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英雄は最後に笑った  作者: 蝶佐崎
第二章
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五十嵐:強盗と知り合い


 五十嵐はじっ、と強盗犯を見た。

 中肉中背が五人。細いのが七人。ゴツいのが四人。計十六人。全員が四角くて細長い、黒い煙筒の武器を持っていた。

 彼らは五十嵐たち客を壁際に集めておき、何やら相談している。もちろん足元には、この食堂の有り金が袋に入れられて置いてあった。

「ギン、トーラ。これは」

「見ての通り、強盗だな。下手すりゃ俺らの有り金まで取られるかもしれねー」

 ギンは至って冷静だ。トーラは武器を見て青白い顔をしている。

「どうする? それから、あの黒い武器は何だ? 見たところ飛び道具のようだが……」

「銃っつー名前だ。中に鉄の球を装填して、下の引き金で打ち出す。球はかなり早い速度で、しかも熱を発しながら出てくる。ついたあだ名が炎刀だ。人間に向かって射つようなもんじゃねーよ」

 改めて銃を眺めて、思わず一息ついた。

「お前たちには悪いが、こんなものがあの世界に無くてよかった」

「だろうな。で、これからどうするかだけどよ、様子見ようぜ。俺らの金を狙ってきたら迎え撃つつもりで」

 場慣れしているのか、ギンはのんびりとした顔で、しかし手は広げていつでもローブの裏にはめられているナイフに手が届くよう準備してある。トーラは少しずつ、同じように集められた客の中に隠れていった。

「有事のときに戦うんならこのままいろ。戦う気が無いんならトーラのとこに行っとけ」

「戦う」

 決めた五十嵐がギンを真似して盗賊を観察して、

「……は?」

 最近知った、奴がいることに気付いた。

 奴とは、青い髪の、首にバンダナを巻いた彼のことだ。

 分かりやすく言えば、異界の者だ。

「どした?」

 ギンが、顔色を変えた五十嵐を見て首を傾げている。

「プレイフル……だったか?」

「え゛」

 濁点でも付きそうな声を発してこちらを見た彼は、笑みを強張らせた。

「……なんでここにいんのさ?」


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