第二十八話 禁忌
2章の始まりとなります。続けばいいな…
今話短めです。
そこは誰も居ない知らない傷ついた草原。
闇の広がるその草原には闇が1つ在った。否、居た。
その闇は恨みを、後悔を、憎しみを持っていた。もう思考できぬほどの状態だというのに、それだけは忘れられぬといった様子で。
そんな忌避すべき存在に近づく人の形を取った襤褸布が一人いた。嫌悪感を示すことなく、寧ろ熱の籠もった視線を向けるかの如く様子で寄っていたのだ。
「これはこれは、いと有り難しことですねぇ。」
「クックックッ、良きかな、良きかな。恨みに後悔、それに憎しみまで備え持っているとは。」
「おや、紫がかった赤ですねぇ。さぞ傲慢でかつ歪んでいたのでしょう。それもまた美しく良きかな!」
布は意味不明な叙述を続ける。
「良きかな、良きかな。これほどまでに『負』の感情に支配された傲慢な『魂』を見るのはやはり飽きませんね。今度は『哀切』に染まった『調子乗り』でも見たいものだ。どう調整したものか?」
「こんなに美しいものを放置するなど、私の高名なこの名が泣くというもの。処置を施しましょう。」
「ククク、良きかな良きかな。これで私好みの美しい『魂』を見られるということです。」
「バサラーク・バサラーク・アンドート・スピート」
響いたのは古代の呪法。現代ワードルドでは禁呪とされるものである。
「嗚呼、素晴らしいッ!成功ですね!これからの貴方の『名』は『ルグーギャ』!また、またまた災厄となりて、新しく美しい魂をワタシにまた見せてくださァァァい!」
誰も聞かないというのにどこか丁寧な、それでいて狂ったことを喚き散らす布の影。
平穏であるかのように見えた草原で、邪悪な火種が起こっていた。
それは丁度、アーティらが出立した後の最初の夜である。
「世界が滅びる時、この世界の生きとし生けるもの達はどんなに美しい『魂』を見せてくれるのでしょうか?嗚呼、楽しみで楽しみで仕方がありませんッッ!キキキキキッ!ギチャチャチャチャチャチャチャッ!」




