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第一六話 人化

400pv突破ありがとうございます。

お久しぶりです。ぬいぐるみ作りにハマったり宿題に追われたり、文、設定を考え直したりして、更新がだいぶ空きました。申し訳ありません。変更した設定としては、ステータスが、レベルアップの時だけでなく、鍛錬によっても上昇する、というように変更しました。第八話の最後らへんを改変しているので、よろしければ見てみてください。

「はい、ぜひともお願い申し上げます。我が主人よ!」


 そんな、仰々しい言葉が帰ってきた。イケボで。

 え?誰?


「お前さん、後ろ見てみろよ。」

「んあ?ああ、うん……え、誰?」


「ご主人様、我は、あなた様の唯一の従魔のイレルフですよ。」


 ドーガに言われてゆっくりと振り向くと、そこには物腰柔らかな感じの優男が居た。すっごいイケメンで、勿論僕や、失礼だがドーガも全く勝負にならないだろう、見た目で。


「だよなぁ、信じ難いがイレルフしかないよなぁ。そうじゃない方が恐ろしい。ところで、どうして突然人間の姿に?」

「そうですね…。ズバリ!(われ)がご主人の記憶を少し読み取り、ご主人がそれを望んでいるのではないか、と考えたから、などですね。」


 なるほど。僕は異世界モノが大好きだ。獣が人化する、というのはよく読む設定で、多少は憧れがあったはずだ。


「なるほど、大体はわかった。というか、何で僕の記憶読めてんの?」


「我の最初の記憶…従魔にしていただいた時にはもう読み取ることができていましたよ。」


「なるほどそうか!従魔師(テイマー)はテイムした魔獣と記憶の共有g…。」


「いや、そんなことは見たことも聞いたこともないが?」



「「……………………。」」


「イレルフが特別なんだよ!多分‥。」


「そ、そうですよね!まあそんなことはどうでも良いとして!我、生誕してから何も食したことが無いので、早く味わってみたいのです!」


 どうでもよかねえよ!と言いそうになったが、イレルフが何も食ったことがない、というのも事実なので飲み込んでおくとする。


「何も食ってない?そりゃどういうことだ?これまでどうやって生きてきたんだ…?」


「ああ、後で言うつもりだったんだが、イレルフも神託スキル『描画顕現』で生み出した存在なんだ。それも今日。」


「そうだったのか、それなら色々規格外なのも納得だ…な?」


 ドーガも納得?したところで、僕は『コピー・アンド・ペースト』を使ってイレルフの分のステーキを創り出す。オリジナルは『空間収納』にしまっておき、いつでも増やせるようにしておくつもりなのだ。


「さあ、数もそろったところで、食べるとしようか。ドーガ、フォークとナイフは持ってる?」


「木のフォークならあるが、ナイフは無いな。ナイフなんてマナーを気にする金持ちとかぐらいしか持ってないと思うぞ?」


「なるほど、それも創るしか無いのか。ちょっと待ってろよ。」


 僕は『複・地球のステーキ』×3を『空間収納』にしまい、画材を取り出した。イレルフ(イケメン優男)が塗れたボロ雑巾みたいな雰囲気になってる!


「ただの食器に名前はいらないだろう。製作開始だ。」


 僕は手慣れた感じで3つずつの金属製のフォークとナイフを描いていく。いちいち『コピー・アンド・ペースト』を使いまくるのは面倒だ、というのが主な理由で、バラけたものも創れるのか?という疑問解決のためでもある。


「『物質顕現』」


 僕がスキルを発動させると、テーブルの上に3セットの食器が並んだ。


「どれ、何か変なとこがないか見ておくか。『解析鑑定』」


 ーーーーーーーーーーー

 名称:無し

 種類:食器

 画力値:70/70

 攻撃力:65

 説明:異世界人が神託スキル『描画顕現』を使用して創造した銀製のフォーク。生の根菜でも容易く刺せるだろう鋭さ。

 プラスインフォメーション:無し

 ーーーーーーーーーーー


 ーーーーーーーーーーー

 名称:無し

 種類:食器

 画力値:70/70

 攻撃力:70

 説明:異世界人が神託スキル『描画顕現』を使用して創造した銀製のナイフ。どんな硬い肉でもだいたいの物は切り裂くことが可能

 プラスインフォメーション:無し

 ーーーーーーーーーーー


 名称を決めること無く作成すると「名称:無し」になるらしい。性能に影響は無さそう…というか、これは本当に「食器」なのか?「暗殺用に食器に見せかけた暗器です!」って言われても容易く信じるよ?ドーガに売った?槍とほとんど差が無いんですが。めっちゃ危ねえじゃん!


