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丹洪国王:会話
丹洪国王は、渡された石をどうしようか、考えあぐねていた。
何やら凄く危険な物だと言っていたので、人には見せられない。一応、肌身離さず持つことにする。
赤い石は血のようにぬめぬめと輝き、危険な気配を漂わせていた。まるで生きているかのように。
『生きている、といえば生きているのだろうね』
いきなりの男の声に、思わず国王は石から飛び退いた。
「な、ななななななななななななななな」
『驚いたかな? これは済まない。てっきり慣れていると思っていたよ』
「何者だ」
声は間違いなく、石から聞こえてくる。さらに心を読むらしい。
『私かい? 一応機密でね。名前は付けないで欲しい。呼ぶときはお前でいいよ』
「わ、分かった。いや、分かっていない! お前は何者だ!?」
『うーん。言うなれば』
男はひょうひょうと告げた。
『賢者の石の精、かな?』