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神無:貧乏くじ
異界の主に呼ばれていたのに寝坊した神無は慌てて彼の部屋に飛び込み、
「わー神無さんが最後だー」
レキ以下、数人が主と共に立っているのを目にして、とてもとても嫌な予感がした。
「これは…………一体……」
「仕事の割り当てだ。別に指定がなくともできる仕事ばかりだから、お前達全員が集まって籤を引いた方がいいと思って呼んだが」
心なしか、主の目が同情に満ち溢れている。レキはむしろ目を輝かせている。
これは、あれか。貧乏くじか。最後に残るのは幸福だったんじゃないのか。
「お前に残った仕事は、戦闘からは程遠い。故に死ぬ確率は極めて低い。しかし、かなり退屈で胃痛を感じることにはなるだろうな」
胃痛を感じるまで!?
絶句した神無に紙を差し出した主はあくまで重々しく、しかし明らかに疲れた目で告げた。
「簡単明瞭に言うならば……呆けた爺の子守りだ」
神無は紙を引き裂きたい衝動に駆られた。