「フ、フフフ…。」


「どうしたアーティ!様子がおかしいぞ!」


「いや、この食器が武器と見紛うような性能をしていただけさ。あ、そうそうこれ銀だって。」


「おお!これが銀食器なのか!こりゃ美しいな…じゃなくて!武器と見紛う性能だと?コレ本当に銀か?銀は脆いだろ…というか食器でそれはマズイだろう!」


「そうだよな。どうしようかな。」


 僕に残された選択肢は3つ

 1つ目は、口をズタボロに蹂躙する覚悟でそのままこれを使うこと

 2つ目は、諦めて新しい食器を創造すること

 そして3つ目は…


「試してみるか『プラスインフォメーション』」


 ーーーーーーーーーーー

 対象:銀のフォーク

 使用可能画力値:70/70

 候補:高耐久化(10)、攻撃力増加(20)、毒付与(40)、鋼化(50)、対象限定化(70)

 ーーーーーーーーーーー


 名称の無い物は、物自体の特徴や、元からある言葉から取るようだ。

 物騒な『毒付与』やお決まりの『鋼化』が並んでいるが、僕が望んだ通りのものであろう機能が存在している。それは『対象限定化』だ。そして、コレの説明はこうだ。


 ーーーーーーーーーーー

 対象限定化…攻撃対象を限定できる。その対象にだけ本来の力を発揮し、そうでない物に対してはほとんど意味のない鈍らも同然となる。

 ーーーーーーーーーーー


 ビンゴッ!この機能なら申し分ない!これがあれば食器としてちゃんと使えるだろう。

 そこで僕は、ナイフもコレと同様であることを確認し、『プラスインフォメーション』を実行した。


「果物とかにも使えたほうが便利だろうから、対象を『食材、料理』に限定して…と。これでオーケーだ。」

「ちなみに今、何をしてたんだ?」

「これらに付与できる機能を選んで、特定の物しにしか効果を発揮しない、という機能を付与し、食材と料理にしか反応しないようにした、かな。」

「つまり、よく切れるが怪我はしない便利なナイフが出来上がったっつうことか。」

「御名答!」


 誤解を招きそうだから言わないが、対象を『貴族、料理』なんかにして、『毒付与』も付けたら、立派な暗殺道具、それも検証がロクにできない、ができそうだな、と思った。絶対やらないけど。


「よおしそれではメシにしようじゃないか!我が『空間収納』は時間経過が無いから、ステーキもまだ熱いままだぜ!」

「ご主人…我はもう限界ですよ…目の前にあったいかにもな馳走を隠され、これ以上は…!」


 イケメン優男が待てを極限までされた犬みたいになって死にそうな表情になっている、すごい絵面だ。


 僕はオリジナルじゃない方のステーキと食器を三個、テーブルの上に並べた。


「そういえばドーガ。こっちの世界では食事の時に何か習慣はあったりするのか?」

「食う直前に『いただきます』と言って、その料理に関わったものへの感謝を伝える、というのがあるぞ。なんでも大昔に魔族と人類の仲を取り持った英雄が世界中に広めたという話だ。」

「僕の世界と同じだな。もしかしたらその英雄は僕と同じ異世界j」

「ご主人!話は後にして頂きましょう!?」

「お、おう。悪い悪い。それじゃあ」

「「「いただきます!」」」


 ドーガは大きく切り分け、僕とイレルフは一口分を切りながら口に運ぶ。おそらく僕の記憶から食器の使い方はマスターしたのだろう。


「これは…!」

「前世で口にした、どんなステーキよりも美味い気がする!」

「世の中にはこんなにも美味なる物があるのですね…我は幸せです…!」


 ナイフが良いのもあるだろうが、肉がスッと切れていく途中で筋に引っかかることも、手が疲れることも無い感じだ。咀嚼をすると、口の中いっぱいに肉の旨味が広がる。バターと胡椒もいい感じにマッチしているようだ。まさに至高!少なくとも今の自分には、そう思える物だった。







 至福の時間が終わり、僕はイレルフに話を聞いていた。

 ドーガはキレる人物らしく、僕のスキルのことは結構理解したから、疑問が生じた時に教える、ということになった。よってイレルフへの質問タイムがやってきたのだ。

 ちなみに、イレルフの今のステータスはこんな感じだ。


 ーーーーーーーーーーー

 名前:イレルフ

 種族:描画魔狼(人化)

 地位:アーティの相棒

 Lv.1→5

 MP:300/300→360/360

 体力:100→129

 筋力:147→172

 守備:81→90

 魔力:218→232

 器用:17

 俊敏:250→283

 知力:43→55

 画力値:430/900

 スキル:覇気、変幻自在、身体強化、拡大縮小、色素吸収、部分鋼武器化、爪斬撃

 魔法:色素魔法

 装備:魔素製の服(防御力45)

 ーーーーーーーーーーー


 先程の戦闘でレベルが上がったらしく、またステータスが上昇している。スキルも獲得したようだ。コイツは果たしてどこまで行くんだろうか…?


