第十八話 冒険者ギルド
半日でpv数の最高記録を塗り替え、500を超えたようです。何があった!ありがとうございます!
「冒険者とは何か!冒険者に欠かせないモノは何か!ここでは諸君に冒険者の心得を叩き込ませてもらう!今日は元Bランク冒険者のドーガ殿にも協力してもらうことになっている。」
「元冒険者でこの街の門番をしているドーガだ。よろしく。」
ゴツいハゲ頭のおっさんが威勢良く口上を述べ、髭面のおっさんがそれに続く。うーん、ムサい。
僕は今、冒険者ギルドが開いている冒険者講座に参加している。講師をしているのは、ハゲ頭のおっさんーーベテランギルド職員のバギラさんがいつも担当しているそうだが、今回は例のイカつい顔のおっさんーードーガが加わっている。
「というかバギラ。俺とお前の仲じゃねえか、殿なんてかしこまるのはやめようぜ?」
「まあそれもそうだな!俺はお前が新人の頃からの付き合いの親友だからな。あれからもう13年か、14歳のガキだったお前が今や兵士の指南役だとはな。」
「バギラこそ、あの頃は22歳の新人職員だったじゃねえか。その歳で次期ギルドマスターとの話も出てるってのは大した話だぜ。」
ん?聞き間違いかな?計算してみよう。バギラさんが、13年前に22歳だから、今35歳。それはいい。で、ドーガが、13年前に14歳…?今27歳?え、嘘でしょ?僕今26歳だよ?あのムサいおっさんと僕1つしか歳違わない?マジで?
僕はそれに混乱していたが、受講者の一人が促したことで、説明が始まる。
「まず確認するのは、冒険者とは何か、についてだ。さて諸君、諸君らはどう思うかね?」
問いかけるバギラ。数人の見習いがそれに応えた。
『モンスターを倒す人のことだろ?』
『要人の護衛だと思います!』
『何でも屋…?』
「色々意見があるようだな。どれも間違っちゃあいないが核心を突いてはいない。」
「俺の話を聞いてたんならわかるよな?よし、アーティ言ってみろ!」
え゛僕?ドーガの話といえば…あれか。
「読んで字のごとく、冒険をする者!」
「そう、そのとおりだアーティ君。冒険者の本質は、冒険をすることにある。冒険とは、未知を追い求めること。まだ見ぬ宝を探すのはもちろん、倒したことのない魔獣に打ち克つことも、したことのない経験をすることも冒険と言える。」
「冒険者ってのは言ってみりゃ単なる漂流者だ。基本的にはどっかに拠点を持つでもなく、ただ命を張ってそれでメシを食うイカれた職業だ。だが、だからこそ誇りがいる、必要になる。俺達はただ命をドブに捨てようとしてるんじゃねえ。まだ見ぬロマンを求め、誇りを持って冒険をしているんだ。芸術家が自分の作品を誇りに思うように、俺ら冒険者は己の冒険譚を誇りに思っているんだ。憧れ無くして、一人前の冒険者にはなれないもんだ。」
「まあ勿論、依頼を達成することも大事だ。人助けをすることも、魔獣を狩ることも、護衛をすることも立派な冒険者の仕事であることも間違いない。ただの荒くれとして見られないためにも、そういうことには気を払う必要がある。」
おお、なんかカッコいい。よくわかんないけど。周りのみんなも憧れに目を輝かせているようだ。
どんな仕事にも、誇りは必要だ。誇りがあるからこそ、最高の仕事をすることができるものだ。僕もイラストレーターとして誇りを持っていたから分かる。きっと冒険者という仕事にも同じようなことがあるのだろう。
「冒険者に、冒険に、誇りを抱き続けられる者だけが、一流の冒険者になることができる。そのことをわすれるんじゃねえぞ?」
「これで冒険者の心得は伝え切ったな。それでは諸君らには、冒険者になるにあたって、注意すべきことを説明していくとしよう。」
その後、バギラさんはギルド職員らしく、冒険者ギルドの役割や以来の受け方、冒険者ランクや各国に共通する決まりなど、様々なことを伝えていった。そして、講義が終了した。
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「はい、アーティさん。自分の魔力をカードに刻まれた魔法陣に流してみてください。そうすればあなたはこれから、Fランク冒険者です!」
