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第二十話 ルッキング・チェンジ

700PV達成、有り難う御座います!


前回のあらすじ:腕を釘にした

 ルッキング・チェンジ、かなりやばい権能だと、僕は思う。具体的に何があったかと言うと…

 ・左腕だけを鉄釘に変化させる事ができた(動かせるし外れない)

 ・種族が「顕現種族:改造人間・『鉄』」になった。

 ・顕現種族効果というのが付き、筋力、左腕の守備がめっちゃ強くなって左腕そのものが武器になった。

 ・プラスインフォメーションの欄が現れた。

 ということだ。

 どちらにせよ、この腕は何かと不便なことに違いない、というかこれだとまともに生活できるはずがないので、他のものにしようと思う。種族が変わってステータスが変わった、ということは、他にも色々あるはずなのだ。

 ということで、簡単に1パーツ変えれば種族が変わるであろうものを試してみる。

 まず試すのは、エルフ耳。異世界ファンタジーの亜人と言えば、エルフ!異論は認める。冴えないアラサー日本人男性のエルフ姿なんて誰が見たいんだよって思ったよね?僕も、そう思う。だけど、顔が変わったらどんな不都合があるかわからないので、大きくは見た目を変えないことにする。

 そしてその次は吸血鬼(ヴァンパイア)の犬歯?と、翼だ。耳も尖っているイメージがあるから、そのまま流用する。


 〜〜〜〜


 ということで制作しました、エルフの耳と吸血鬼(ヴァンパイア)セット。早速耳から付けてみようと思います。(腕は戻した)


「自分の耳に向かって、『ルッキング・チェンジ』!」


 そしてぼんやり光り始める僕の耳。それを生暖かく見守る優男。やめて!そんな目で見ないで!


「どうだイレルフ、耳はちゃんと出来上がっているか?」

「はい、それはもう生まれた頃から長耳族(エルフ)であったかのように、違和感なく置き換わっておりますよ。」

「それはよかった。さて、種族効果の確認だ。『解析鑑定』」


 ーーーーーーーーーーー

 名前:アーティ

 顕現種族:長耳族(エルフ)

 顕現種族効果:MP+50、魔力+100、俊敏+20、隠密、木登り、弓技量、植物魔法

 元の種族:人族

 地位:絵師、転生者、冒険者

 Lv.3(10)

 MP:105/120→155/170

 体力:12

 筋力:15

 守備:12

 魔力:43→143

 器用:121

 俊敏:7→27

 知力:25

 装備:無し

 スキル:言語理解、空間収納、ステータスオープン、解析鑑定、描画顕現

 空間収納:異世界の服、始まりの筆、ジャイアントライノの角、貨幣、地球のステーキ、釘、冒険者カード

 魔法:無し

 使役魔獣:描画魔狼 (イレルフ)

 プラスインフォメーション:無し

 ーーーーーーーーーーー


 なるほど、エルフと言えばコレ!って感じの能力が上がるらしい。

 次は歯と翼だな。念の為上は脱いで、と。


「『ルッキング・チェンジ』!」


 口が光りだす。背中の方は恒例の虹渦が出ているようだ。あ!またイレルフが生暖かい視線を!


 変化が収まったので、確認してみることにした。歯の犬歯の部分を触ってみると、大きく、鋭くなっているのがわかる。そして背中だが、蝙蝠のような、漆黒の翼が広がっているのが少し見える。念ずると…お、背中に収納できた。


「どうだ?イレルフ、見た目の方は。」

「その状態だと、先程と何ら変わらない長耳族(エルフ)のように見えますね。」

「なるほど、効果によっては普段からなっていても問題は無いかもしれないな。『解析鑑定』」


 ーーーーーーーーーーー

 名前:アーティ

 顕現種族:吸血鬼(ヴァンパイア)長耳族(エルフ)

 顕現種族効果:長耳族(エルフ):MP+50、魔力+100、俊敏+20、隠密、木登り、弓技量、植物魔法

 吸血鬼(ヴァンパイア):体力無限化、MP+50、筋力+60、守備+40、魔力+100、俊敏+40、陽光弱点化(小)、血液栄養変換効率増大、飛行、身体細分化、自己再生、暗黒魔法、夜目

 元の種族:人族

 地位:絵師、転生者、冒険者

 Lv.3(10)

 MP:105/120→205/220

 体力:12→∞

 筋力:15→75

 守備:12→52

 魔力:43→243

 器用:121

 俊敏:7→67

 知力:25

 装備:無し

 スキル:言語理解、空間収納、ステータスオープン、解析鑑定、描画顕現

 空間収納:異世界の服、始まりの筆、ジャイアントライノの角、貨幣、地球のステーキ、釘、冒険者カード

 魔法:無し

 使役魔獣:描画魔狼 (イレルフ)

 プラスインフォメーション:無し

 ーーーーーーーーーーー


 おーっと、なんだコレは、これでもイレルフには及ばないことのほうが多いがえげつないことになっている。「顕現種族」を見る限り、今の姿は、長耳族エルフ吸血鬼ヴァンパイアになった姿、のようだ。今までのラノベ知識を振り返って考察するならば、体力が無限なのは、不死者(アンデッド)だから。陽光と血液の欄は、よくある吸血鬼(ヴァンパイア)の特性、身体細分化は、体を蝙蝠にしたりするアレだろう。

