第16話 夏休み納涼”へろへろ女”生け捕り作戦16
旅行の初日が終わろうとしている。戻って来たレイラと諸湖羅は、和美の昔し話を聞くことになった。
◆女性陣コテージ◆
2泊3日の”夏休み思井沢高原避暑旅行”。別名、”へろへろ女生け捕り作戦”の長かった初日も終わろうとしている。
深夜となり、子供達はみんなベッドの中で大騒ぎだった1日の疲れをリセットする為に、熟睡をしている最中である。・・・その筈であった。
その筈ではあったのだが、まだ眠れずにベッドの中で眠れずに”そわそわ”と、落ち着かない女の子が暗い部屋の天井を眺めていた。
その子は、もえちゃんである。
もえちゃんがベッドについてから、既に30分近くが経過している。
しかし、とても疲れているのではあるが、全く眠りに付ける様な心境にはなれないのである。
その理由は、もちろん決まっている。
麗美を助けに行ったレイラが、いまだ戻って来ていないのである。
和美と緒湖羅が、2階の隣の寝室に入った気配が無い。二人は1階の居間でレイラの帰りを待っている筈である。
つい先程までは、全員が集まってレイラの帰りを待っていたのだ。
しかし、引率者の和美から本日の解散を告げられてしまったのである。
和美としては、深夜まで子供達が起きていることを容認するわけにはいかない。
もちろん子供達の気持ちは充分に分る。しかし、それはそれである。
和美には子供達の親代表、引率者としての義務があるのだ。
和美は致し方なく自分の義務として、お開きの言葉をみんなに告ざるを得なかった。
それには、この旅行の提案者である子供達の代表のもえちゃんも和美の立場は良く分る。
同意しなければならない。
「レイラちゃんだったら大丈夫だからさ、みんなもう寝ようよ。明日も早くから遊ぶからさ」
そう言うと、自分が先導してみんなをベッドに向かわせたのだ。
そんなことで、みんなと一緒にベッドに入たもえちゃんであったが、思いっきり遊んで疲れている筈なのに、全く眠くはならないのだ。
隣のベットで、澄子ちゃんはぐっすり眠っている。恐らく全く物音がしないので、その向こうの真希未ちゃんも靖子ちゃんも眠っているのだと思う。
もえちゃんは少し体を起こして、みんなの様子を伺ってみた。
(大丈夫だ。みんな、寝ちゃったんだ)
もえちゃんは誰も起こさない様にそっとベットを抜け出ると、カーテンの下から潜り込み、窓から真っ暗な外を眺めた。
(真っ暗だ)
散在する遠くの街灯が、木の陰から二つ三つ見えるだけである。
レイラの姿は全く見えない。
「レイラちゃん、遅いな~」
もえちゃんは、そう小声で呟くと、寝室の窓からレイラの帰りをそのまま待つことにした。
その様子を、真希未ちゃんと靖子ちゃんが横目で心配そうに眺める。
真希未ちゃんと靖子ちゃんも、レイラが心配で実は起きていたのだ。
しかし、二人は隣同志のベッドの中でお互いに目を合わせたが、暗黙の了解で一人ベッドを抜けたもえちゃんをそっとしておくことにした
レイラが全てであるもえちゃんの気持ちは、二人とも良く分っているのだ。
二人も寝た振りをして、もえちゃんと共にレイラを待っていた。
◆男性陣コテージ◆
その頃、帯人は一番最後にお風呂に入っていた。
弘史と昌史も、今日はペンションのご主人の計らいで、ペンションに無料宿泊の許可を頂いている。
今は一つしか空いていなかったベットに二人で眠りについている筈である。
庄蔵は、性格から自分がお風呂から上がるのを待っている筈だ。
(先生は、大丈夫だろうか)
レイラを無敵の師と仰ぐ帯人も、少しばかり心配である。
30分程前までは、女性陣のコテージに集まりレイラを待っていた。しかし、子供達を夜更かしさせるわけにはいかない。
子供達全員がお風呂から出るのをきっかけに、和美がお開きとした。
もちろん、男の子を寝かす為に、帯人も男性陣の宿泊するコテージに戻って来なければならい。
(大丈夫に決まってるじゃないか。何を心配しているんだ)
そう、自分に言い聞かせ、明日を待つことにした。
◆お帰り◆
(あれっ、誰か来る!)
