第四話 スキルを試した
目の前が開けて前が見えてきた時、目に入ってきたのは目が覚めるような色の空に、青々とした果ての見えない草原だった。
「うん、確かに突然人が現れても見てる人なんかいるわけ無いよね。」
これで、現地人から異常現象扱いされずに済みそうだ。だが…
「街は⋯無い。森は⋯無い。え?これやばくない?道も見えないよ?」
そう。何もなかったのだ。
泊まる場所はおろか、食料や飲水も怪しいのである。
野垂れ死ぬのしか無いのかと少々絶望しかけていた頃、女神様の言葉を思い出した。
『詳しく教えてほしそうですね、ですが!全てをわかっていても面白く無いでしょう。『ステータスオープン』を使えば詳細が見えるので、試行錯誤してみてくださいね!』
「そうだ!神託スキルの『描画顕現』があるじゃないか!何も試さずに絶望してどうする!えっと、言葉に出せば良いんだよな…。よし!『ステータスオープン』!」
そう言うやいなや、目の前に半透明の青色のホログラムのような板が現れた。
「おお!本物だ!本物のステータスプレートだ!えっとなになに?」
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名前:アーティ
種族:人族
地位:絵師、転生者
Lv.1
MP:100
体力:10
筋力:7
守備:10
魔力:30
器用:100
俊敏:5
知力:20
スキル:言語理解、空間収納、ステータスオープン、解析鑑定、描画顕現
装備:異世界の服(防御力5)
空間収納:無し
魔法:無し
使役魔獣:無し
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ちゃんと名前もアーティになってるんだなー⋯というか運動系ひっく!
異世界人とは思えんな。
魔力がそこそこ高いのはスキル『描画顕現』があるからかな?知力はおそらく学校教育の賜物だろう。
他の人ならもっと高そうだけどね!
で、この器用はなんだ?桁が違うんですけど。
まさか、今までに培ってきた絵の技術が反映されているのだろうか?
そうだとしたら今までの努力が報われたみたいで嬉しいな。
よし、早速スキルを使ってみるか!
まずはそこら辺の草を⋯
「『解析鑑定』!」
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名前:ザッツソウ
説明:世界中どこでも生えている最もありふれた草。寒冷地でも灼熱の砂漠でも探したら生えているので、この世界で最もたくましい生物なのかもしれない。特に効能はない。
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要するに雑草か。THE・雑草!だな。
そして次は⋯
「『空間収納』!お、空間に何やら穴が開いたぞ!雑草を少しちぎってここに放り込むと⋯おお、入った⋯のか?」
確認するために『ステータスオープン』で「空間収納」の欄を見ると、「ザッツソウ少量」という文が追加されていた。
少し気になった事があったので、『空間収納』の説明を見てみた。
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空間収納
無尽蔵に物を収納することができる。生物は収納できない。入れた物同士が混ざり合うことはなく、時間も経過しない。
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これは、めっちゃ便利なのでは!食料の買いだめができるのが非常に大きい。
「さて、で、最もよくわからないのは神託スキル『描画顕現』なんだよな。」
とりあえず説明を見てみることにした。
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描画顕現
サモン・キャンバス、サモン・カラーズ、物質顕現、生物顕現、デリート、リペア、プラスインフォメーション、コピー・アンド・ペースト、ルッキング・チェンジ
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⋯⋯え?権能だけでこんなに?流石は神託スキル。
デリートとかはなんとなくはわかるけど、全部試すのは、骨が折れそうだね!
2025/6/13/08:07 MPを追加しました。
2025/6/15/16:59 装備欄を追加しました。