第三十一話 トゥールの街
☆Pv1700、ブックマーク10件突破ありがとうございます!
お久しぶりです。あけましておめでとうございます(今更)
イレルフの『拡大縮小』について、今までなんとかかんとか言ってましたが、粒子ごと物を大きくするイメージで、質量保存の法則とかは考えなくていいことにしました。比較的でかい大きさで爆破を放てる。米粒の集合体がバレーボールの集合体になる感じです。(爆破は魔法の粒子を一極に集めて密度を上げ、それを解き放つことで爆発を起こす魔法技術。)
こういうの考えるの難しいですね。
眼前に見えるはトゥールの街。アレーファと大した差は無いけど、なんかよくわかんない丸い物体みたいなのが上の方にいっぱい付いてるな。何だあれ。
「ねえテーミン、あの丸いやつって何?」
「あれですか?あれはですね、魔導具の一種です。壁を乗り越えようとしている生き物がいたら検知してそれを伝え、結界を張るのだと聞いています。緊急時には結界を常に張って壁が突破されないようにするらしいですよ。」
魔導具か。アレーファには置いてなかったな、なんでだろ。治安かな?治安だろうな。
「なるほどねぇ、魔導具って高いよね?」
「そうですね。トゥールは周辺に森がある影響で、強力な魔物がそこそこ多いんです。つまり、比較的高位の素材が手に入りやすいので、潤ってるらしいんですよねぇ。」
「それはすごいね。それじゃあ降りようか。ホーリィ、降りt…」
「待ってください!」
え?何?
「アーティさん、自分のことを客観的に見てください。」
ほーん?なるほどなるほど。テーミンも泣いてパニクるイケメンロボットだな?ダメじゃん!
「メンゴメンゴ。失念していたのでござる。ホーリィ、ちょっと失礼…よっと。『解除』」
危なかったぁ。また人を騒がせる+能力バレの危機だったわけだ。
「ナイスだテーミン!ありがとう!じゃあ今度こそ降りましょうね。ホーリィお願い。」
「キュイッ!」
「ど、どこから来た!何者だ!名と職と出を名乗れぃ!」
ですよねー。普通上からマンタに乗って下降して登場!とかしないよね。
「私はアーティと申します。歳は26で職業は絵師と冒険者をしています。こちらは私の従魔のホーリィです。全員アレーファの街からです。」
「キュイッ!」
「我はイレルフという者。職業は冒険者をしています。」
「僕はテーミンといいます。アレーファで門番をしていて、今は試験中です。」
「それとこれを。アレーファ領主様からの紹介状です。」
念の為、ね。
「失礼…光った、ということは本物のようですね。」
これ光るんだ。すごいねぇ。
「で、その縛られたゴブリンは何なんです?無傷で拘束されているだけのようですが。」
「あ、賊です。罪とかがわかるスキルを持ってまして、先制で捕縛しました。」
「なるほど、審判のようなスキルをお持ちであると。では、このまま教会の方に連行しますので、後に詰め所においでください。」
「事実確認などはよろしいので?」
「アレーファ領主直々の紹介状をお持ちなんですから、嘘を付いているとは思いませんよ。それに、もし無実の人を一方的に拘束したならば、教会で見てもらい次第即座にバレ、逆に犯罪者になりますからね。」
なるほど、有罪か否かきっぱりとわかるからこそできることなのだろう。誤認逮捕には気を付けなければ。
「では、どうぞ、お入りください。ギルドカードに加え、紹介状があるということなので、通行料は免除させて頂きますね。」
お、ありがたいねぇ。
「さてテーミン、これからどうしようか?とりあえず宿を取る?」
「そうですね、その後に冒険者ギルドに向かうとしましょう。すみません、そこのお方!」
テーミンが声をかけたのは、なんか赤い感じの冒険者風の沈んだ感じの人達。
「はぁ…あ、なんでしょう!旅の方だよね?初めましてならとりあえず自己紹介だ。僕は『紅蓮』のリーダーをしてる、フレールってモンさ。ランクはBだよ、よろしくね。」
「俺はチャシュ。このパーティでは頭を使う仕事を任されている。Cランク。」
「アタイはデリッシュ。難しいことを考えんのは苦手だからね、力仕事が中心だよ。アタイもコイツと同じCランクさ。」
「わ、私はヤマッコと申します。魔術師をしています。ランクは、Bです。」
第一村人ならぬ、第一同業者って感じだね。密かに見てみた感じ、犯罪歴とかそういうのは無いし、冒険者ってのも本当らしい。これは僥倖。
細身、しかしガッシリしてそうな人がフレールさん、大柄な人がチャシュさんで、二人とも人族。デリッシュさんは背の高い強気そうな女性で、土人族。で、ちっさな可愛らしい女の子がヤマッコさんだ。小人族らしく他のメンバーと歳は変わらないという。それはもう念を押すように説明してきた。端から見ると年端もいかない女の子を危険な冒険に付き添わせてるだけだもんね。
