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第二十九話 道中

「いやぁいい夕焼けだねぇ。」

「そうですね、アーティさん。」


 アレーファの街を出発した僕達は、皆で歩いて (ホーリィは飛んで)移動していた。そして、綺麗な夕焼けを拝んでいたところだ。

 で、こう思った|方(女神様)もいらっしゃるのではなかろうか。『なんでアレーファに泊まらなかったの?』と。というか僕もなんでなんだろうと思ってる。

 要するに、ミスった。領主の方々に挨拶した後、他の人たちにも挨拶して、ついでのノリでドーガのとこまで行ったのがいけなかった。挨拶したら即出発みたいな空気になり、今更ドーガの家に泊まるとは言えなかったのだ。そして、今に至る。


 次に、ホーリィに乗りゃ良いのに、何故歩いているのかについてだ。

 それは、後に乗れるようにするためだ。知っての通り、テーミンが付いてきているのは、入団試験を兼ねたもので、僕は言わば試験監督に当たる。つまり、ちゃんと実践行動ができるかどうか、試さねばならんわけだ。

 兵士となれば、キャンプ設営や夜の見張りなんかもするだろうし、行軍でヘタってしまっては本末転倒だろう。そこで、ホーリィに乗って楽をするのではなく、敢えて歩きで移動することで、実践行動のテストをするということ。ここでできるんだったら大丈夫だろうしね!確認できたらこれからはビュンビュン飛ぶんだ!


「もう少しで夜ですね、そろそろ野営するとしましょう。」


 お、わかってるじゃないの、テーミンクン!え?なんで僕が平気そうなのかって?吸血鬼ヴァンパイアになってるからだよ!


「キャンプの設営は任せてもいいかい?僕はこういうのカラッキシでさ、スキル使えば一瞬なんだけどね。」

「勿論です!試験、ですもんね?」

「その通り!だからこそ徒歩で来たんだからね。食事は任せてよ。大丈夫、料理はしなくても心は込めてるから。」

「はい!期待します!」

「我らは周囲の警戒をしておきますね。」

「キュイッ!」


 みんな頼もしいねぇ。さぁて、何にするかな…






 〜〜






「「できた!」」


 丁度完成した瞬間が被ったようだ。なんたるミラクル。

 テーミンが設営してくれたのは、地球で流行ってた?キャンプ型宿泊施設に似たような見た目のでっかいテントだ。触ってみると…おお、しっかりしてる。ホーリィはちょっと無理そうだが、三人寝ても大丈夫だろう。…後でホーリィの寝床作って中に布団敷くか。


 僕が作っていたのは、クリームシチューだ。某手の甲に痣のある勇敢なる者のゲームのイメージで、剣と魔法の世界のキャンプ飯はシチューだ!と思ってたんだ。

 イメージはお家で食べるやつです。


「わ、すごいですね!」

「そうだろう!このスキルを頂けて本当に良かったよ。いつかはちゃんと作ってみたいけどね?」

「食事ができたのですね!」

「キュイッキュイッ!」

「今後の話し合いも兼ねて、食事にしようか。」


 ホーリィどんだけ食べるのかな、取り敢えずコピペしとくか。


「「いただきます!(キュイッ!)」」

「それは…?」

「料理の食材となった生き物と、その料理を作る過程に携わった人々に感謝の気持ちを伝える、僕の故郷の言葉だよ。食事の終わりには『ごちそうさまでした』って言うんだ。まあ、このシチューは僕のスキルと魔力でつくったんだけどね。」

「なるほど、良い文化ですね!組み合わせても良さそうです。我らが女神よ、日々の糧を得られる事、感謝致します。いただきます!」


 そんな感じなのねぇ。ドーガ言ってなくね?まあいいや。


「もぐもぐ、美味しいですね!結構歩いたから身体に染みます。」

「そりゃよかった。僕はズルして疲れてないからちょっと罪悪感が…、ところでテーミン、出立って知らなかったはずなのにすぐ出発できたのは…?」

「(もぐもぐ) それはです (もぐもぐ)ね」

「飲み込んでからにしようか?」

「…すみません。それはですね、先輩が数日前言ってたんです。アーティさんはなんかもうちょいでこの街を出そうな気がする。アーティさんなら色々大丈夫だろうから試験で連れてってもらえ。だからその準備をもうしておけって。」

「ドーガすごいな、流石ドーガ。」

「そうでしょうそうでしょう!先を見通すその穏やかでありながら鋭いあの目!憧れますよね!」

「え?あぁうん。」

「他にもありますよ!聞かせて差し上げましょう!「いや、いi…」先輩の数々の武勇伝を!」


 終わらないやつだこれ!

 唐突に始まったテーミンによるドーガの武勇伝は、日を跨いでテーミンが寝落ちするまで続いたのだった。

 ホーリィは寝てた。

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