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英雄は最後に笑った  作者: 蝶佐崎
第一章
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思う。戦う。



 玲奈にとって、五十嵐はただの阿呆だ。間抜けで、うっかり屋で、考えることをすぐ止めてしまう。それが、鈴無当主が身寄りを無くした彼を引き取り共に生活してきた中での、玲奈の彼に対する印象であった。現に、今も気付かずに刀を掴んで窮地に陥っている。

 ただし、五十嵐は人間くさい玲奈と違い「透明」だった。

 恩を返す。忠義も尽くす。しかし、そういったものより深いところで、彼は物事を中立に観る力が秀でている。それ故に、どちらがどう悪いのか、五十嵐は解るのだと()う。

 昔、近衛に入った頃、一度だけ五十嵐が弱音を吐いたことがあった。



 戦は、怖い。正しくない者が勝つことだってある。勝った者が正義だと、そう思わせる何かがある。その勝ち負けの基準を人の命で計っているのに、そして、一番使ってはいけない解決法なのにだ。



 養子として受け入れてくれた鈴無当主、自分を好いてくれた国王、彼らに絶対的な忠誠心を持っていた玲奈にとっては、また彼らを攻撃せんとする人間の命を奪うために得物を(ふる)う彼女にとっては、新しいものの見方に思えた。

 目の前で大切な者が死んだからこそ、五十嵐は命の(ひかり)が目の前で消えることに恐怖する。例え、敵であろうとも。

 前に狂った彼を止めたのは、その場に居合わせた鈴無当主だった。

 自分が彼より強いわけがない。だから、無茶かもしれない。無理かもしれない。

 それでも玲奈は五十嵐に斬りかかる。

 命を慈しむ五十嵐が、刀を以て無造作に生き物を切り捨てる姿など、これ以上見たくもないからだ。



 玲奈は再度、五十嵐の猛攻を(はじ)き、膝で蹴り上げた。すいと彼は威力を吸収し、再び喉元を狙って刀を伸ばす。

 正直、五十嵐は狂っていた方が、命を狩ることに対する恐怖が無い分強い。元々彼が剣を(もっ)て天才と呼ばれていたことも踏まえて。

 だから余計、(たち)が悪い。

 玲奈より五十嵐の方が押している。

 口に出して悪態をつく余裕も、バジルを見ている余裕すらない。意識を逸らした瞬間、間違いなく命が飛ぶ。

 やばい。そう内心思った瞬間、彼の膝が玲奈の鳩尾に入り吹っ飛ばされた。壁に叩き付けられるが、確実に五十嵐は追撃すると分かっていて、迎撃の体制に移る。激痛に喉から叫び声が出かけて、反射的に飲み込んだ。

 しかし、五十嵐は動かない。

「……?」

 彼は刀を構え直し、扉を向いた。

「……俺が分かるか」

 声に、移動していたバジルは勿論玲奈も恐怖に震える。

 扉から入ってきたのは、異界の主だった。




調子に乗って二つも投稿してしまった…

どちらも短いですが何か。


ついでにもう一つ投稿します。

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