第二十五話 ……エッ!?バレてるゥ!?
イレルフのスキル 『拡大縮小』、そのままサイズを変えるやらなんやら言ってましたが、考えれば考えるほどよくわかんなくなったので、イラストアプリの拡大機能と同じようなもんだと思ってください。例えば、エネルギー量30の全力火球が大きさ1の時は、大きさ1あたりの威力が30。3倍に拡大すると、大きさ1あたりの威力が10。(これくらいなら普通の魔法使いもできる。)で、更に10倍に拡大すると、大きさ1あたりの威力が1。ということです。普通の魔法使いよりも大きさ変化をしやすい、という能力ですね。
局所的に雷レベルの静電気よりも広範囲のビリビリマシンの方が痛いよねの理論で効果はある・・・と思う。なお、氷柱を生成する魔法で、魔力を込めることで数が増えるか大きくなる、という効果なら、大きい氷柱たくさん、とかができます。
勿論、身体の大きさも変えられますが。
あとは、放出したあとの魔法、衝撃波の大きさも変えることができます。
それと、気付いたんです。この小説、ムサイおっさんとムサイおっさんと爺様とヤンキーしか出てない!華がない!
「この『唐揚げ』ってやつ最高だな!」
「こっちもすごいわよ!こんなに甘いスイーツ、貴族でも食べられないんじゃないかしら!?」
会話からもご察しの通り、僕は能力を使って戦勝パーティで料理を振る舞っている。
そんなつもりはなかったのに!
〜〜
時は遡り、ちょうど討伐が終わった頃。
ホーリィは三分の一、つまりは元のサイズに戻り、僕の所に帰ってきていた。
ちなみに経験値はほとんどホーリィに入り、残りのほとんどがイレルフに入った。攻撃を防ぐくらいしかしていない僕達にはほんのちょっとしか入らなかった。酷い。
それにより、ホーリィのレベルは30になり、イレルフはレベル5から10になっていた。僕は変化無し!
具体的にどうなったかと言うと、
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名前:ホーリィ
種族:|天の陽光【ゴッドレイ】
地位:アーティの相棒
Lv.30
MP:800/800→1100/1100
体力:250(750)→1000(3000)
筋力:100(300)→395(1185)
守備:150(450)→462(1386)
魔力:350(1050)→605(1815)
器用:2
俊敏:150(450)→410(1230)
知力:60→75
画力値:510/1200→810/1500
スキル:発光、飛行、水陸両用、サイズチェンジ、身体強化、速度強化、超過駆動、部分鋼化、闇属性耐性(New)、高速再生(New)
魔法:聖属性魔法
装備:無し
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名前:イレルフ
種族:描画魔狼(人化)
地位:アーティの相棒
Lv.10
MP:360/360→410/410
体力:129→163
筋力:172→201
守備:90→123
魔力:232→297
器用:17
俊敏:283→354
知力:55→60
画力値:430/900→530/1000
スキル:覇気、変幻自在、身体強化、拡大縮小、色素吸収、部分鋼武器化、爪斬撃
魔法:色素魔法、付与魔法(New)
装備:魔素製の服(防御力45)
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伝説的な魔獣を倒したのにレベル30まで上がるので済んだのは、こちらもまた伝説的な魔獣を象った魔獣だからなのだろう。二人とも十分にチートと化してるけどね!
「キュイッ!キュゥイ!」
キウイ…?
「よしよし、よく頑張ったなぁホーリィ!お前が街を救ったんだ!偉いぞォ。」
声といい仕草といい、図体の割に可愛いなコイツ。僕はこうして愛でているわけだが、当然戦いの功労者…エイ?の所には人がワラワラ集まってくるわけで…
「すごかったぜぇあんたの神獣!」
「あんたらのお陰で俺等は無事で居る!ありがとよッ!」
「いえいえ、そんなそんな。頑張ったのはホーリィですよ。」
「キュゥ〜」
「そんな謙遜すんなってアーティ!」
「そんな、ハハハハ…ハ?」
あぁれぇ…?あ!演技忘れてたぁ!厨二病になりきらなくては!
