第18話 五次元に並ぶ世界(11年後の再会)
レイラの前に現れた一人の女性。それは、11年前に・・・。
◆最後の客◆
レイラは街灯を見上げ、一ヶ月前に行った予報を思い出していた。
空一面に広がる暗闇には余りにも小さすぎる光。
自分が予報をしている範囲なんて、世の中に日々起こる全ての事象に比べれば、この光にも及ばないのかもしれない。
少なくてもこの光は、目の前のものは確実に照らしているのだから・・・。
自分は予報していながら健太君の身に起こる事に全く気付かなかったのだ。
そんな気配すらも見て取れなかったのだから。
本当に真剣に予報をしていただろうか?
どこかで手を抜いてはいなかっただろうか?
安易に考えていなかっただろうか?
いや、無かったはずだ。そう思う。
しかし、何か方法があったのではないだろうか?
そう思うとレイラは心が痛んでならない。
恐らく健太君の入院している病院の面会時間は、既に終わっている筈である。それでも、次のお客の予報が終わったら病院に行って見ようか・・・。そんなことを考える。
日曜日の今日、臨時開店した予報も次のお客で最後である。
そのお客は予約時間を5分過ぎてもレイラの前に現れてはいない。
そのことに対しては、それ程気にも掛けていなかった。
時々そんなこともあるのだ。
それよりも、これまで予報をした7人のお客には、今のところ不思議な事件に関する予報は皆無であった。
と言っても、決して全く無意味な臨時開店であった訳ではない。この7人のお客には何かしらの助けにはなったのかもしれないのだから。
ただ、急に開店した目的は全くを持って達成出来ていない。空振りに終わろうとしているのだ。
そして、そのせいで健太君のお見舞いにも行くけとが出来なかったのだ。
全く外している。
こと、自分対しての予報の不確実さには、いつもながら呆れてしまう。
ひんやりと、時折頬を打つ北風が自分に対する罰の様に感じられてしまう。
だが、レイラがそう思うのも僅かのな時間であった。
そんな気持ちを頭の片隅からも消し去ってしまう出来事がレイラを待っていたのである・・・。
商店街は夜も遅くなると、人通りはめっきり少なくなる。と言っても、全く人通りが無い訳ではない。 それに、大通りに近い直志商店前は車両の騒音も大きい。
だが、その中ではっきりと自分に迫って来ていると判断できる足音をレイラは感じていた。
嫌な予感が急激に湧き上がって来る。
その音は近づくにつれ、レイラの心の平静を乱して行く。
この世界に来て、この街に来て、次第に心の隅に追いやられて行った心の傷跡。それが、その足音と共に次第に蘇って来るのである。
(・・・っ)
思わずレイラはその音に反射的に耳を塞いだ。
他の誰かには普通の足音にしか聞こえないだろう。それ以前に、気にも掛けないであろう。
しかし、レイラには心を踏みつけられる程の痛さがあった。
心の片隅から湧き上がって来る後悔と、罪悪感がレイラの心に深い傷を蘇らせるのである。
(聞きたくない・・・)
足音が近づく程に、傷口が出来たばかりのそれに蘇っていく。
レイラは息苦しくなり、俯いたまま粗い呼吸を繰り返すのみである・・・。
それは、麗美と和美が健太君が入院している病院に到着した頃のことであった。
臨時に開いた今日の予報。最初はふとした思い付きであった。
それが心に引っ掛かり始め、何故かいつもは休みにしている日曜日に予報屋を開かなければならない。開かないといけない。そんな気になったのである。
何か、最近頻発する事件の手掛かりが掴めそうな気がしたのである。
だが、空振りだと諦めていた。所詮自分のことは当たらないだと諦めていた。
しかし、そうでは無かった。
レイラの心が押し上げていた理由はこれであったのだ。
空振りであれば良かった・・・。
正直レイラはそう思った。だが足音は確実に近づいてくる。
レイラにはこの場から逃げると言う選択肢は残されていない。
