オーガ
オーガに向けて歩くオルファが、隣を歩くベガに向けて、
「ベガ、最初に倒した1匹は食ってもいいぞ」
と言うと、
プシュー
とベガがオルファに、何かを訴える。
「自分で倒す? 暴れたいのか?」
ブルルッ
「いいぞ。一番右のやつをベガにやるから、自分で倒して食え。じゃあいくぞっ」
その声と共に走り出すオルファ。
ベガもそれに続くが、速さはベガのほうが速いため、先に接敵したのはベガであった。
ベガは体当たりで、というか頭突きで右のオーガを突き飛ばすと、そのまま倒れたオーガを自身の頭部の角で、執拗に突き刺している。
オーガから鮮血が飛び散る。
オーガを角で突き刺して持ち上げ、上空に放り投げるベガ。
落下してきたオーガは、頭から地面に激突する。
首が折れた鈍い音がしたかと思うと、ピクピクとオーガが痙攣し、やがて動きを止めた。
「さて、お前たちの相手は俺だ」
ウォーハンマーを握る右腕を、グルグルと回しながらオルファが言う。
挑発されたと思ったのかは分からないが、オーガ2体が吠える。
その鳴き声に、山の鳥達が一斉に羽ばたいて逃げていく。
二体同時に走り来るオーガに、オルファは地面を蹴って砂を飛ばす。
その砂はオーガの頭部へ飛ぶ。
右のオーガが眼を押さえて唸り声をあげている。
眼に砂が入ったのだろう。
左のオーガが単身でオルファに突っ込む形になった。
オーガが、オルファを殴ろうとして拳を繰り出してくるが、その拳をハンマーで横凪ぎに殴るオルファ。
骨が砕けたと思われる乾いた音が響いた。
オルファは、そのまま回転するようにスピンして、オーガの脇腹を打ちつけると、オーガの体がくの字に曲がる。
そのため少し低くなったオーガの後頭部に、力を込めたオルファの一撃が。
グシャっと音がしたと思うと、オーガはそのまま前のめりに倒れる。
オルファは、未だ眼を押さえてもがいているオーガに歩み寄ると、オーガの左膝を前からぶっ叩く。
膝の皿が割れた音がして、オーガが倒れて痛みに悶えていると、その頭部へオルファは両手で握ったウォーハンマーを叩きつけた。
砕けた頭部から血液はもちろん、脳漿や脳味噌が飛び散る。
「ベガは?」
オルファはそう言ってベガの方を見ると、上機嫌な様子で、角で突き刺されまくったのだろう穴だらけのオーガ腹から、腸を引っ張り出して咀嚼しているベガが居た。
「腸から食うとか、ベガって案外グルメなのかもな。内臓は美味いもんなぁ」
オルファが、ベガに歩み寄りながら呟いた。