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英雄は最後に笑った  作者: 蝶佐崎
第一章
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再会・衝撃

 王都にはまだ地震が起きていなかった。

 しかし安堵している暇はない。

 五十嵐は近衛兵の知り合いが走っているのを見て、思わず声をかけた。

「おい!」

「五十嵐? 顔が真っ青だぞ」

「そんなことはどうでもいい。宿舎に、誰かいるのか?」

「誰もいないぞ」

 その言葉に、顔を白に変えた玲奈がアンヌを宿舎まで案内する。

 案の定、副団長だったそれが、御神木を破壊したところだった。

「案外、早かったね」

「どうも」

 短く答えた彼女の側を、火の玉が飛んでいく。火の玉は、副団長に当たって破裂した。

「何をしている」

 三人の後ろに、国王と鈴無当主が血相を変えて立っていた。

「親父殿!」

「分かってる。こいつは人間ではない。思考が読めないからな」

 当主の答えにそれは興味をそそられたのか、火でただれた顔を当主に向けた。

「魔法、使えるんだ?」

 その顔にまた、国王が容赦なく火の玉をぶつける。

「失せろ!」

「それは嫌。ところで国王陛下」

 それは笑みを浮かべて、()いだ副団長の顔を見せた。

「これ、なーんだ?」

 愕然(がくぜん)として国王が目を見開く。

「浮、草」

「そ。いやあ、彼もかなり足掻(あが)いてね。団長に奇襲かけてボロボロにしたのに、彼が血塗れになっても団長を守るように抵抗してさ。殺すのに苦労したんだよ? それでやっと彼を殺したと思ったら、団長は逃げてるし。しばらくは彼の顔を被ってなりすましても、団長出てこないし」

 国王と当主の顔が、怒りに彩られた。

「貴様」

「剣を抜け。正々堂々切り捨ててくれる」

「良いことを教えてあげよう」

 それはにこりと笑って、御石を砕いた。

 地面が、揺れる。

「人間って、激情に駆られたら、注意を払えなくなるんだってね?」


 大地から飛び出した手が、槍のように、当主の心臓を貫いた。


 全員が、動きを止めた。

「…………な」

 玲奈が、呆然と口に出す。

「親父、殿」

 当主は、崩れ落ちた。

「親父殿!!」

 玲奈が手を切り払い、当主の元に駆け付ける。しかし彼はもう、息をしていない。

 そして、別の地面から現れた手が、国王を狙った。

 しかし。

 血塗れの団長が、国王を庇うように立ち、手を切り払っていた。

「団長!」

「元気で……何よりだ」

 団長は僅かに笑い、顔をしかめる。じわり、とまた包帯が(しゅ)に染まる。

 その隣に、子供が降り立った。

「無茶をするな。また傷口が開いたぞ」

「とっさに体が動いた」

「…………」

 鼻を鳴らした子供は、さて、と副団長だったそれに手を伸ばした。それはくすりと笑い、溶けるように逃げた。すぐさま駆け寄ったアンヌが御神木に手をやり、武士団でやったように災害を収める。

 さて、と彼女は国王を見た。

「説明は必要かしら?」

「してほしい」

「分かったわ」

 力尽きたかのように団長ががくりと膝をつく。アンヌは彼を背負い、子供を指差した。

「バジル! 彼に説明してあげて!」

「私ですか!?」

 思わず突っ込んだ子供だが、彼女が有無を言わさず五十嵐と玲奈を掴んで消えたので、頭を押さえた。

本編とは全ッ然関係ありませんが、


Merry Christmas!

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