 どんな効果があるかよくわからないから、説明を見てみよう。


 ーーーーーーーーーーー

 陽光弱点化(小)⋯陽光化でステータスが1割減する。陽光が肌に直接当たることで効果を発揮する。

 血液栄養変換効率増大⋯吸血をすることで食事よりも高い効率で養分を摂取することができる。

 身体細分化⋯身体を細かな黒い生き物に変える回避行動。どんな生き物になるかは自分で決定できる。

 ーーーーーーーーーーー


 陽に当たった瞬間塵になる!とかでは無いようで何よりだ。「憑きの羽熊ツキノハグマの討伐兼採取」は夜間に行う依頼であるため、デメリットもこれと言って無いから、このままで良いとしよう。あとは武具を作る作業に取り掛かるとしよう。イレルフは『部分鋼武器化』があるから良いとして、自分の武器と防具が必要だな。なるべく軽いのに……






 ーーーーーーーーーーー






 ということでやってきました!アレーファの街周辺の草原です!時刻は日も沈みきった夜。僕は種族効果で、イレルフは狼として夜目が利くので、明かりなくとも問題なく見えている。


 依頼を達成するため、僕が創造したのは銃と服だ。

 服を選んだのは、なるべく動きやすくするため。防御関係に特化したものを付けているので、防具として申し分ない。羽を出すことも考慮して、『形状自動調整』の効果も付けている。

 そして、銃を選んだのは、「カッコイイから!」とか「無双できるから!」というのはちょっとしか無く、技量に関係なく使えるように、そして近付いて被弾しないようにするためだ。


 銃にも技量がいるのは勿論だが、それは『プラスインフォメーション』でどうにかなる、そう考えたのだ。それに、仮に剣を作って技量がめちゃ上がる効果が付いたとして、それを見られたらどうなるだろうか?おそらく剣の腕に関しての評価が丈に合わないほど上がり、何かとしんどくなるだろう。「木刀で手合わせ願いたい!」とか言われたら詰む。

 その点、銃なら「魔法弾に志向を持たせる魔道具で、僕に実力があるわけではありません!」とでも言えば良いだろう。事実そんな効果を付けてるし。

 近づかれたらどうするかと言うと、『始まりの筆』で殴る。

 ちなみに創った物を具体的に言うと、コチラで御座います。


 ーーーーーーーーーーー

 名称:防御服(バリアクロス)

 種類:服

 画力値:0/140

 防御力:240

 説明:異世界人が神託スキル『描画顕現』を使用して創造した服。高い防御力を誇り、どんな者でも不自由なく着ることができる。細かな場所に努力の跡が垣間見える。

 プラスインフォメーション:高耐久化、防御力上昇、防御力上昇(強)、破損耐性、形状自動調整

 ーーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーーー

 名称:魔力銃

 種類:銃器

 画力値:0/120

 攻撃力:補充魔力次第

 説明:異世界人が神託スキル『描画顕現』を使用して創造した異世界の武器。実弾ではなく魔力を込め、魔力弾として撃ち出す。狙ったものは百発百中。

 プラスインフォメーション:高耐久化、ホーミング、魔力充填、属性付与、ステルス

 ーーーーーーーーーーー



 依頼の話に戻る。「憑きの羽熊ツキノハグマの討伐兼採取」依頼の達成条件は、第一に憑きの羽熊ツキノハグマの討伐。そして第二に、なるべく器官を傷つけずに採取することだ。つまり、たとえ倒したと言っても、火魔法で焼き尽くしたり、切り刻んだりしてダメにしたのでは全く以て意味がない、ということだ。

 つまり、どういうことかと言うと、今回はイレルフは戦ってはならない。何故なら、イレルフがやると、ワンパンだが相手がバラバラの細切れになり、素材として適さなくなってしまうからだ。イレルフには技量が無く、力押ししかできない。そして、魔法も相手の能力を奪い取る『色素魔法』と来た。今回の戦闘で使うわけにはいかない。

 よって、イレルフが索敵して囮を担い、僕が『属性付与』をした「魔力銃」で仕留める、という算段だ。

 憑きの羽熊ツキノハグマの特性は、夕方に地から這い出てきて夜中に活動し、不死者(アンデッド)らしく、生きとし生けるもの全てに襲いかかること。そして見た目の特徴は、腐った羽根の生えた熊で、常に瘴気を放っているから居ることはすぐわかるのだとか。


「グルルル…!」


 お、イレルフが見つけたらしい。ちなみにイレルフは、乗ったほうが速いし、索敵や戦闘も今のところは狼の方が格段にやりやすい、とのことなので最初の「描画魔狼」の姿に戻っている。何度見ても我ながら荘厳な狼を描いたものだ。


(いたんだな?イレルフ。)

(ワフ)


