表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白と黒の特異点〜互いの家族を殺した2人が出会うまで〜  作者: 福岡へむ
第五章 革命の光
100/122

AR 自己紹介(黒)

 車に揺られる事、3時間。3人は目的の場所に到着する。その場所はとある高級料亭で、いかにも秘密の会合が行われる雰囲気のある場所だった。


「はぇえ……すごく大きな店。私、場違いじゃないよね?大丈夫かな?」


「貴方様が場違いなハズがありません!!寧ろ女神にはこれ程の規模がお似合いで…」


「はいはい、ありがとうございます。それよりも姐さん。」


 香夜は既に中にいる人間の気配を感じていた。


「ああ、時間よりも早いがどうやら先方は既に来ているようだ。我々も行くぞ。」


 そして3人は料亭に入った。

 店員に案内され、とある豪華な和室の襖の前に到着する。


「いいか、先ほども言ったように粗相はするな。下手に出る必要はないが、謙虚に接するんだ。」


 それに対して、2人は頷く。そして立松は一つ息を吐き、襖を開く。




「失礼します。お待たせしてしまい、申し訳ありません。赤川(あかがわ)の若頭。」


 立松は部屋の中の1人の男に話しかける。


「コッチが早く来ただけですから気にせんでください。立松の若頭。」


 腕を組み、堂々と構えるその男こそが『高木組』のNo.2、赤川業寺(あかがわごうじ)だ。そしてその両サイドには1人の男と、1人の女が座っていた。

 3人が部屋に入ると、赤川が声をかける。


「では、早速はじめましょか。ささ、そっちの2人も座って座って。」


「では、失礼します。」


「私も失礼します。」


「失礼しますぞ。」


 促される席へ3人は座った。入り口に対して垂直方向の横長に伸びた席に、互いのトップを真ん中にして横に2人が着席した。

 香夜は失礼にならない程度に、目の前の3人を注意深く観察していた。


(この人があの『高木組』の若頭…凄い貫禄だなぁ…腕の傷痕も凄い…間違いなく歴戦の武闘派だ。それに私の目の前に座るこの背の高い人…おそらく道草の兄貴と同等の実力者。でも、もう1人は…)


 香夜の見つめる先にいたのは、女だった。その女はずっと緊張しながら周りをキョロキョロしていた。目の前に置いてある水に何度も手をかけては離し、深呼吸を繰り返すその女は、明らかにこの場に場違いな人間だった。


(何よこの人、顔が真っ青じゃない。本当に大丈夫?…にしても、美人ね…それに身長も高くて胸も…)


 香夜が恨めしそうにそんな事を考えていると、立松が話し始める。


「今日はありがとうございます、赤川の若頭。本日は我々の為にわざわざ…」


「はっは!そんなに畏まらなくてもいい。貴女と会うのは初めてじゃない。お互い『五木』を纏める立場だが、もっと緩い感じでいきましょうや。ね、立松さん。」


「…なるほど、了解しました。では赤川さん、早速コチラから自己紹介をさせていただきます。横の2人は初めましてかな?私は『柏木組』の若頭、立松華織だ。よろしく頼む。」


「最近、跡目を継いだと聞きました。これからよろしくお願いします。」


 それを聞いて香夜の目の前の男は恭しく礼をする。しかし、反対側の女は明後日の方向を向いている。


「……」


 それを見た赤川が女の肩を叩く。


「おい、挨拶ぐらいしろ。」


「えっ!私!?…えぇっと………私は畠山百合(はたけやまゆり)です!!好きな食べ物は、ゴーヤチャンプルです!!嫌いな食べ物は」


「待て待て、そんな事聞いてない。それに今は相手の番だ。お前はよろしくお願いしますだけでいい。」


「えっ!……す、すみません………よろしく、お願いしますぅ…」


 女は顔を真っ赤にして下を向きながら挨拶した。


「ああ、よろしく頼む。」


(あぁ…この人、まさに残念美人ってヤツね。なんか共感性羞恥っていうのかしら、見ててこっちまで恥ずかしくなってきたわ…)