それは、今の予報と言う仕事への責任に対しても、そして、本来この世界に来た理由に対してもだ。
せいぜい俯くことだけが、レイラの中で許された逃げである。
まだ2月末と寒い季節にも関わらず、レイラの背中は汗ばみ、心臓の鼓動が高鳴っていく。
顔を上げて足音の方を見ようとするが、怖さが襲って来て顔を上げられない。
自分でも顔が青ざめていくのが分る位に血の気を感じなくなっている。
どうしよう・・・。わからない。
足音は直ぐ目の前までに迫っている。
だが、何の術も無く俯くだけであった。
そして、そんなレイラの前に、終に足音は止まった。
もう、顔を上げるしかない。上げざるを得ない。
逃げ様がないのだ。
レイラは恐る恐る、徐々に顔を上げていく。
足元が見えた瞬間、心臓が張り裂けそうになる。
レイラは、強制された様に更に顔を上げた。
目の前にはレイラ以上の長身の女性がレイラを見下ろし冷笑を浮かべている。
そして、女性は、
「久し振りね、レイラ・・・、レイラ・ミル・リルクール」 レイラの本当のフルネームを呼んだ。
レイラの予感は当たっていた。
いや違う。予感ではない。既に彼女がレイラに気付かせる様に、敢えてわすがにオーラを放っていたのである。
レイラはそれを感じただけのことであった。
レイラは言葉が出ない。目の前の女性の目すら見ることが出来ない。
レイラの視線は彼女の口元で止まっているのだ。
何故ここに?
彼女は何故ここにいるのだろう?
レイラの頭の中ではそのことだけが巡っている。
視線を合わせられないレイラに対し、彼女は、
「偉くなったのね。いつも必死に付いて来るのがやっとだったのにね」
楽しむ様にレイラの心に追い撃ちをかける。
「ネリア・ミスト・・・」
レイラはそう、呟いていた。
レイラ自身、目の前の人物の名前を声に出したことに驚いた。
驚くが、その続きの言葉は口を突かなかった。それは言い訳染みていると感じているからだ。
全く偉くなんてなっていないのだ。
まだこの世界に来てレイラは何の任務に付いていない。いないどころか、自分の所属すべき場所も見付かっていないのである。
見付かっていないと言うよりは、役に立たないと思われ放置されているのかもしれない。
レイラの存在に気付かない訳はないのだ。
彼等はそれだけの能力は持っているし、それに、気付いているとレイラに思わせる事件もあったのだから。
黙っているレイラに彼女は、
「あなたが、私たちみんな憧れていたこの地の任務に就くとはね・・・。ホントにおめでとう」
そう言いながら、口元だけで大げさに笑って見せる。
「・・・・・・」
なぜ、なぜ此処にいるのだろう。
何かの任務なのだろうか?
いや、そんな筈がない。
この世界に来るにはそれなりの制限があるのだ。
それは、昔から変わらなかった規制なのだ。急に変わるなんて有りはしない。
では、どうやって此処へ?
レイラは必死に思考を取り戻そうとする。それで精一杯だ。
相変わらず言葉の出ないレイラに、彼女は
「せっかく会いに来たのに随分無愛想ね。
あんなに助けてあげあたのに、さすが薄情な人は違うわね・・・」
そう言う。
レイラの脳裏には11年前に初めて受けた衝撃が鮮明に蘇っていた・・・。
◆11年前 憧れの地への想い◆
それは、11年前に受けた衝撃。
”他人から嫌われる”
実際に受けると、こんなにもダメージを受けるもの、こんなにも尾を引くものとは考えても見なかった。
生活の殆どが孤立した、人と接する事の無い環境で育ったレイラには、想像もしたことがない強烈な衝撃であった。
レイラはそれまで、孤独な環境の中で人の大きな感情を直接受けたことが無かったのである。
感情の殆どが、カリキュラム内の映像から感じたものであるのだ。
そこに直に受けた感情であった。
そして、その相手が孤独な環境の中で唯一、人の温かさを感じさせてくれた人からだったから尚更である。
ずっと、感謝して、憧れて、尊敬していた相手だった。
何故そうなったのか?