 そうしてイレルフが指し示した方向には、視覚内で、拳くらいの大きさの瘴気が見える。かなり遠くに居るらしい。


 実験もとい牽制で、「魔力銃」で狙撃してみよう。纏わせるのは『聖属性』だ。僕もある意味女神様に認められた人間と言えるので、聖属性が使えるみたいなのだ。種族効果により、植物、闇属性も扱えるが、今回は都合が良いので聖属性を選んだ。


 ちなみに聖属性は、女神様に認められた者しか使えないが、特別な力を発揮することの多い属性で、浄化、回復、そして、不死者アンデッド相手限定で攻撃をおこなえる。聖属性の攻撃は、不死者アンデッドに効果を発揮し、大きなダメージを与え、消滅させるという。


 今回の依頼において、消滅はまずいことではないか、と思うかもしれないが、それは問題ない。受付に聞いたら色々教えてくれた。

 不死者アンデッドには色々種類がある。腐人(ゾンビ)骨人スケルトンなどの、死体がそのまま魔獣になった、知性の無いもの。吸血鬼ヴァンパイア不死魔道士リッチなどの知性を備えた魔族であるもの。死霊(ゴースト)や人魂など、魂だけで存在しているもの。他にも色々ある。憑きの羽熊ツキノハグマは、見た目なら死体が魔獣化したものに近いが、その本質は、何らかの霊が憑依したことにより発生する、「憑依型」だ。この場合、「浄化」の力を込めると毒や腐食が浄化されるため恐らく消滅するが、『属性攻撃』として放てば、その憑依した霊にのみダメージを与えることが可能らしい。


 では、早速試してみるとしよう。

『魔力銃』を構え、『聖属性』を纏わせる。そして照準を合わせる。狙うのは魂の核だ。

 僕が引き金を引くと、聖なる弾丸は静寂を保ったまま射出され、弧を描くように飛び、哀れな憑かれた熊の下にたどり着いた。

 崩れ落ちるように倒れるのが見える。


『経験値を獲得し、レベルが上昇しました。』


 おやぁ?


 ーーーーーーーーーーー

 名前:アーティ

 顕現種族:吸血鬼(ヴァンパイア)長耳族(エルフ)

 顕現種族効果:長耳族(エルフ):MP+50、魔力+100、俊敏+20、隠密、木登り、弓技量、植物魔法

 吸血鬼(ヴァンパイア):体力無限化、MP+50、筋力+60、守備+40、魔力+100、俊敏+40、陽光弱点化(小)、血液栄養変換効率増大、飛行、身体細分化、自己再生、暗黒魔法、夜目

 元の種族:人族

 地位:絵師、転生者、冒険者

 Lv.8(35)

 MP:200/220→220/240

 体力:∞

 筋力:75→84

 守備:52→61

 魔力:243→260

 器用:121

 俊敏:67→78

 知力:25→30

 装備:防御服(バリアクロス)(防御力240)、魔力銃

 スキル:言語理解、空間収納、ステータスオープン、解析鑑定、描画顕現

 空間収納:異世界の服、始まりの筆、ジャイアントライノの角、貨幣、地球のステーキ、釘、冒険者カード

 魔法:無し

 使役魔獣:描画魔狼 (イレルフ)

 プラスインフォメーション:無し

 ーーーーーーーーーーー


 一気に5もレベルが上がったのか!流石Bランクの魔獣。いつの間にかイレルフは人の姿に戻っていたようだ。


「もう、終わりなのですか?」

「ああ、レベルが上がったってことは倒したってことだろう。」

「!レベルアップですか!おめでとうございます!にしても、呆気ないものですね。回収に向かうと致しましょう…ご主人、あの黒い物体は何でしょうか?」

「ん?あれは…もしかして…」


 イレルフに促され上を見ると、上空に一つの影が悠々と羽ばたいていた。いや、泳いでいたと言う方がいいのかもしれない。何故ならソレは、平たい悪魔のような見た目、つまり地球で言うマンタのような見た目をしていたのだから。

 違いを挙げるとすれば、そのマンタは禍々しいほどのドス黒いオーラを放ち、全身が紫寄りの黒色1色、という点だ。見るからに只者ではない。


「イレルフ、アイツには手を出すなよ?前情報が何も無いし、何より明らかにヤバい。」

「承知しております。とりあえず、『見て』みてはどうでしょうか。」

「そうだな。『解析鑑定』」


 ーーーーーーーーーーー

 名前:無し

 種族:悪魔の光(デビルレイ)

 Lv.45

 説明:平たい体に悪魔のような1対の角、漆黒の身体を持つ、不死者アンデッドのAランクの魔獣。性質は温厚だが、一度敵対すると手が付けられない。触らぬ神に祟りなしとはこの事。

 装備:無し

 ーーーーーーーーーーー


 どうやら、攻撃を仕掛けなければ大丈夫な魔獣のようなので、一先ずは安心と言ったところだろうか。


 程なくして、悪魔の光(デビルレイ)は、僕らの事を気にした様子も無く、オーラを放ちながら優雅に飛び去った。


 僕は、禍々しくも美しいその姿を、見えなくなるまで見送ったのだった。


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