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英雄は最後に笑った  作者: 蝶佐崎
第一章
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戦・その後



 作戦、と言うほどでもないが。

 全ての始まりは、副団長が国王を交えた部将会議でこぼした発言だった。

「こういう類いの戦って、二日三日かかりますよね。で、向こうの兵糧(しょくりょう)が辛くなってきて、最終的に丹洪のを奪おうってなって、必死になられて、両軍ともに戦死者多数になるんですよね。手早くぱっぱと終わらせる方法とか、ありませんかね?」

「こちらから攻め立てても、ロールエは毎度ながら守りが固い。しかし早く戦を終わらす事には、大将を討ち取ることが最も手っ取り早いだろう。そうすれば兵は皆戦意喪失、もしくは混乱の後敗走に移る」

 団長の呟きに国王はしばらく黙り込み、副団長の肩を掴んだ。

「…………何か無礼なこと、言いましたか自分」

「いや。この作戦で行くぞ」


 結論。

 長期戦に備えて戦力を温存させたと見せかけ、さっさと勝ちを()るつもりで動くだろうロールエ指揮官を引きずり出す。あわよくば、副官も討つ。

 この方法は上手く行った。


 そして今、王都への凱旋(がいせん)のためにテントを片付けている最中だった。

 隊員の一人が溜め息をついている。

「アレですよ。また敵の指揮官が同じだからてっきり戦が長引くと思って、テントしっかり打ち付けちゃいましたよ」

「俺もだ。……戦が早く終わったことは、嬉しいがな」

「そりゃ当たり前です。ロールエ、でしたっけ? あのおっさんを倒しましたからね。次からはかなり楽な戦になるでしょうし」

 五十嵐も雑談に加わり、のんびりとテントを畳む。

 玲奈は何やら国王に呼ばれて、天幕に入っていった。恐らくは鈴無の家に関係する話でもあるのだろう。


 畳み終えた五十嵐は、ちょうど顔を覗かせた玲奈に手招きされ、ニヤニヤしながら木陰に引っ張り込まれた。

「何だ? 気持ちの悪い」

「まぁそんなこと言わんと」

 じゃん、と見せたものは小さなヘアピンだ。青い花の装飾が細かく施されている。

「どうよ、似合う?」

 きゃっきゃっと嬉しそうに見せびらかした玲奈は、日頃の男勝りな彼女とはどこか何かが違う。

 いや、それより。

「似合う。……どこで誰から貰った?」


「天幕で、陛下から」

 ――――五十嵐の頭が真っ白になった。



 嘘だろこんな女男が国王陛下と交際とか。



「うわああぁっ!?」

 彼の悲鳴に団員が動き出した。

「五十嵐、どうした!?」

「何があった!?」

「何がって玲奈が――」

 五十嵐の口を塞いだ玲奈が、慌てて周りに呼び掛ける。

「何もありませんから! あたしがレアな薬草見つけたんでそれを妬んだこいつが千切っただけですからッ!」

 どんなコアな設定だ。

 内心突っ込んだ五十嵐だが、団員らが去ったので手を離され、改めて玲奈を見た。

 まだ頭の中はかなり混乱している。

 彼は地面に座った。向かい合って、玲奈も座る。

「お前は陛下と、……その、付き合っているのか?」

「そのとーり。因みに告白は陛下から」

「いつからだ?」

「十四の時からやから……かれこれ五年になるかな」

「……気付かなかった俺はただの馬鹿か」

「そのとーり」

 がっくりと突っ伏した五十嵐は、玲奈がにやにやとまだ笑いを収めないのを見て、限りなく嫌な予感がした。

「……何だ」

「いやー? どこまで行ったとかは聞かんのかと思ってな。親父殿は帰ってくる度に言うで」

 つまり、それは、つまり。

「……ッ…………」

「優一ってば顔赤ーい。ウブってかわいーなぁ」

 ひゃひゃひゃと妙な笑い声をあげた玲奈は、硬直した五十嵐の耳元で囁く。

「安心せい。行くとこまで行ったから」

 五十嵐の魂がどこかに飛んでいった。


久しぶりに風邪がましになって、ついつい有頂天気分で大量に投稿していまいました(汗


次からは多分自重します…

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