表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄は最後に笑った  作者: 蝶佐崎
第二章
92/117

五十嵐:提案


 生まれ育った村の皆が惨殺されたこと。

 後遺症なのか、剣が持てないこと。

 バジル曰く、剣を持つと気が狂ったように敵味方関係なく殺そうとすること。

 先ほど、謎の子供に会ったこと。

 五十嵐はこれら全てを話した。話し終えて、トーラは目を丸くして彼を見、ギンは静かに五十嵐を見据えている。

「……要するに」

 ギンが口火を切った。

「お前が剣を持ったときに二重人格みてーなのが現れて、人を殺しまくると。で、そいつはお前が怖くなった時に出てくる。そう言ったんだな?」

「ああ、そうだ」

 ギンは椅子に沈み込み、指を組んで考え込む。その沈黙を埋めるように、トーラが問いかけた。

「ユーイチ。そのバジルって人が、お前の相方なのか?」

「違う」

 否定すると、彼女は眉を潜めた。

「何で、相方はこうなるって言わなかったんだ?」

 気付いている。

 自分が、不甲斐ないからだ。教えられないほど、自分が弱いからだ。

 悔しい。そう思われていて、本当にそうだったことが、悔しい。

 また、涙が頬を流れた。気付いたギンがまた一層、思いっきり眉を潜めた。

「お前さあ、泣きすぎだろ」

「昔は全く泣かなかったんだけどな……」

「じゃあ、アレだ。昔に溜めた分も一緒に噴き出してんのか。それでも泣きすぎだ」

 頭に、手が乗る。

「男が人前で泣き面晒すのは、あまり感心しねーぞ」

「自分でも思う……」

 だが、止まらないのだ。それぐらい、無念で悔しくて、腹立たしいのだ。

「悔しい」

 ギンの黄色い瞳を見ると、顔を歪ませた自分の顔が映っていて、思いの外怯んだ。

「何が?」

 透き通った声に促されて、また口を開く。

「俺は無力だ。それが、悔しい!」

「どうすりゃ、無力でなくなる?」

 それが分かっていれば、苦労しない。

 表情から読み取ったのか、トーラが話し出した。

「だったら、そいつが外に出ないようにするか、外に出ても敵味方が区別できるようにすりゃーいいんじゃねーの?」

「だな」

 よし、とギンは立ち上がった。

「ユーイチ。今からもっかい、真剣で勝負すんぞ」

「だが、怪我をさせてしまうかもしれない」

 そこまで言って、あることに気付いた。

 誰が、自分の身体を気絶させてこの部屋に放り込んだ?

「オレだ」

 ギンが屈託のない笑みを浮かべる。ナイフをちらつかせ、おどけるように。

「お前よりオレの方が強えーよ。だから安心して剣持て」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