「皆さん、すみませんね。コイツはまだ一年目のヒヨッコで。去年、二十歳になったばかりなんだ。悪気はないから許してやってくれるとありがたい。」


「えぇ、もちろんです。では、次を…道草。」


「はい!」


 道草は名前を呼ばれて立ち上がる。


「最近、ウチの幹部になった道草です。」


「私は道草鞠夫ですぞ!!『高木組』の皆々様、是非よろしくお願いしますぞ!!」


 それを聞いて赤川が興味深そうに反応する。


「道草くん、君の噂はかねがね。高木組(ウチ)の若手の間でも君は有名人だ。よろしく頼むよ。」


「君が道草か。()()()()からお前の事は聞いていた。流石の雰囲気だ、よろしくお願いする。」


「わ、私もよろしくお願いしますぅ!!」


 それを受けて道草も一礼して席に着く。


「では、最後に。コチラも一年目の()()()()()。」


「はい!山下香夜です!よろしくお願いします!…ぅ?」


 そう言って香夜が立ち上がった瞬間、何故か目の前の男も同時に立ち上がった。


「はぁはぁ…すまない、もう一度言ってくれないか?貴女の名前は何と言ったのか。」


 目の前の男は明らかに冷静さを欠き、香夜の目を見て質問する。


「ええっと…山下香夜です。マウンテンにアンダーで山下、香水の香に夜で香夜ですけど…」


 それを聞いた男は立ったまま涙を流した。


「まさか…()()!!」


「へ?」


 それを見て香夜を含めた柏木組の3人も混乱する。

 部屋が異様な雰囲気になったところで赤川が思い出したように話し出す。


「山下…そうか…アンタ、()()()()の娘っ子か。どうりで……ああ、アンタは昔すぎて覚えてないかもしれないが、実はコイツは」


「カシラ、ここからは俺が。…俺は元々、()()()の構成員だったんだ。」


 それを聞いて香夜は驚愕した。


「えぇ!?アナタが!お父さんの組に!?」


「その通りです、お嬢。」


「…なら、お父さんや田淵のおじちゃんの事も知ってるって事!?」


「もちろんです、山下のオヤジには本当に世話になりました。今の俺があるのもあの人のおかげです。一生感謝してもしきれません。…亡くなってしまったのは本当に無念です…」


 そして少し置いてから男は田淵についても話し始める。


「田淵は…俺の初めての弟分でした。親父が連れて来た食い逃げ常習犯のクソガキ、それが当時の田淵(アイツ)です。組で一番の問題児だった田淵を俺やカシラが何度ボコボコにしたか…



ーー約20年前ーー


「おい、田淵!!テメェ、何度言えば分かるんだ!!カタギに喧嘩売るんじゃねぇ!!」


「俺が売ったわけじゃねえっすよ兄貴!!アイツらが俺の事をバカにするから…いでっ!」


「言い訳するんじゃねえ!このクソガキが!!」


「でも兄貴だってよく喧嘩してますよね!この前は兄貴の女の元彼を……いでっ!」


「うるせぇ、俺はいいんだよ…おい、兄貴には言うんじゃねえぞ。」


「…えぇ、どうしようかなぁ…今日は2回も殴られたからなぁ…頭がバカになってつい口に…グヘェッ!」


 鳩尾を殴られた田淵は地面に這いつくばる。


「俺を脅すなんて5年早えよ、クソガキが。…それより、今から相手に謝罪しに行くぞ。」


「うぅ…はい。」


「俺も一緒に頭を下げてやる…だからテメェも素直に謝るんだ、分かったな。」


「分かりました。」


 その後2人で謝罪に行ったが、相手の事情(田淵が貧乏だった時の事を小馬鹿にした)を聞いたその男な、再びその相手をボコボコにし、2人は当時の若頭に死ぬほど怒られたという。