湖畔道から、コテージに向かって登ってくる人影にもえちゃんが気付いた。
(あっ、レイラちゃんだ!)
もえちゃんは、飛び跳ねようとむずむずすしている体を必死に抑えた。
「やっぱり、大丈夫に決まってるじゃん。ははは」
さっきまで心配していた自分を笑い飛ばし、ついうっかり声を出してしまった。
慌てて両手で口を塞ぐ。
でも、
(あれ?何か手に持ってる。何だ?)
目を凝らして見てみると、レイラはパンプスを手にぶら下げて裸足である。
何かあったんだろうか。もえちゃんの顔は一気に不安な顔に曇っていく。
その時、丁度レイラも2階の寝室の窓にもえちゃんの姿を見つけた。
レイラが、もえちゃんに手を振ってきた。
それに、もえちゃんも小さく手を振って答える。
大きく手を振っても音がするわけでないので、誰も起こす心配は無いのだが、一人だけ隠れて起きている手前、行動も小さくなってしまう。
もえちゃんが、左手でパンプスをぶら下げる真似をして、右手で指さした。
レイラはそれに、パンプスの踵が取れてしまったのをジェスチャー付きで見せる。
(うん、大丈夫だ!)
足取りも問題なさそうである。
もえちゃんはレイラがコテージに入るのを見届けると、素早く、でもそっとベッドに戻った。
そっと、戻ったが薄目を開けている真希未ちゃんと、靖子ちゃんには直ぐにレイラが無事に戻って来たことが分った。
それだけ、もえちゃんのベッドに入る足取りは軽快であったのである。
レイラは、もえちゃんが寝室の窓から覗いていたことから、子供達が寝たことを知ったこともあり、そ~っとコテージのドアを開けた。
そして、顔だけを中に入れて、覗いて見た。
幾ら子供達が寝ているからと言って、そこまでそっと入る必要はないのだが、自分の家ではないところに、夜中に入るのである。
経験の無いことに対して、変に弱いレイラは、こんなことにも多少緊張する。
コテージの玄関を覗いて、レイラは驚いた。
ドアの中では、満面の笑顔の緒湖羅と、目が若干潤んだ和美が待ちかねた様に玄関で迎えてくれていたのだ。
二人共、ブラインドの隙間からレイラの帰りを伺っていたのである。
「お帰りなさい。グスン」
真っ先に緒湖羅がそう言い、レイラに抱き付こうとした。
しかし、それより先に和美がレイラに飛びついていた。大きな体をしているが、身は運動音痴の緒湖羅よりも遥かに軽い。
「良かったあ~、レイラさん」
情に熱い和美は涙を流さんばかりである。
「はははは、和美さん大丈夫ですから。ははは」
余りの熱い抱擁に、笑いながら距離を取ろうと、和美と自分との間にそっと手を入れた。
「あっ、ごめんなさい」
和美もレイラの仕草に気付き抱擁を解いた。
「良かった。本当に良かった」
和美がレイラを見つめる。
「大丈夫です。和美さん」
「そうですよね。レイラさんに解決できないことなんてないですよね」
と、諸湖羅は言った後で、レイラが裸足であり、履いていたパンプスを左手にぶら下げていることに気付いた。
「レイラさん、それ、ど、どうしたんですか」
緒湖羅がパンプスを指さして驚いた。
「え~、ちょっと、踵が取れてしまって」
と言いながら照れ笑いしているが、緒湖羅の見るところそれだけではない。
とっても、踵を直しても履けはしない。
「足は大丈夫なの」
和美が心配そうに顔を歪める。
「ええ、足は全然大丈夫なんですけど・・・パンプス直さないと」
そう言ってみたが、緒湖羅と和美の顔付きが変わらない。
そこで、レイラはその場で軽く腿上げを数回して笑って見せた。
「ぜ~んぜん。大丈夫です、ほらね」
それが、物凄く速い。
「速っ!ほ、ホンと。だ、大丈夫そう」
