表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄は最後に笑った  作者: 蝶佐崎
第二章
68/117

空野:バジル



 バジルと空野は、予想外に多い獣を避け、気配を消して休憩している。

 空野はバジルが嬉しそうに図鑑を調べる様子を眺めた。齢十に満たない少女がいそいそと図鑑をめくっているように見える。

 誰にも、彼女が負ってきた痛みなど分からないだろう。

 バジルとはアンヌ繋がりで面識を持った。初めは無口なガキだと思ったが、話しているうちに、共に過ごすうちに、何やらおかしいことに気付く。

 体の成長が異常なまでに遅いのだ。十歳で一歳、それくらいの速度でしかない。それを彼女に問い詰めると、魂喰らいになった影響ですと、事も無げに応えた。

 聞いた話だが、魂喰らいは文字通り、さ迷う魂を喰らい、その魂が持つエネルギーを変換して戦う。魂を食事にすることもある。

 しかし同時に、魂を喰らう度に、魂喰らいにはその人間が歩んできた人生や感情が雪崩れ込む。魂喰らいを倒したという文献が無いのはそのせいだ、彼らは人間が対処法を見つける前に気が狂い死んだ者が多いのだから。更に魂を変換して出来たエネルギーは、魂喰らい本人の成長を妨げる。

 少女は、そのリスクを事前に教えられたにも関わらず魂喰らいになったのだと言う。

 何のために。

「空野殿!」

 呼び声に彼女を見ると、バジルは嬉しそうに図鑑の一行を指した。

「先ほどの豚の形をした生き物、やはり食べられるみたいですよ!」

「そうですか。では、次に会った時は捕獲して食べましょう」

 空野はバジルに笑いかけた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