第1話
7月中旬
「じゃあ、今日で夏休み前の授業は終わるが、ハメを外しすぎるなよー」
「「「はーーーーい!!!」」」
ん…………………あれ、授業終わった?
よし。帰ろう。
みんな、楽しそうだなぁ。夏休みか。みんなはあれか、海か?山か?陽キャの皆さんはわいわいするイベントも多いんだろうな。
まぁ、1人が好きな僕には関係なんてない話だけど。
「え、ねぇ?高田も誘う?」
ん、なんで僕の名前?
「おーい高田ー。高田ー?高田ー!」
「いや、起きてるって」
「おわ?!起きてんのかよ!」
「で、どうしたのさ」
「あ、いやさ、夏休みにクラスのメンバー集めてカラオケでも行こうかと思ってんだけど…高田…来るか?」
あー、そういう系ね、結局人数がたくさんになっちゃって部屋が別れるやつだ。男女でキャッキャウフフするやつか。
「あー、ごめん、俺はいいよ」
「そうか。わかった」
(ほらぁ、高田なんて誘っても面白くないし、声かけても来ないんだから最初から声かけるなしw)
なんか聞こえる。クラスの元気女子さんたちか。
まぁ否定はしないな、別にそっちのやつに参加したいとも思わないし、僕は1人で家でダラダラ出来ていればいいや。
「じゃあな、また夏休み明け」
「え、あ、うん」
女子の元に帰る君。なんか君だけは僕のことを構うよね。そんなことしなくていいのに。
さて、授業も終わったし、家帰って何しよ。漫画かな、ゲームかな、あ、お昼寝もいいな。
帰ろ。
変わりないはずの僕の日常に、彼が踏み込んできてから、変わり始めるなんて思いもしなかった。