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物語はいつも当人達の知らないところから始まる
手紙を受け取った女性は、側に控えている少女を見て考え込んだ。
「アンヌ様?」
「その様付け止めなさい」
とりあえずそう言っておく。少女がむぅ、と口を尖らせて悩み出すのを、女性は半分興味で眺めた。
「バジル」
「はい」
呼ばれたら律儀に表情を改め姿勢を正して返事するのだから、彼女の家の厳しさがよく分かる。
それはさておき、と女性は手紙を少女に投げた。
「これから戦地に向かうのだけれど、貴方も来る?」
少女は手紙を読まずに即答する。
「行きます」
信仰の赴くままに、激戦区であることも知らずに行った彼女は、かなり手痛いとばっちりを食らうことになった。
初めての方、こんにちは。これからよろしくお願いします。
自分を知っている方、二作目もご覧頂きありがとうございます。
どうぞ、お付き合いください。
そして感想、できたら送ってやってください!泣いて喜びます。