レイラには全く意味が分からなかった。
育ったエリートと言う特殊な環境から脱落すること、捨てられることと同じ位に、いや、それ以上にレイラは気を使って接していたのである。
それなのに・・・。
レイラは”アルツァ”と言う世界。その一惑星”になるフェアルの中心地”ミラ”。そこでレイラは生まれ育った。
高い能力を引き継ぐ20人の中の1人として、作られた環境の中で生まれ育ったのだ。
その20人は能力が足りないと認められた時点で、一般の孤児達と同じ施設に席を替えて行く。
レイラが物心付いた時には既に半数の10人となっており、さらに終了間近の18歳の時には4人となっていた。
その中の一人がこのネリアである。
だが、全てのカリキュラム、試験が終了した時にはネリアの姿は無かったのである。
ネリアは、その一ヶ月前の最終試験で落ちたのである。
18年間必死で追い続けた、夢であった異世界への任務。その為の資格を得られるホンの少し前に落ちてしまったのである。
レイラは忘れない。11年前彼女が去って行く時の最後の姿を、自分を睨み付けるその目を・・・。
何か言いかけた口元を・・・。
レイラ達は物心が付いた頃には、インストラクターと呼ばれる指導者達以外には、殆ど人と接することが無かった。
それは、より優れた能力者を作るためとして、試験的に取られた方法であったのである。
”フェアル”では、エリートと呼ばれる能力者を作る為に、色々な育成方法を試行錯誤していた。
レイラ達の時には、偶々それが施行された育成方法であったのだ。
特定の人間を愛することなく、”自分を含む万人に対して同じ気持ちで愛する”その為の方法として試されたのである。
直接人との接触することにより、特定の人物に偏った愛情を持たせる習慣を持たせないと言う目的である。
しかし、そのままでは無感情な人間に育ってしまう可能性を否定出来ない。そこで、万人に対する愛情は映像と音声から動画として取り込むと言う方法を取ったのである。
ドラマやアニメとしてである。
と言っても、全くインストラクター以外の人と接しない訳ではない。人と接することに慣れることも必要だからである。また、能力を伸ばす為に競争させると言う必要性もある。
その理由の元、時々はエリートとして一緒にカリキュラムをこなしていた者達と顔を合わていた。
ただ、トレーニングの中のみの接触では会話になる訳もない。もちろん、特定の人物に対し特別な感情を持たせないのが目的だから当たり前のことである。
だが、そんな中で一人だけは別であった。
一人だけ図抜けた能力を持った彼女にはその余裕があったのだ。
ハードなカリキュラムな中でも人に興味を持つ余裕があったのである。
それが、ネリア・ミスト。彼女である。
そして、彼女が興味を持った相手が、他の子達とは異質の性格を持つレイラであった。
極度のあがり症で緊張しっぱなしのレイラは、ネリアの興味を引いたのだ。
そして、ネリアは抜群の試験内容に関わらず、彼らが顔を揃える時はいつも居残りを命じられるレイラに合わせて、敢えて一緒に居残りに遭う行動を取っていた。
そして、彼女は時々必死なレイラに笑顔を向けて来たのだ。
それに最初は気味悪がったレイラも、それが次第に心の支えになって行った。
そして、彼女の行動がレイラの心を落ち着かせていった。
そのお陰で、自分の力を出すことが出来、なんとか課題をクリアし、エリートと呼ばれる中から脱落することも無かった。
レイラがそんな彼女に好意を抱き、憧れ、尊敬して行ったのは当然のことである。
だが、そんなネリアであったが、年を重ねるに従って周りとの能力の差が無くなっていった。
ネリアも必死で自分の順位を守ろうするようになって行ったのだ。
それでも、ネリアは常にぎりぎりで試験を切り抜けていたレイラの心の支えとなることに変わりはなかった。
