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「お手伝い、ありがとうございましたシオン様」
「いいよ、別に。私だって家を借りに来たらこんな現場に遭遇しただけだし、家もタダでもらえたしさ」
「こちらがシオン様のお屋敷の住所の地図と鍵になります」
「ありがとね、また今度」
さて、とっとと家に行って準備を進めますか!
「何やってるの、トゥグアさん」
「え?シオンちゃん…」
何があったか説明すると、私は新しいマイホームに着いて、一応周辺の確認を兼ねて散歩に出たんだ。そこでトゥグアという知り合いの女の子が真っ裸で水遊びをしていたんだよ。屋外の湖でだよ?さすがに何かあっても庇い切れないし、キモいのも集まって来てるし、教えた方がいいかな。うん、そうしよう。
「外で真っ裸はさすがにまずいと思います」
「いやここ、私の別荘の私有地だし…」
「私有地だからと言っても私の家から見える場所だけど、ここ」
「え?」
顔が熱を持ってるな。恥ずかしいのか…
「やるなら屋内プールでやりましょ?」
「うん…」
「あと、キモいおっさん達が群がり始めてますよ」
「え?特に見えないけど…ああゴーストか…ってゴースト!」
「今すぐ水着を着るなり出てくるなりしておいた方が、って良く見たらインキュバスの霊だコイツら」
「今すぐ燃やし尽くしてやる!」
「待ってください、湖を干からびさせちゃダメでしょ!?」
「空中に浮かんで、水に熱が伝わらないようにすればいいんでしょ!」
「そうだけどさ…」
「燃え尽きろ!」
「魂から消滅されられてますね、アレは」
さすがはクトゥグアの化身といったところだな。私もアレは対策なしでは耐えられる気がしないや。まあ、残基が一つ減るだけで終わるだろうけどさ。
「ふう。これで居なくなったわよね?」
「まあ、トゥグアさんの周りにはいないですね」
一キロ圏内にはちらほらまだ残ってるけどね。
「早く着替えないと」
「そういえば、トゥグアさんって水苦手だったよね?」
「人の姿の時は別に何でも無いわよ。だけど、好き好んで水に入りたいとは思わないけどね」
「ってことは、インキュバスのゴーストに取り憑かれていた可能性があると…」
「まままさか…」
「インキュバスのおっさんは基本的に産まれたままの姿を好んでいたはずだけど…」
「お祓いして?」
「自分で祓ってましたよねさっき」
「あ、そうだった。腹いせに絶滅させてやる」
「種の絶滅は相棒が出てきて止めにくると思うけど?」
「ジャックには経緯を話せばワンチャンいけると思うけど?」
「無理だと思う」
「だよね~」
「これ着てください」
「ありがと」
………家に帰るか。