「フッ、フフッ!アーティとは、な、何のことかなッ!わッ!我の名はシャッルームッ!断じてアーティではないッ!」
「シャッラームでは?」
「ウグゥッ!クッ!」
「どうかしましたか?ご主人。」
「あ、イレルフゥ…あ。」
「え?…!申し訳ありません!」
OH MY GOD!! チェックメイトだッ!
「やっぱアーティじゃねえか!バレッバレだよ!」
「おかしいと思ったんだよ。あんたらは期待の新人コンビで、加えてドーガさんの恩人だ。知らない人は居ねえよ。なのに誰も姿を見てないってんだ。な?おかしいだろ?」
そして現れる神獣使いを名乗る、謎厨二病仮面ローブ男に、規格外の神獣的な魔獣。加えて、片割れのイレルフが一緒に行動してるし、途中で普通に化けの皮が剥げると……まあバレるわな!
そうして僕は、ホーリィの出処やらなんやらを話すことになり、秘密を公表したのだった。
〜〜
で、料理やらスイーツやらを提供しているのだが、それがまあ好評で好評で。ちなみに、ご飯屋さんの仕事を奪いかねないので、完成品達は特別なときだけ提供すると説明している。
おや? 誰か人が?
「アーティさん、ご相談があるのですが…」
「えーっと…あなたは?」
「すみません、申し遅れましたァ! この街で食堂を営んでおります。コースと申します。」
あぁ、食堂の人をどうして知らないのかと思ったら、ずっとスキルで済ましてたから食堂に行ってないんだった。行ってみようかな?
コースさんはブロンズのポニテが目を引くエルフのお姉さんって感じだ。なにげに本物のエルフを見たのは初めてだな。感激!
「今度ご利用させて頂きますね。ところで、ご相談とは何でしょうか?」
「アーティさん、もしよければ、料理のレシピを頂けないでしょうか? 私も頂いたのですが、今まで食べたことのないような、娯楽として食に時間と手間暇を注いだかのような美味しさで! 是非とも! うちの食堂でも提供したいのですよ!」
おおう!そんなにですかぁ!この世界、やっぱりめちゃつよの魔獣が蔓延ってるし、あんまり料理の方は発展してないのかな…というかアレか。醤油と砂糖とかの調味料かな? 野菜やら肉やらは魔獣のおかげで逆に潤ってそうだし。
「いい…んですけど、僕にもレシピはわかんないんですよね…。」
「そう…ですか…。」
あぁっ!シュンってしてる!コースさんがめっちゃシュンってしてる!
どうにかできんもんかねぇ…ええぃ!もう隠す必要も無いんだし、物は試しだ!
「レシピはわかりませんが、試したいことができました。少しお待ち下さいね。」
「は、はぁ…。」
そう言って取り出したのは、いつもの画材道具(キャンバスは小)だ。
そして描くのは本。子供の時に買ってもらった動物が載ってる大きめの図鑑、くらいのそこそこ分厚い本だ。
そして、そのタイトルは『地球の料理』だ。ワードルドの言語でお書きいたしました。
「『物質顕現』!」
「おぉ!」
度重なるスキルの使用からか、消費魔力は5くらいで済んだ。熟練度が上がったのかねぇ?
主張の激しい虹渦が収まった後にあったのは、絵から文字通り出てきた『地球の料理』と題された一冊の本だ。
どれどれ?
パラパラーっと。
「書いてある…というか載ってるのは僕が知ってる料理…だけじゃないな。世界各地の料理の写真みたいだ。」
「失礼…コレは…!なんと細かい絵何でしょうか!まるでそこに様々な料理が在るような…!」
写真はこの世界にはないらしいね。今ん所レシピは存在しないようだが、まだ試すことがあるからね。
「『プラスインフォメーション』えぇと、何々?…」
「アーティさん何を?」
「この本に情報を追加しようとしてるんですよ。いつもの耐久力はいいとして、『自動再生』は付けておくか…」
本に付けられるのは。『高耐久化』、『自動再生』、『鋼化』…また・お・前・か・!
そして、『情報詳細化』である!
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情報詳細化:記された物をより詳細に昇華させる。絵本が新書に変わるほど…かもしれない。
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それはちょっと子供ちゃんが可哀想かなぁ??
というわけで、これを付けてみる。本はページを細かく描かねばならる故に画力値が意外と高いので問題はな…おおっ光った!
