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英雄は最後に笑った  作者: 蝶佐崎
第二章
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五十嵐:白紙の地図


 アンヌはさて、と話を変えた。

「私が玲奈に施設を案内していたのだけれど、その時に給料の話をしたの」

 玲奈が激怒した、薄給のことだろう。

 五十嵐がそういえばと思い当たり、享は面白そうに口を歪める。

「具体的に薄給の解決策は?」

「班で、少しずつ組織周辺の生き物やら草やらを摘み、それを商人に売り捌く。丹洪の武士団で使っていたトレーニング法らしいわ。鍛えるにはもってこい、しかもその分給料も上げられて、強い武器に鞍替えできる」

「成る程」

 だから、とアンヌは話を理解したバジルを向いた。バジルは微妙に苦そうな顔をしている。

「その為の下準備に、この世界の正確な地図が欲しいの。できれば、どんな生き物が生息しているかの情報も欲しいわ。絶滅させないようにも気をつけなければいけないし。行ける?」

 彼女は深く深く、溜め息をついて頷いた。

「鈴無の(パシ)りのようで腹は立ちますが……やりましょう。出立は四日後に」

 バジルは鼻を鳴らし、アンヌにだけ頭を下げて部屋を出ていく。

 五十嵐は、バジルがロナンや玖楼に視線さえ寄越さず出て行ったことに、さすがと言い掛けて黙った。アンヌ様一筋らしい。享はアンヌの知り合いだから話したのだろうか。

 それより、自分も準備を始めなければいけない。

「俺も行きます。出立は誰に知らせれば?」

「私かロナンに。三日経てば享はいないでしょうし、でも誰かがあなたをシギ国の世界に送る必要があるのだし。玖楼は……」

「儂も出ておるぞ」

「そうよね……やっぱり私かロナンに声をかけて頂戴(ちょうだい)。白虎探しだというのは、この部屋にいた者と玲奈以外には知らせないで。どこに間者がいるのか分からないから」

 プレイフルやレティサンスのように潜んでいる者が他にもいるかもしれない事実に、僅かに五十嵐は緊張する。それを見た玖楼が、僅かに笑った。

「安心じゃよ。大体の者は割れておる。念のためにじゃ」

 五十嵐は頷き、部屋を出た。



「奇人・狂人・変人」の続きです。


久しぶりにパソコンに触れて嬉しい………

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