瓶詰めのジャムの魔法使い
たっぷりぬりたい。
瓶詰めのジャムの魔法に あたしはどきどきする
かたいふたに指を立てて こじあけると
あまい香りがして
銀のスプーンは その魔法を
掬いあげる杖だから
焦げめが宝の地図を描くトーストに
べったりと ぬりつけたり
水面に未来のあたしをうつす紅茶に
どぼんと ほおりこんだりするんだ
この世界に実る果実の数だけ
ジャムの魔法はあって
あたしはそれをひとつずつ
瓶に詰めていったら
キッチンのうえの 小棚にならべておくよ
だから こまったときはあたしを呼んでほしい
ふさわしい瓶をえらんで
かたいふたに指を立てて こじあければ
銀のスプーンの杖で魔法がいつでも使えるから
それこそが
あたしが瓶詰めのジャムの魔法使いたるゆえん
凍らせてもおいしそう♡