その速さに度肝を抜かれた和美と緒湖羅は顔が引きつってしまう。
(なにやっても、スケールが違うわ!でも、そんなに真剣にやらなくても)
和美は、そう思うと急に可笑しくなってきた。
和美につられて、緒湖羅も笑い出した。
「可笑しいですか?」
レイラは可笑しなことをしてしまったのかと、不安な顔になる。
「ううん、流石だなって思って。それより、レイラさん先にお風呂に入って下さい。それからゆっくり、麗美さんのこと聞かせて下さい」
和美と緒湖羅は、まずは話の前にレイラにお風呂を進め、話はそれからと言うことにしようとした。
それに、
「はい」
レイラは肯いた。
◆和美と梢◆
レイラがお風呂から上がると、居間のソファーで、緒湖羅が用意してくれた冷たい紅茶を飲みながら肝試しの後の話しを始めた。
レイラは麗美が大丈夫なことと、パンプスは壊れたが、自分も全く大丈夫な事を強調して伝え、後のことは心配されないように、控え目にかえ摘んで二人に伝えた。
続いて、和美もご主人から聞いた話をレイラに伝えた。途中、話しが抜けそうなところは、緒湖羅がきっちりとフォロー入れてくれた。
普段の遅めな行動からは想像がつかないのだが、きっちりと話しの要点を捕らえていることに、流石は一流大学の学生だと、自分との違いがどこであるのかを和美は痛感した。
そして、和美は話しを続けた。
「あの子は、大好きな環境や優しかった仲間を奪わてしまったのを必死に堪えていたのね。
きっと、自分の縋っていた僅かに残ったものを、自分には無くなってしまった仲間と言う一団で、いとも簡単に壊して行った彼らを許せなかったのかもしれないわね」
和美も仲間を大切にして来た。仲間と言う存在の有難さが良く分る。
きっと、麗美にとっての仲間は、人に与えることはすれ、人から奪う様なことはしなかった筈だ。
しかし、麗美の前に現れた仲間と言う一団は、麗美の大事なものを軽い気持ちで奪っていったのだ。
和美には麗美の気持ちが理解出来る気がする。
「彼女には楽しかった仲間達との思い出のことしか見れなくなっていたのね。
色んな未来があることを見せて上げられれば、きっとそこまでは・・・」
和美は、麗美に対して自分と同じ熱さを感じていた。
「私もさ、今はこんなに幸せに暮らしているけどね。彼女みたいにね、危なかったのよ・・・」
”取り返しのつかないことになるところだった”その恐ろしさが、記憶を蘇ってくる。
「私は若い頃、その時しか見えてなかったの・・・」
レイラは和美から麗美を救ってあげたいと言う強い意思を感じた。最も今の和美は、内心が幾ら熱くても、その熱さをむやみに前面に出したりはしない。
きっと、彼女を変える出来事が有ったのだと思われる。
この強くて、熱くて、思いやりがあって、それに、自制心にリーダーシップもあれば責任感もある。
レイラは、あまり自分の興味だけで人のプライベートに踏み入ったりしないのだが、この御手洗和美と言う人間に興味を持ってしまった。魅力を感じていた。
出来れば過去を知りたい。そんな気持ちになっていた。
しかし、それでも興味から、こっそりと過去を覗き見することは頭の片隅にもない。
気がついたら一人の人間としての興味が素直に言葉になっていた。
「和美さんは、若い頃に何があったのですか? 確か”伝説の和美さん”って弘史さんが呼んでましたけど」(第43部”へろへろ女生け捕り作戦3、4”のこと)
「伝説・・・?」
レイラの思いがけない言葉に、和美は過去を思い出すように上を向いた。そして、少し呆れた顔で少し笑うと話を始めた。
「ほら、ここに来る時の車の中でも話したけど、私さあ、もうどうしようもないバリバリのヤンキーだったのよ。