ーー現在ーー


それでも、俺にとっては可愛い弟分でした。アイツが死んだと聞いた時には一日中泣きました。コチラで用事があって葬式には出られなかったが、今でも月に一度は墓参りに行っている。」


「あっ!たまにおじちゃんとお父さんのお墓に日本酒が置いてあるのってまさか!」


「はい、その通りです。…しかしお嬢、こんなところで再会できるとは…田淵のヤツから組に入ったとは聞いてたんですが……大きくなられましたな。あんなに小さくて可愛かったお嬢が、今や()()()()()()にそっくりの美人に育ったもんだ…」


「その度胸や肝の座り様は山下親分譲りだ。俺もあの人とは何度か話したが、笑った顔はそっくりだな、はっはっは!」


 隣で聞いていた赤川もそう告げた。それを聞いた香夜は嬉しさを表情に出した。


「えへへ…そうかなぁ…ありがとうございます。」


 しかし香夜は直ぐに真剣な表情に戻る。


「確かに私は山下正二の娘ですが、今はただの『柏木組』の構成員です。1人の極道として見ていただけるとありがたいです!これからよろしくお願いします!!」


 そう言って香夜は深々と頭を下げた。


「うむ、いい顔だ。こちらこそよろしく頼む。」


「こちらこそよろしくお願いします、お嬢。」


「よろしく…お願いします…香夜…さん。」


「はい!」


 そう言って香夜は席についた。

 3人の紹介が終わったところで赤川が話し始める。


「さて、次はコチラの番だな。俺は『高木組』の若頭、赤川だ。よろしくぅ。そんで、コイツが伊東(いとう)だ。」


 それを受けて香夜の目の前の男が立ち上がる。


「先ほどは失礼した。私は伊東誠也(いとうせいや)と申します。以後、お見知り置きを。」


 そのまま赤川は続ける。


「そんでコッチが…畠山だ。」


「は、はいぃ!!痛ァ!!」


 畠山と呼ばれた女が勢いよく立ち上がると、机に足をぶつけた。しかも女の前に置いてあった水の入ったコップか倒れ、道草の方へ流れた。


「おっと。」


 道草が咄嗟に水に触れると、水が一瞬で凍りつく。それにより水が床に溢れる事は無かった。


「うわぁああ!!すみません、すみません!!」


「いえいえ、大丈夫ですぞ。」


 道草はそう言って机の上に広がった氷を操って自分のコップの中に収納し、能力を解除した。


「凄まじい速さと精度だ、流石だな。」


「それほどでもありませんぞ!」


「そうか。…それより、百合!早く挨拶せんか!」


「はいぃ!!は、初めまして!私の名前は畠山百合ですぅ!!好きな食べ物は」


「それはさっき聞いた。」


「そ、そうでした!申し訳ありません!!痛っ!」


 百合は頭を下げすぎて机に激突し、額をぶつけた。それを見て赤川は大きなため息を吐く。


「はぁあ……お前ってやつは…何度も何度もすみませんね。コイツ、昔からドジで。」


「あ……はい。」


 立松さえも言葉を失うほどのドジさに部屋の空気が和んだ。


「イテテ…よ、よろしくお願いします!!」


「う、うむ。よろしくな、畠山殿。」


「よろしく頼みますぞ。」


「よろしくね、百合さん。」


 それを聞いた百合は満面の笑みを浮かべて嬉しそうに着席した。


「さっきも言ったがコイツは一年目で21歳、しかも数少ない女極道だ。香夜ちゃん、コイツと仲良くしてやってくれな。」


「え、あ、はい。」


「よ、よろしくね、香夜さん。」


「何回よろしくするのよ…でもまぁよろしくね百合さん。」


 香夜は人生で初めての同い年の友達が出来た。

年齢的には、田淵<伊東<立松<赤川<松林です。

残念美人である百合は身長178cm体重57kgのHカップです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