「な、何が起こったのですか!?」
「僕にも詳しいことはわかりませんが…見てみましょう。」
本を開くと…写真は変わらず、料理名とその説明、そしてレシピが追加されていた!この世界の言葉で!
「わぁこれはすごいですねぇ…って砂糖とかめっちゃ使うじゃないですか!」
「あ、やっぱりそこらへんが…?」
「はい、塩とかハーブならあるのですが、砂糖や胡椒などは貴重でして…。他の食材ならおそらく対応できるのですが…。」
「そうですか…なら、こうしませんか?対価を支払っていただけるなら、定期的に調味料類をお譲りしましょう。勿論、相場よりは低くて結構です。この街にはお世話になっていますから。」
「よろしいのですか!是非お願い致します!」
成り行きみたいなものだが、食堂との伝手ができた。これで能力を直接使わずとも地球の料理が広がる、かもしれない。アレンジもきっと生まれるだろうから楽しみだ。
正直な所、それ以外はメリットとしては薄い。ぶっちゃけこの身体と魔力さえあれば生きていけるし料理も食べられる。だが、日本人としての性なのか、人間としての性なのか、この楽しみは共有したい、広がってほしいと思ってしまうのだ。
自分だけが美味しい特別な料理を食べているよりも、特別だった『普通』の料理をみんなで一緒に楽しく食べる。その方がずっと良いと、僕は思うのだよ。
で、出荷に関しては、イレルフやホーリィの移動速度は中々だし、問題は無いだろう。見た目が分からないやつ?
ほら、それは袋に名前を書くという荒業でね…?。
しかし驚いたなぁ。本に名前を書いただけで中身まで決まるとは。本当になんでもアリだな…。
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「さて、道はこっちで合ってるかな。」
地球の料理をみんなで食べてどんちゃん騒ぎだった戦勝パーティの翌朝、僕はアレーファを代々治めている貴族の、アレフ・アレーファ様にお呼ばれしていた。お抱えの冒険者にしたい!とかではなく、依頼をしたいらしいのだ。
ドーガの情報が正しければ、かなりの人格者らしい。というか、この国「スタディーズ」の王族貴族は、この世界では珍しく、人格者しか居ないらしい。さながら某J卿のような素晴らしい御方が大勢いるそうな。
同行しているのはイレルフと、顔繋ぎの為にドーガだ。貴族とも繋がりがあるとは、流石ドーガ。
お、いかにも金持ち!って感じの豪邸が見えてきたな。あ!すごい!燕尾服の執事さんがいる!
「ご足労頂き感謝致します。アーティ様とイレルフ様で御座いますね?私はこの屋敷で執事をしている、エンビと申します。我が主がお待ちです。ご案内致しま…」
「あー!今ウワサになってるアーティって冒険者ね!フシギなワザを使うんでしょう!?見せてちょうだいよ!」
ん?このお嬢様はどなた?
「ああいけませんアーラお嬢様!その方はお客人なのですよ!すみませんアーティ様…。こちらは、アレフ様の御息女の、アーラ様で御座います。(お客様がいらっしゃるのでお部屋にいらっしゃって下さいと言ったではないですか!)」
「仕方ないじゃない!この街で真新しいことなんて何もないんだもの!ねぇ見せてちょうだいよぉ!お父様の依頼もどうせ大したものじゃあないんだから!ほら!」
燕尾服の執事さんーーエンビさん、大変なんだろうなぁ。お嬢様のアーラ様は、なんというか人懐っこい小鳥というか子犬と言うか…めっちゃ目ぇキラッキラしてるぅ!
「エンビさん、でしたか?あまり時間はかけませんので、少しお時間を頂いてもよろしいですか?」
「あぁ、はい。申し訳ありませんね、アーティ様。主に伝えておきますので、終わり次第お越しください。お嬢様、アーティ様に御失礼の無いよう。」
「ありがとうエンビ!」
「どういたしまして。では、これで一度失礼致します。」
エンビさんホッとしてるな。僕が癇癪持ちだったら…とか不安だったのかもね。僕は全く気にしてませんよ!
「さあ見せてちょうだい!あなたの能力とやらを!」
何かの試験か何かですかね?
なんやかんやで、お嬢様のお相手をすることになった、僕なのだった…。




