表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/24

鼻歌


 

「うわっ!」


 とオルファが驚くと、


「今、四元素全て使ってましたよね?」

 

 と、エルサが問いただすかのように聞く。


「はい」


「四元素全て使える人など、初めて見たんですけど?」


「キース傭兵団には居ますよ? 副団長のアリスの姉御が」


「そうなんですか? 知る限りは神聖国の賢者様だけだと思っていたんですが、我が国に居ないだけ?」

 

 と言ったエレナ。


「ミッドランドでは、私とアリスの姉御の二人だけだと陛下が言ってたかも?」


「でしょうね! しかし四元素使えるとか、オルファ様は凄いんですね!」


 でしょうねの声が一際大きかったエレナだが、それは仕方ないだろう。


「姉御に叩き込まれましたから。あの修行はキツかったなぁ」


 遠い目をするオルファ。


「とりあえず革は完成したので、工房に戻りますよ」


 いまだに放心状態の人々を捨て置き、オルファは屋敷の中に戻る。


「オルファ殿って、何者なんでしょうか? もしかして賢者様ですかね?」


 エドワードが言うと、


「賢者様は神聖国に居られるから違うとは思うけど……」


 とパトリックが否定する。


「お爺さまの怪我にポーションを渡してくださったから、治療魔法は使えないと思うの。賢者様なら治療魔法を使うはずだし」


 と考察するエレナ。


「ならば違うか。そもそもミッドランドで戦など賢者様はされないだろうし」


 エドワードがそう言った時、


「と、とりあえずオルファ様を追いませんか? 工房でも何か凄いことしそうですし」


 と執事が言うと、


「「「「「間違いない!」」」」」


「急ごう!」


 エドワードが走り出しながら言う。



「ふんふふーん♪」


 上機嫌なオルファを見て、


「今は何を?」


 とエルサが尋ねる。


「弟子と言うとおこがましいですけど、エドワード様とパトリック様とエレナ様用に、戦闘用ブーツなどを作ろうかと思いましてね!」

 

 そう言って足型に革を当てて、採寸しているオルファ。


「その足型のようなものは?」


 と聞いたエルサに、


「土魔法で作りました。サイズは見たら分かるので」


「見ただけで?」


「エドワード様は、27センチの幅9.5センチでしょう?」


 とエドワードの方を見て聞いたオルファ。


「合ってる……」


 と答えたエドワード。

 

 その後、三人分のブーツを瞬く間に作り上げるオルファ。

 足首の上まで覆う感じの、動き易そうなブーツであった。

 見た目はバスケットシューズに似ているのだが。


「革もまだまだあるし、何か作ろうかなぁ。あ! 鞄作ろうかな。うん、そうしよう。とりあえず小さめで普段使い出来るやつがいいかな」


 周りがブーツを見ながらガヤガヤ言っているが、そんな事は気にもしないオルファは、革をどんどん切っていき、縁に穴を開け細く長く切り分けた革で、どんどん結んでいく。


「はい! 皆さんどうぞ。さしあげますよ」


「いいんですか? 私達まで頂いて」


「構いませんよ。使っていくうちに革に色がついて味が出てきますので、どんどん使ってください。小傷や日焼けも味ですので!」


 オルファは、リーゼス伯爵の屋敷で働く人達全員に、小さな鞄をプレゼントしたのだった。


 20×10センチほどの、財布程度しか入らないような物であるが。

 しっかりと自分のパーソナルマークでもあるベガの横顔の焼印とナンバリングまでした。一番をリーゼス伯爵に。

 二番を次期当主である、アンドレスにという感じで。

 予備に何個か多く渡してあるので、使用人が増えても大丈夫だろう。



 ちなみに0番は自分用である。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 小さな鞄・・・ これもやらかしかな?
[良い点] どうやら、化け物はまだいたようです(笑) 副団長と書いたって事は王妃ではない?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