玲奈:キナ臭い
玲奈が借りた馬に荷物を乗せていると、国王と享が何事かを話しながらやってきた。
「あ。陛下、楓さん」
「リョクがいい」
毎回突っ込まれるが、長年染み付いたものはとれないだろう。
「五十嵐からの調べ物はどうだ?」
「どうもこうも…………キナ臭いキナ臭い」
五十嵐から頼まれた調べ物は、何故か全て一致していた。
「やから一回その村を巡ってみようかな、と思てます」
そこで冒頭の馬に荷物を乗せる、に戻る。
「剣は有りますネ?」
「はい」
大剣を掲げる。既に大剣を使ってのリハビリは終えてある。アル達に感謝だ。
馬に乗ると、享が含み笑いをした。
「君が丹洪に着いた時に居たという雑木林、あそこに行ってアンヌさんと呼んでみて下さイ。今かなり暇でしょうから」
馬が動き出した。
数日前までの慣れ親しんだ感覚が薄くなっている。そういえば組織に馬や乗り物も無かったな、と頭の隅で思った。
一件目の村に着いた。お偉い様が来たと思われたらしく、慌てて村人が全員集合する。いや、ただの使いっ走りなんですが。
「こんな辺鄙な村に何のご用でしょうか?」
だが、楽に仕事を進めることが出来たので、正直助かった。
数人を呼び、質問する。メモ用紙も持参済みだ。
質問を終えさて、と玲奈は二件目の村に向かう。着くと、一件目の村とほとんどそっくりな光景を目の当たりにする。
これも一応、と玲奈は書き留めた。
いつの間にかお気に入り登録が増えていました・・・
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