ああ、でもこのことは、陽太には内緒ね」
一応、口止めをする。
それは、息子の陽太が変な意識が生まれない様にである。もう少し大人になるまでは隠しておこう思っているのである。
「はい、もちろん」
レイラの言葉に諸湖羅も頷く。
「もえちゃんって、子供くせにどこか覚めて見せるところもあるけど、本当は凄くみんなの事を思いやって、考えてるところがあるでしょ。その面倒みのいいところが、私に言わせれば若い頃の梢さっくりなの」
「梢さんを昔から知ってるんですか?」
レイラは初めて聞く情報に驚いた。
「やっぱり、梢は一回もレイラさんに予報してもらってないのね。・・・そうだと思った」
和美は納得顔である。
「そうですけど、何故そう思うのですか?」
「うん~・・・それは、内緒かな」
そう言って、人さし指を口にあてた。
梢がレイラに過去を見せていない理由を、その機会が無かったからではなく、和美は敢えて見せていないのだと判断したのだ。
和美は話を続けようとしたが、そこに割込が入った。
「あの~、梢さんて?」
殆ど口を挟まない諸湖羅が、話が分らなくならない様にと、直ぐ様質問をしてきた。
(緒湖羅さん、やっぱ理系ね)
これにも、和美は緒湖羅がどう言うタイプの人なのかが分って来て嬉しかった。
「ああ、そうだったわね。諸湖羅さんは知らわよね。梢はね、もえちゃんのお母さんなの」
「もえちゃんの・・・(そうよね、もえちゃんにもお母さんがいるのよね)」
緒湖羅には、もえちゃんの母親を想像したことがなかった。
考えてみると、勝手にレイラと二人で生活しているイメージを抱いていたことに気付き、諸湖羅も梢に興味をそそられていった。
和美は話を続けた。
「梢は、他人の世話ばかりしている子だったのよ。
私とは高校の同級生でさ。
私が中退しちゃったから、1年間だけなんだけど。
今でも後悔しているの。
梢があんなに真剣に止めてくれたのに。親のせいにして振り切ってしまって。ハハハ。
そんな私を梢は、辞めた後も心配してくれて、何度も訪ねてきてくれたのよ。
梢はそんな子なの。
他人のことも自分のことと境を付けないの。全く同じに大切にするの。
でも、その頃の私は、直ぐそこにある興味のあるものしか目に入らなかったの。
まあ、はっきり言えばヤンキーがかっこよく見えたってことなのよ。
子供の頃って、型からはみ出したちょっと悪いものに憧れたりするでしょ。それも、良くわかんない集団でも人を従えていると、かっこ良くみえちゃうのよね~。
しかも、簡単になれちゃうでしょ。努力がいらないもん」
二人が関心して自分の話を聞く様子を見て、少し訂正をした。
「レイラさんと、諸湖羅さんはそんなタイプじゃないわよね。でも、人口の半分位はそうだと思うのよ。
ああ、誤解しないでね。人口の半分がヤンキーを好きなわけじゃなくて、型にはまらない、ちょっと悪い者を子供の頃に好きになるってことなのよ」
レイラと緒湖羅は「勉強になります」と言う顔をしているので、違うタイプなのだなと思うと、少しやりずらかったが話を進めた。
「当然、こんな私でも、良くないとは分ってはいるの。
だから、その中に入る為には、人のせいにする大義名が必要だったの。それが私には丁度あったのよ。親の不仲がね。
ぜ~んぜん関係ないんだけどね。ハハハ。
そんなこと言ったら、梢なんか生まれた時から不良にならなきゃね。
彼女は凄いのよ。彼女ももえちゃんと一緒。母一人子一人だったの。
しかも、失礼だけど凄く貧乏だったの。
それで、学校が終わると生活の為にバイトをしていたんだけど。