レイラに取って彼女の存在自体が励みになっていたのだ。
そして、18歳を迎えた時であった。終にネリアはトップの座から落ち、残った4人の中で3番目になっていた。もちろん4番目はレイラである。
やがて、4人は最後の試験を迎えた。
卒業の1ヶ月前である。卒業後は一般の大学へと進み、そして、約束されたエリートとしての道を進むのである。
そのエリートの中で100位までに入っていれば、”スペーズ”と呼ばれる世界の”チキュウ”と言う惑星の任務に選ばれる可能性があるのである。
この世界の任務はエリートと呼ばれる者達に取って、最も望まれる任務であったのだ。
それには理由があった。
それは、五次元と呼ばれる”重力周波数”軸に対し、”チキュウ”は”フェアル”よりも低い位置に存在するのである。
それが、身体的に何を及ぼすかと言うと、老化が遅いと言うことになるのである。
つまり、若く長く生きられることになるのである。
さらに、”フェアル”の人類が大なり小なり全ての人が持っている能力の一つが、”チキュウ”の人類には、超能力と呼ばれる部類の能力で、その実存は架空のもの考えるのが一般的な思考であったのである。
その能力の大きさに価値のある”フェアル”の人類に取って、そんな”チキュウ”に居ることは、自分を大きく優位に感じることが出来るのである。
小さい頃から有望視されていたネリアにとっては”チキュウ”に対する憧れが人一倍強かった。
自分は必ず行けるものだと信じていたのだ。そう思い続けて、18歳になったのである。
レイラ達の最後の試験は今までの試験とは違い実践そのものであった。
全てが残った4人、或いはインストラクターとの共同作業であった。それに、ネリアは戸惑った。
他人の能力を盗む、学ぶと言う必要が無かったネリアは他の人の行動を理解出来なかった。
暗黙の了解なんて、目での合図なんて、いつもレイラを上から見ていただけで理解が出来なかった。
しかし、レイラはそんなネリアの状況を感じていた。
上手く行かないネリアに初めて手を差し伸べることが出来た。レイラに取っては恩返しが出来るそれが嬉しかった。
だが、そんなレイラの行動がネリアには屈辱であったのである。
心に余裕が無くなったネリアには、差し伸べられた手を受け止めるだけの度量が無くなっていたのである。
むしろ、それが試験に悪い結果となることを恐れてしまったのだ。
ネリアは度々レイラが差し伸べる手にの行動にイラつき何度も跳ね除け失敗を繰り返した。
それでも、レイラはネリアのプライドを傷つけないように陰からそっと支えていた。
今まで受けた恩返す為だけではなく、本当に一緒に最後まで残りたいと思ったからである。
そして、このまま一緒に任務に就きたいと思ったのである。
ただ、それをネリアが気付いていたかどうかは・・・。
◆インターラプト◆
レイラは11年前に助けれなかった罪悪感に萎縮していまう。
そんなレイラに、ネリアは憎しみに後押しされたアドバンテージで、レイラに圧力を掛けて行く。
レイラの萎縮する反応が快感であるかの様に。
だが、
「優秀な人は良いわね。この地で若く長く生きられて。
ああ、でも油断しちゃ駄目よ。
いつまでも、此処に居られるとは限ら・・・」
途中で突然と言葉を止め、唾液を飲み込む。
そのネリアの行動を遮断しさせようとする力を感じたのである。
能力としては微弱だが、意思としては鋭さを感じた。
ネリアはそれに気味の悪さを感じ、辺りに目を配ってみた。だが、自分達を見ている気配を感じない。
何処からか見ていなければ、故意にそんな力を放つことが出来ないはずである。
なのに、何処から見ているのか全くネリアの力を持ってしても、特定出来ないのである。
と言うことは、偶然に能力の強い者の気配が自分を錯覚させたのだろうか?
