表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/24

リーゼス領に向けて


 オルファとベガの様子を、少し離れた場所で見ていたリーゼス伯爵は、


「素晴らしい……」


 と、思わず感嘆の言葉を漏らす。

 それを聞いた護衛の兵士が、


「閣下?」


 と、問いかけると、


「あの少年、いや、青年だったな。オルファ殿は素晴らしいな。オーガ3匹を一人で、いやゴーレムも戦ったから、一人と一体? 一匹? まあいいか。それで瞬殺とはな」


 リーゼス伯爵がそう言う。

 何せオーガである。オークより体が小さいのだが、強さでいうならば比べ物にならないくらい、オーガの方が強いのだ。

 オーガ一匹を倒そうと思えば、リーゼス領の兵士に倒せと命令するとなれば、20人は必要だろう。

 三匹ともなれば、オーガも連携して動くため、単純計算して60人ではおそらく倒せない。

 それを一人とゴーレム一体で倒したのだから、驚くなと言う方が無理である。


「閣下は気を失っておられましたが、我らが助けられた時も、盗賊40人を瞬殺でした」


 護衛は、オルファがリーゼス伯爵達を助けた時の事を説明するのだが、盗賊40人よりオーガ三匹のほうが脅威であるので、今更だろう。


「いくら傭兵だったとはいえ、あの強さは並々の努力では得られないだろう。実に興味深い。うちの領での仕事とやらはなんだろうな?」


 と疑問を口にするリーゼス伯爵。


「どこかの村で魔物の被害とか、ありましたか?」


 そう問いかけた護衛に、


「いや、報告は受けておらんが」


 と思い返しても、心当たりが無いというリーゼス伯爵。


 そんな会話の中、オルファはオーガの死体を魔法倉庫に収納し終え、リーゼス伯爵達の下に戻ってきて、


「行きましょう」

 

 と、皆を先に進ませる。

 そして、オーガが食べていたであろう人を見て護衛が、


「ポール……」


 と言葉を詰まらせる。

 主人を逃すために、命を惜しまずに戦って散った仲間の遺体だ。

 護衛の目に光るものがある。


 それを見たオルファは、


「遺体を運びますか?」


 と護衛に聞いてみる。


「魔法倉庫に……空きがありますか?」


「大丈夫ですよ」


「ではお願い致します」


 深々と頭を下げて、お願いした護衛に、


「はい」


 と答えて、遺体に手を当て、


「収納」


 と言うと、ポールの遺体はその場から消えた。

 オルファの魔法倉庫に収納されたからだ。

 ちなみに魔法倉庫には、生きている物体は収納できない。

 ただし、生命活動をしていなければ、収納は可能である。

 物はもちろん、人も魔物も。


 そのまま進むと、壊れた馬車が見えてくる。

 リーゼス達が乗っていた馬車だ。


 それを見たオルファは、


「馬車の中はめちゃくちゃですね」


 と言うと、


「馬車自体もかなり壊れてますしね」


 と護衛が車輪の外れた箇所を見ながら言う。


「車輪は直せると思います」


 と言って、外れた車輪を拾うオルファ。

 ゴソゴソと車輪を車軸に装着して、どうにか応急処置をすると、


「傭兵団の馬車がよく壊れていたので、しょっちゅう直してました。あり合わせで直したので、後でちゃんと修理に出してくださいね」


 と、直した馬車の車輪を叩きながら言う。


 その後、馬車はゆっくり進み、街道に出てくる魔物をオルファが殴り殺しては収納しながら、一行はリーゼス領に到着するのだった。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 繋ぎのお話・・・?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