「よろしくお願いします。私たちは…まあチーム名は無いんですが、アレーファの街から来た冒険者です。アーティと申します。こっちに飛んでるのは、僕の従魔のホーリィで、冒険者ランクはFです。」
「キュルッ!」
街の救世主なのにFなのは何故かって?それは単純に幅広く依頼を受けるためである。異世界1年生の僕が高ランクのやつ受けたら失敗しちゃうからね。
本当はイレルフと同じBに上げてもらうはずだったんだけど、僕だけムリ言ってやめてもらったんだ。慣れてきたら素直に上げるつもりです。
「我の名はイレルフといいます。Bランクの冒険者です。」
「僕はテーミンといいます。まだ冒険者ではありませんが、アレーファの街で門番の見習いをしていました。」
「よろしく。なるほど、隣町から来たんだ。」
「はい。この街は初めてなので、宿の場所と、ギルドの場所を知りたいんです。お願いできるでしょうか?」
「いいよ!僕らが泊まってるとこがいいトコなんだ。空きもまだまだあったし、距離的に先にギルドに行かないかい?冒険者カードを出せば宿代も割引だし、テーミンクンも登録しといたらいいよ。」
「そうします!何から何までありがとうございます!」
「なに、先輩冒険者たるもの、後輩を教え導くものなのだよ。それに、少し手伝ってほしいこともあるんだ。人手がいることでね、ギルドで話し合いたいんだけど、どうかな?」
「はい、特に予定も無いので、あまりにも無理そうでなければ、協力させて頂きたいです。」
「ありがとう、じゃ、ギルドに向かうとしますか!」
〜〜
「…はい!これで登録完了です!これであなたは今日からDランク冒険者ですよ!テーミンさん。」
「ありがとうございます!頑張ります!」
冒険者ギルドに来た僕達は、とりあえずテーミンのギルド登録をしていた。Dだって、羨ましいねぇ。
「じゃあ、ちょうど昼時だし、ギルド運営の食堂ででもさっきの話の続きをしようじゃないか。」
「二人も冒険者歴は浅い?先輩は後輩に気を利かせるもの、会計は俺達が持つ。」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
初対面だってのに優しいねぇ。アレーファの冒険者を彷彿とさせる。
何気にこれが、この世界に来て初めての、人が自ずから作った料理になるのかもしれない。どんなものなのか、ちょっと楽しみだ。
〜〜
お食事も終わり、お話の時間です。
初めての異世界飯は美味しゅうございました。スパイス!だとか醤油!だとかは無いのだけれど、ハーブや柑橘類が使われていたり、異世界特有の魔獣素材がいい味を出していたりと、地球のものとも遜色ないものになっている、という印象。みんなが驚いてたのはおそらく胡椒やら変わった調味料やらによるのも大きいのかも。
「『ごちそうさま』って言うんだっけ?いいね。で、手伝ってもらいことなんだが…」
「依頼、一緒に受けてもらいたい。」
「『吟遊屍人の討伐・弔い』っていう依頼でね、この人数のパーティーじゃ足りないんだよ。」
なるほど、人手がいるってことなのかねえ。で、その…
「ギンユウシジンって魔獣のことなんでしょうか?旅芸人のようなものではなく?」
吟遊詩人撲滅の会とかだったら嫌よ?
「私が説明します。吟遊屍人というのは、特殊な不死者の魔獣です。常に楽器を鳴らし、他の魔獣、主に不死者を呼び寄せるんです。そして、なぜ特殊かというと、その発生方法にあります。普通の不死者は、清められていない墓地の死体から自然に発生するのですが、彼らは、志半ばで散っていった吟遊新人たちの、歌を聞かせたいという未練が体を動かすのです。」
怖っ。
「なので、彼らは成仏できていない地縛霊のようなものなのです。そしてどうやら、呪いによって動き続けるようで、歌を聞かせたいという気持ちと、解放されたいという気持ちが混在しているそうです。」
なんともまあ不幸というか可哀想というか…
「どうしてそれがわかったんですか?」
「前者は呪術のエキスパートによる解析で、後者は『念話』によって話しかけた物好きの学者によって明かされたそうです。それが判明して依頼、件の魔獣は発見され次第弔いの依頼が発生するようになったのです。」
なるほどねぇ、で、この話の結末は、その魔獣の討伐を一緒にしてもらいたいってものなんだろうね。相手が相手だし、放っておけないよ。
「そ、そんな魔獣が存在したとは…。」
(我ならどうにかできるのでは…いや、呪いを吸収するのは危険だな…)
反応も様々なようで。僕?僕は単純に早く呪いから解放してあげないとって思ってるよ。おや、ヤマッコさんがリーダーさんに何やら目配せをしているぞ。
「うん、わかった。説明はこれくらいでいいかな?では改めてお願いしよう。僕らは、『吟遊屍人』を真の意味で助けたい。協力して頂けないだろうか?」
そう言ってフレールさんは、僕達に深く頭を下げた。
真の意味…とは?
2026/2/14/22:50 『紅蓮』メンバーの容姿、種族関係の話を追加