何れにしてもネリアにとっては、この場を自分の世界に関係する者には見付かる訳にはいかない。
ここに居る訳の無い自分を見られる訳にはいかないのである。
それは、自分の計画の失敗に繋がる。
こんな人前で大きな争いを起こすことは自分の目的から逸脱している。
失格である。幾ら自分の方がレイラよりも能力がある自身があっても・・・。
彼女が小さい頃か目指していたことはそんなことでないないのだから。
だから、今はまだこっそりと行動をしなければならない。そのチャンスが来るまでは・・・。
彼女は、
「まあ、いいわ。レイラ、あなたとは、近いうちにまた会うことになるのだから・・・」
そう言い、風の様にレイラの前を去って行った。
それに、レイラは、
「ま、待って・・・」
小さく声にするのがやっとであった。
(追いかけなきゃ、追いかけて此処に来た目的と方法を聞かなければ・・・)
そう思うが、体が動こうとはしない。
正当な理由でこの世界に居るのならば良いが、その可能性は残念ながらかなり低いはずなのだ。
それであれば、自分がこの世界に来た仕役目を果たさなければならない。
たった一人でもだ。
しかし、そうは思うのだが心が体を止めようとする。
彼女から嫌われると言う感情を、再び向けられることを恐れている。
一番この世界に憧れていた彼女の気持ちを、再び潰してしまう恐怖がレイラの脚を止めさせてしまう。
レイラはその場から動くことが出来なかった。
結局、レイラが心に引っ掛かったものとは、自分に対する予報とはこれであったのだ。
黙ってはいられないと言う、そわそわした気持ち。それは、自分を苦しめるものだった。自分の最も恐れている感情との再会であった。
レイラは考えたくないが最近頻発する事件と、今日会った鳶職姿の女性。それに健太君の予報が外れ、襲われたこと。
その全てが、残念ながらネリアがこの世界に居ることと無関係とは思えないのである。
そう思うとレイラの心は一層沈んでいき、辛く重たい気持ちに潰されそうになり、俯いたまま立ち上がる事が出来なくなってしまっていた。
レイラは暫くそのまま、ぼーっとして街灯の光を見上げていた。
そこに突然、
「レイラちゃん、どうしたの?」
和美に送ってもらったもえちゃんが、いつの間にか健太君の入院している病院から戻って来たのである。
「んっん、あっ、も、もえちゃん・・」
レイラは慌てて、自分の心を取り戻そうとする。せめて見た目だけでもいつもの様に振舞おうとする。
しかし、レイラの様子に、
「大丈夫だよ」
と言う。レイラの目を見つめて優しくそう言う。
「えっ、あっつ、な、何が?」
一瞬、レイラには何が大丈夫と言っているのか分からなかった。
ネリアとの姿は見られていないはずである。それに、ネリアとの関係をもえちゃんが知っている訳がない。レイラが驚いていると、
「健太くんは、元気だったから」
もえちゃんはそう言った。
そうなのだ。健太くんのことに決まっている。
自分の事に意識が傾いていたことに恥ずかしく思う。そして、今のこの世界の生活に気持ちが戻っていくのを感じる。
「ホンと・・・。良かった」
レイラは何か気持ちが落ち着く感じがする。健太君への心配が蘇ってくる。
そして、罪悪感を償いたい気持ちになっていく。
「うん・・・、本当に腕の骨は折れてたけどね」
もえちゃんがそう言う。
「全然大丈夫じゃないじゃない、もえちゃん」
そう言いながら、今度こそこの自分の周りだけでも絶対に守りたいとそう思う。
みんなから受けた恩を返したい。一緒に暮らして生きたいと思う。
「本人が”大丈夫”って言ってたから・・・」
そう言ってニタニタ笑っている。
レイラの沈んだ心の中に、小さなもえちゃんの大きな心が割り込んで来た。
その大きさに、レイラは気持ちが楽になっているのを感じるのであった。
<つづく>