 まず、イレルフはスキル『変幻自在』により、無機物有機物問わず、何にでも化けることができる。そして、『拡大縮小』により大きさを変化させられるが、大きさが大きくなればなるほど、維持するのに必要な魔力が増え、使える魔力の最大値が一時的に減るそうだ。逆に、オリジナルよりも小さく、普通の人間のようなものであれば、発動時以外魔力を消費しないのに加えて、余剰分の魔力を他のステータスに割り振れるという。つまり、ダニ程の大きさになって、極大魔力で魔法をぶっ放すみたいなことも可能なわけだ。

 また、大きさが小さかったとしても、飛ぶための羽を付けたり、特殊な機能を持つ魔道具などになろうとすると、魔力の最大値が一時的に少なくなり、更に徐々に魔力を消費するという。ドラゴンになって世界中をどこまでも、なんてことは、余程魔力に余裕が無い限りは無理という訳だ。逆に言えば、とてつもない魔力を保有することになれば、空も自由に飛べるのだろう。

 また、今着ている服は魔力を用いて作られたもので、注いだ魔力量によって、強度が変わるという。


 次に『覇気』だが、これは格下を萎縮させる効果があるという。これだけだと『威圧』となんら変わらないらしいが、それと比べて効果が段違いに高く、あまりにも実力差があると相手が気絶するらしい。


『身体強化』は言うまでもないので、次は先程も述べた『拡大縮小』だ。実は『変幻自在』でも大きさの変化は可能なのだが、こちらの方が専門なだけに魔力の消費が少ないらしい。そして、もう一つ効果がある。それは自分由来のモノであれば、大きさを自由に変えられるというもの。例えば、火球を作り出したなら、その大きさを小さくも大きくもできるということだ。ただし、そのまま(・・・・)大きさを変えるので、威力は変わらない。だが、これは相手を騙すこともできるだろう。例えば、火球を縮小してその大きさにしては強い小さな火球を作り出してぶつける。そして、火球を拡大して、ぶつけずにとどまらせる。そうすることで、めっちゃ強い火球を生み出せる、と錯覚させるのだ。まあ仮にバレたとしても、イレルフなら元から強いのを作れるだろうが。


 次に、『色素吸収』と『色素魔法』だ。

『色素吸収』は、相手の色を吸収するスキルだ。色、それは、生き物のステータスやスキルなど、生き物を構成する要素そのものだという。つまり、色を吸収されると、スキルが発動できなくなり、力も出せなくなるのだ。そして、吸収した側は、その能力を、色素を使い切るまで自分のものにできるという。

 そして、『色素魔法』は、吸収した色素を魔力のように使って繰り出す魔法らしい。使った色素、やり方によって効果が変わるようで、例えば、攻撃系のスキルの色素を攻撃として使おうと思えば、魔法のようにそのスキルの効果が飛んでいき、他には、味方にその色素を付与し、そのスキルを使えるようにすることも可能だそうだ。これらは使う相手はよく考えるようによく言っておかないと…。


 そして最後に残ったのが『部分鋼武器化』と『爪斬撃』だ。『爪斬撃』は、イレルフがジャイアントライノにした攻撃がより強力になってスキルになったものだ。で、『部分鋼武器化』は、身体の一部を鋼、それも女神印の絶対壊れない鋼の武器に変化させるスキルだ。『部分鋼化』との違いは、元がそんなに殺傷能力の無い部分でも、モーニングスターや剣のような鋼武器に変えることができ、身体全体を武器に変えることだって可能、という点だ。やはりこれも『変幻自在』でどうにかなるっちゃなるが、本来生物にはありえない、ということで『部分鋼武器化』の方が魔力効率が良いのだとか。



「我の能力説明はこれくらいで終わりですね。ご主人、我はお役に立てそうですか?」

「ああ、勿論。できることが多すぎて怖いくらいだよ、イレルフ。色素吸収は僕が良いって言った悪人だけに使うようにね?」

「それは勿論でございます!」


 おや?ドーガが目玉が飛び出そうなほどに目を見開いて、顎が落ちそうなほどに口をあんぐり開いているな。


「どうしたんだ、ドーガ?」

「ヤバすぎだろ!お前さんのイレルフはよ!人化した時点で普通の従魔じゃあ無かったが、変幻自在?色素吸収?色素魔法?どれも聞いたことのないスキルばっかりだ!それにその能力もおぞましいと来た。説明を聞いたからわかる。コイツはヤバい。バレたら絶対に面倒なことになるぞ!」

「や、やっぱり?」


 敵倒したら露見するだろうし、すぐバレるだろうなぁ、と僕は思った。

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