表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/24

馬車に向かう



 立ち話もなんだということで、馬車に向かう事になる。

 だが、話題はオルファの事に変わりは無かった。


「どんな訓練をすれば、そんなに強くなるんです?」


 と護衛が聞いてくるので、


「普通ですよ?……幼少の頃からキース団長達に、魔物を倒せと言われて、いきなり実戦でしたよ。倒せるようになると、今度は戦争に連れ出されましてね。戦いながら特訓させられました。よく生きてたと我ながら思いますね」


 オルファが少し笑いながら言うのだが、聞いている者達は信じられないという表情である。

 戦争で戦いながら訓練など、正気の沙汰ではない。


「イリス国との戦争で、数年戦っておるだけで、あんなに腕は上がるか?」


 伯爵の疑問は皆の疑問だったのだろう。


「オルファ様は途中から参戦されたのでしょう? 何年戦いを?」


 と護衛が続いて聞いたのだが、


「いえ、最初からですけど?」


 と、何かおかしいですかという表情のオルファ。


「ええ? だって傭兵になれるのは10歳からでしょう?」


 少女が言う事は正しい。

 どの国も10歳以上でないと参戦させないからだ。

 もっとも一番幼くて10歳なので、普通は成人していないと戦などに身を投じる事はない。

 ちなみに成人は15歳である。


「そうですよ」


 オルファが頷く。


「で、戦争は10年ですよね? 計算が合わない気がするのてすけど?」


 オルファの容姿を見て、成人しているように見えないため、この疑問なのだが、


「私、20歳ですけど?」


 とオルファが答えると、


「「「ええっ?」」」


 と他の者の声が揃う。


「え?」


 とオルファが声を漏らすと、


「すいません、15歳ぐらいかと」


「うむ、ワシもそう思って少年と呼んでしもうた。成人していたとは、申し訳ない」


 と、謝られてしまう。


「いいですよ。若く見られるのは、慣れてますから」


 実際20歳には見えないのだ。


 年齢の話はやめておこうと、話を変えるために護衛が、


「あの……先ほど盗賊を倒した武器ですけど、変わってますよね。剣でも槍でもなく、なんか金槌みたいなのでしたけど」


 と言うと、


「ああ、これですね。ウォーハンマーっていいます。私が考えたんですけど、騎士のような金属の全身鎧を装着した敵には、剣や槍では倒すのがめんどうだし、時間もかかるものでコレを使っています。これだと敵が金属鎧を装着していても、頭をぶっ叩けば鎧が凹んで頭蓋骨が割れるんですよ。こっちの尖ったほうなら、革鎧でも貫けるので、便利なんですよ」

 

 と、手に持つウォーハンマーを見せながら、オルファが自慢げに言う。


「戦場の知恵か」

 

 と伯爵が言った時、


「止まって!」


 とオルファが皆を制する。


「どうされました?」

 

 との問いかけに、


「オーガです。どうやら血の匂いにさそわれたようですね。あ、こちらに気がつきましたね」


 前方を目を細めて見るオルファの瞳に映ったのは、地面に倒れる死体を貪り食うオーガだった。

 オーガとは、オークよりも小柄ではあるが、人よりは大きく、筋肉も発達しており、何よりも知能が高い人型の魔物である。

 頭部に1本ないし2本の角を持ち、人から奪った武器を使いこなす強い魔物である。


「た、倒せますか?」


 護衛の足が震える。

 オーガの相手をするとなれば、この護衛の腕前を持つ人が10人以上必要だろう。

 だがこの場から見る限り、オーガは一体ではない。

 おそらく3匹はいる。


「もちろん。ここでお待ちを」


 オルファは軽く言い放つとベガの腹を蹴り、オーガに向かって進んでいく。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] これは、色々混じってる・・・ ウォーハンマーは漢の浪漫。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