国王(リョク):押し付け
リョクこと丹洪の国王は、突風と共に現れた二人組を机にへばりつきながら睨んだ。
「暇なのか?」
「暇といえば暇だけれど、そうでもないかもしれないわね」
訳の分からない事を言ったアンヌをよそに、もう一人の金髪男は風で散らばった書類を拾っている。
「アンヌ! だから風はイヤだったんですヨ、迷惑になるから」
「迷惑? いいじゃない」
この女、根性が腐っているのではないか。
国王は内心そう思い、何故かアンヌにむっと見られる。ついでにこの女は心が読めるのかもしれないと、彼は己の脳内辞書に付け加えた。
男はせっせと書類を拾い上げて、国王に渡してくる。彼はとても良い人間だ。区分けがしてあったので更に好感度が上がる。
「ありがとう」
「やられた時の虚しさを知っていますから」
同志だ。がっちりと握手すると、アンヌが咳払いを立てた。
「それで、何の用だ」
異界に襲撃されたときに、アンヌが異界の者を城ごと破壊したため、国王らはとりあえず、首都に最も近い鈴無家の一室を借り、しばらくの執務室としていた。
「玲奈と優一の詳細な履歴書が欲しいの」
回りくどく言われなくて良かった、と思いながら紙を渡すとアンヌはそうだわ、と手を打つ。
「丹洪の地図も借りていいかしら? できれば龍石を据えた場所も知りたいわね」
「そちらに須王がいるのではないか? あいつが昔石を置いたのだと聞いたが……」
「そうだけれど、彼にはまた放浪して貰ったのよ。もうすぐ彼の故郷に着くはず」
放浪にも理由があるのだろう。
こちらも地図に書き込みながら渡し、一応理由を尋ねた。
「何故地図を欲する?」
「龍脈の場所が知りたいの。あと、今まで戦のあった場所とか色々」
理由は解ったが、何故それが必要になるかは分からない。敢えてそのように話しているのだろう事が、国王にも分かった。
「何かが解ったら全て話せ」
「その時の気分次第ね」
了承するでもなく彼女は笑い、何かを置いていく。
「何だ、これは?」
「お駄賃よ。地図と交換しましょう」
小さくて赤い石だ。手にとると、血のように朱く輝いた。
「名前は?」
「自分で調べなさい」
くすくすと笑ったアンヌは石をつつく。
「肌身離さず持っているように。また、絶対に敵には渡さないように」
「何かあるのか?」
「それは、もう」
アンヌと男の周りに風が吹き荒れる。また男が頭を抱えている。
彼女は最後にぽつりと呟いた。
「レキと異界の主が喉から手が出るほど欲しがっているものだから」
「!? 待っ」
風と共に、二人は消えた。
お久しぶりです、蝶さ崎です。遅くなってしまい、申し訳ありません。
朝、家の前に巨大なクモが鎮座していて、思わずギャァァと悲鳴をあげて家の中に逃げ込んでしまいました。本当に怖かった…………
夢に出ます。