そんな状況なのにね、おせっかいな位に周りの世話をやいて。それでいて、頭も良くて努力家で、運動神経抜群で。
彼女から見れば、全然恵まれているのに。
私も梢みたいにね、グレて他人の世話したり、勉強でもすれば良かったのよね。
それは、後で聞いたんだけど、梢はそうやってグレてたんだって。凄いわ。ハハハ」
和美は梢を陽気褒めちぎる。そして、自分を暗くけなす。
レイラは和美の人柄に魅かれていった。
「私は、梢とは正反対。
悪いことも、たくさ~んしたわ。未成年は許されるって甘えがあったのよ。
すっかりヤンキーの世界にハマってしまい、その世界の一登場人物になっていたわね。
まあ、実在の世界を勝手な世界に置き換えて女優になってしまってたのね。
あのままだったら、主演女優賞をもらえたかもね。フフフ。
すっかり、良い事も悪いことも、その世界の出来事として判断してしまっていたわ・・・」
ここまでは、笑いながら話していた和美も、この後からは笑顔が消え真剣な顔付きで話を続けた。
「そして、19歳の時。
その頃、私は弘史の姉”実向早百合”と仲が良くて、いつもつるんでいたの。
その早百合の子供の頃からの友達に”フトモモ”いや、太田桃子と言う子がいたんだけど・・・そうそう、”フトモモ”って言うのはあだ名でね。太田桃子の苗字と名前の一文字を並べて、太桃って呼ばれていたの」
諸湖羅は迂闊にも笑ってはいけない場面で笑いそうになり、鼻をかんでごまかした。
「愛嬌のある良い娘で、私も早百合も大好きだったの。
フトモモは一人暮しをしていて、毎日ふらふらしていた私を、快く何度も泊めてくれていたの。
そのフトモモがね、男に騙されてしまって・・・」
和美は一度冷たい紅茶を口にして、溜息をついた。
和美が話しを止めると、静かなコテージの中で時計の秒針を刻む音だけが響いている。
時はとっくに日付を越えている。
「それで、フトモモさんはどうしたんすか」
真剣なレイラの言葉に諸湖羅はもう一度鼻をかんだ。
「諸湖羅さん風邪?」
和美が心配そうに諸湖羅を見つめた。
「いえいえ、大丈夫です。生まれつき鼻炎なんです」
緒湖羅は、か細い声で思いついたいい訳をして、ティシューで笑いそうになった顔を隠し整え直した。
「そうなの?」
和美は話しを続けた。
「フトモモは、貯金を貢いでしまうと、今度は風俗で働いて貢いでいたの。
私と早百合は別れる様に進めたんだけど、最初は私達の言うことに、全く耳を貸してくれなかったわ。
でも、ある時その男が他の女とフトモモの家で寝ているのを目撃しちゃったの。
それで、目が覚めたフトモモが男を問い詰めると、逆切れで今度は暴力なのよ。
その後、何度も逃げようとしたらしいんだけど、その度に捕まって暴力を振るわれて・・・。
私もまさかそこまでとは知らなくて、男がいるから暫く距離を置いていたんだけど、早百合からその話を聞いて、驚いたの。
直ぐに、久しぶりにフトモモのところに行ったのよ。
そしたら、フトモモはね、働いてもらったお金を男に取られたところで泣いていたの。
明るくて丸顔だったのに、すっかり暗くやつれていたわ。
フトモモはね、私の所に逃げて来ようと思って、荷物を取りに来たところを捕まったそうなのよ。
もう、私の怒りは頂点よ!
お世話になった人が私に助けを求めて来たのよ。
熱くなり過ぎちゃって、直ぐに行動を起こしていたの。迂闊にも後先を考えずにね。
フトモモに行先を聞いたら、恐らく雀荘だって言うの。
私は直ぐに雀荘に向ったの。早百合とフトモモも私の後に付いて来たわ。
その時よ、何故かその途中で、偶然私の後を追って来た。梢と会ったの
凄い偶然だったわ」
<つづく>