・・・誰も守れなかった。香夜も1人にしちまった。山下のオヤジ・・・小田和のカシラ・・・グゥッ〜!!」


 一杯で顔が真っ赤になる程酔っ払っていた田淵は、昔の後悔を思い出して泣き出してしまった。


「思い出させちまってすまねぇな。山下は俺の舎弟でもある。また、あいつと話したかったなぁ…」


「おじちゃん、元気出して。お兄ちゃん達やお父さんの仇を取るために頑張って来たんでしょ。私もお父さんに負けないくらいすごい極道になるから。それに私はもう1人じゃないよ。柏木組のみんながいるから、私は今幸せなの!」


「グゥ!泣かせてくれるじゃねぇか。頑張れよ、香夜。」


「はい!」


 そんな会話をしながら寂しくも楽しい夜は更けていった。

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