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英雄は最後に笑った  作者: 蝶佐崎
第二章
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国王(リョク):押し付け


 リョクこと丹洪の国王は、突風と共に現れた二人組を机にへばりつきながら睨んだ。

「暇なのか?」

「暇といえば暇だけれど、そうでもないかもしれないわね」

 訳の分からない事を言ったアンヌをよそに、もう一人の金髪男は風で散らばった書類を拾っている。

「アンヌ! だから風はイヤだったんですヨ、迷惑になるから」

「迷惑? いいじゃない」

 この女、根性が腐っているのではないか。

 国王は内心そう思い、何故かアンヌにむっと見られる。ついでにこの女は心が読めるのかもしれないと、彼は己の脳内辞書に付け加えた。

 男はせっせと書類を拾い上げて、国王に渡してくる。彼はとても良い人間だ。区分けがしてあったので更に好感度が上がる。

「ありがとう」

「やられた時の虚しさを知っていますから」

 同志だ。がっちりと握手すると、アンヌが咳払いを立てた。

「それで、何の用だ」

 異界に襲撃されたときに、アンヌが異界の者を城ごと破壊したため、国王らはとりあえず、首都に最も近い鈴無家の一室を借り、しばらくの執務室としていた。

「玲奈と優一の詳細な履歴書が欲しいの」

 回りくどく言われなくて良かった、と思いながら紙を渡すとアンヌはそうだわ、と手を打つ。

「丹洪の地図も借りていいかしら? できれば龍石を据えた場所も知りたいわね」

「そちらに須王がいるのではないか? あいつが昔石を置いたのだと聞いたが……」

「そうだけれど、彼にはまた放浪して貰ったのよ。もうすぐ彼の故郷に着くはず」

 放浪にも理由があるのだろう。

 こちらも地図に書き込みながら渡し、一応理由を尋ねた。

「何故地図を欲する?」

「龍脈の場所が知りたいの。あと、今まで戦のあった場所とか色々」

 理由は解ったが、何故それが必要になるかは分からない。敢えてそのように話しているのだろう事が、国王にも分かった。

「何かが解ったら全て話せ」

「その時の気分次第ね」

 了承するでもなく彼女は笑い、何かを置いていく。

「何だ、これは?」

「お駄賃よ。地図と交換しましょう」

 小さくて赤い石だ。手にとると、血のように朱く輝いた。

「名前は?」

「自分で調べなさい」

 くすくすと笑ったアンヌは石をつつく。

「肌身離さず持っているように。また、絶対に敵には渡さないように」

「何かあるのか?」

「それは、もう」

 アンヌと男の周りに風が吹き荒れる。また男が頭を抱えている。

 彼女は最後にぽつりと呟いた。

「レキと異界の主が喉から手が出るほど欲しがっているものだから」

「!? 待っ」

 風と共に、二人は消えた。



お久しぶりです、蝶さ崎です。遅くなってしまい、申し訳ありません。


朝、家の前に巨大なクモが鎮座していて、思わずギャァァと悲鳴をあげて家の中に逃げ込んでしまいました。本当に怖かった…………

夢に出ます。

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