数刻後、僕はギルドの受付さんから、新品の冒険者カードを受け取り、登録を済ませていた。登録の仕方は簡単!それは、千差万別の魔力を、カードに刻まれた魔法陣と、ギルドにある判別ぼ魔道具両方に刻むだけだ。ちなみに、魔法陣に魔力を流すと、その者を表す模様が浮かび上がる。僕は絵筆だった。
「はぁい、イレルフさん♬これが、あなたの冒険者カードですよ。これであなたは、今日からBランク冒険者です!!」
そしてなぜこれほどまでに接し方とランクに差があるのか。それは、潜在能力によるものだ。
〜〜
遡って数刻前。僕とイレルフは、冒険者ギルドにある、特殊な魔道具で、能力を測ることになった。正直イレルフのこのチートっぷりはあまり見せびらかしたくないが、冒険者登録には必須だということで、渋々承諾した。
「まずはアーティさんお願いします。この水晶の部分に、手をかざしてみてください。」
この魔道具は、「測定水晶」と言うそうで、能力値が冒険者ランクと同じ形で出てきて、その平均値で、最初のランクが決まるという。
僕は水晶に手をかざした。すると、ソレが光り出し、僕の能力を映し出した。
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名前:アーティ
適正職業:絵師
体力:G
筋力:G
守備:G
魔力:E
器用:B
俊敏:G
知力:F
平均:F
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職員さんの話によると、Gが最低で、Bが最高なのだという。登録時に出た平均の値が初めのランクなので、A以降の、人格も加味されるランクには流石にできないから、とのことだ。まあそんな心配は僕には不要なのだが。
あれから僕は「器用」くらいしか上昇していないからな。今のステータスはこんな感じだ。
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名前:アーティ
種族:人族
地位:絵師、転生者
Lv.3(10)
MP:120/120
体力:12
筋力:15
守備:12
魔力:43
器用:110→120
俊敏:7
知力:25
装備:無し
スキル:言語理解、空間収納、ステータスオープン、解析鑑定、描画顕現
空間収納:ザッツソウ少量、マジック キャンバス(中)、マジックカラー、仕切り直しの筆、異世界の服、始まりの筆…
魔法:無し
使役魔獣:描画魔狼 (イレルフ)
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ちなみに悪目立ちするってことで服は着替えて、『空間収納』に突っ込んだのだが、数が増えたことで表示し切れなくなったらしい。それで気付いたのだが、『空間収納』と唱えることで一覧が出てくるのだ。いい加減ザッツソウどっかに捨ててこようかな…。
見ての通り、僕のステータスは一つを除いて貧弱オブ貧弱だ。故に例の黒ローチが並んでいるようにGが並んでいるのも納得というもの。だがなぁせっかくの異世界なのになぁ…
その間職員さんはというと、Gだらけの中に「器用」のBを見てギョッとしていた…が、可哀想なものを見るような目でこちらを見ていた。くっ、やはり子供より弱いのか!
僕がそんなことを考えていると、イレルフの番が回ってきた。
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名前:イレルフ
適正職業:守護者、戦士、魔道士、獣戦士
体力:B
筋力:B
守備:C
魔力:B
器用:G
俊敏:B
知力:E
平均:B
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でしょうね。イレルフの弱点は「器用」が低いことだが、それを以て余りある高性能。僕の真逆だね。これには職員さんもびっくりで、目をキラキラさせている。僕の時と全然違う…!
〜〜
そういうことで、僕はFランク冒険者、イレルフはBランク冒険者になったのだ。ギルド職員はイレルフに他のパーティに入ってはどうかと勧められていたが、しっかりと断っていた。イレルフの気が変わってなくて僕は嬉しいぞ。
仮に誤字らしきモノがあれば、報告お願いシマス!