第三話 転生
「そして2つ目ですが、ワタシが創った世界『ワードルド』に転生する、というものです。」
女神様はそんなことを口にした。
そして、異世界モノが大好きだった僕の答えは勿論こうだ。
(2つ目で!できれば何かしらの希少なスキルとかをお願いします!)
僕のいきなりのこの反応に、女神様もタジタジである。
「はっ、はい!『ワードルド』に転生したいのですね!では、転生するにあたり、何か特殊な能力を授けるとしましょう!他の神達はそうするらしいですから。」
(本当ですか!ありがとうございます!)
ウッヒョー!念願のチートスキル獲得なるか!?
「まず、あなたが異世界生活で困らないように、『言語理解』『空間収納』『解析鑑定』『ステータスオープン』のスキルを授けましょう。女神仕様で常人よりも強力なスキルになっていますよ。」
おお、異世界モノで定番のスキル達だ。あんまり目立たないけど憧れてたんだよなー。
「あ、そうそう。『解析鑑定』はこの世界で使える者がいないので、あまりひけらかさないほうがいいですからね。」
心得ました!
「そして!欲しがっていたようですし、特別なスキル、神託スキルを授けてあげましょう!」
神託スキル⋯神に託されたスキルか、名前からして凄そうだな。
「そのスキルの名は、『描画顕現』!」
描画⋯顕現⋯!イラストレーターの僕としてはなんともそそる名だが、どんな能力なのだろう。
「詳しく教えてほしそうですね、ですが!全てをわかっていても面白く無いでしょう。『ステータスオープン』を使えば詳細が見えるので、試行錯誤してみてくださいね!ほとんどのスキルは声に出したら発動しますから。」
そうですか⋯でもきっとそのほうがいい。自分で気づいてこそ、真に使いこなせるんだから。
「スキルの授与と説明はこのくらいにしておきましょう。名前は、どうしましょう?」
異世界だと日本人の名前は目立ちますよね⋯。ペンネームの「アーティ」でお願いします。
「はい、わかりました。姿は生前の姿にして差し上げますね。では、これが最後です。」
そう女神様が言うと、僕の姿は生前のーー死ぬ直前の姿になった。
「女神様、出会ったばかりなのに僕なんかに良くしていただき、ありがとうございました。この御恩、一生忘れません!」
「こちらこそ、ありがとうございました。最後に誰かと話したのは何十年も前で、あなたと話せたのはワタシも楽しかったのですよ。これからも、あなたの夢に現れるかもしれないので、その時はまた話し相手になってくださいね。では、さようなら。異世界からの来訪者よ。ワタシが創った世界で、存分に楽しんでくださいね!」
この言葉を最後に、僕の目の前は純白の光に包まれた。
最後に見えた女神様のその姿を、僕は忘れることは無いだろう。