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心に救済を!平穏を!安らぎを!  作者: 孵化機
第1章.ここは?私は?
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EP.4~いわか?~


『おやすみ』

その一言で眠りへと誘われるーーーはずだった…


 目を閉じて、寝つけない息苦しさに困惑しながら思考を巡らせる。考えている内に疲れて、睡眠モードに突入する。その算段だ。

 やはり変だ、何かがおかしい。今日は起きてからずっと違和感しか覚えていない。


 それ以前も、ましてや昨日のことすらも忘れている。今日の行動すら私は認識していない部分がある。私には記憶というものが無いのだろうか?


 ………でも、()()()()()()()


何故って?《覚えていない事を覚えている》

これってさ、以前の記憶があるからこそ分かるんだよね!

私には、私としての記憶は存在しない!

だから未来はあるけど過去は無い。

これって生まれたてと同じだよね!


 しかし、無性に腹が立つ。落ち着かない。進展も無ければ、いざ寝ようって時に寝ることすらもままならない。周りが賑わい、人々は交流を楽しんでるってのに…



          ()()()()()



もしかしたら…私って、こんな無の時間を永遠と過ごして来たのかな?

何も変化しないし、何も干渉しない…

私は本当に存在しているの?


 突如として世界が暗転し、人々の賑わいも街の風景も闇に呑み込まれる。


°°°°°°°°°°°°°°°°°°


 今日は冒険者登録の日、多くの希望と夢を胸に新しい生活が始まる。若干の緊張と不安感に足が震える。


私はここでやっていけるのだろうか?


 勇気を振り絞りギルドへの門をくぐる。


 「はじめまして!ですよね?受付はこちらです!」

 活発そうな女性の歓迎に少し安心するも、その足取りは重い。周囲の目が気になる。


 いかにも強者って感じの人が多く、ピリピリとした空気がひしひしと伝わってくる。

 正直こわい。その気持ちを抑え、足を運ぶ。

 

 「は、はじめましてぇ…」

 「はじめまして!私、受付担当のクリークと申します!本日の御用件をお伺いします!」

 元気が良く覇気のある姿が少し羨ましく思えた。


 「あのぉ…冒険者登録をお願いしたいのだけどぉ…」

 「はい!登録ですね!かしこまりました!」

 冒険者登録ーーーこれは冒険者にとっての保険だ。

別に登録しなくとも依頼を受ける事は可能で、ダンジョンなどで手にいれた物品も市場などで換金することも出来る。


 ただ…この街は治安がよくない。

 住民の人の良さとは裏腹に、このような噂が多く疑問に思う。なんかよくわからない。

 とりあえず、冒険者として登録しとくべき。これがこの街に住む者の暗黙の了解らしい。多くの者が安全面を考慮して、14~15歳頃には登録を済ませている。


 「《現実途中モード》から《主軸遂行モード》へ移行してく形になりますがよろしいでしょうか?」

 「えぇ…?何が違うのぉ?」

 「簡単に説明しますと、とりあえず入ってみて納得できるか考えてみてね!つまり保険の保険です。危険の伴う職業ですし、この街には他にも職業はありますので急いで考えなくてもよろしいかと。」


 なんかここも胡散臭いな

そう思った。しかし、他に宛があるわけでも無い。


 「分かったわぁ…んじゃ、それで登録お願ぁい…」

 正直何もわからなかった。冒険者って危ないんだな。今はそれだけを心に留めよう、別に冒険なんてしなくてもいいし。


 「かしこまりました!では登録致します!お名前の御記入をお願い致します!」

 「はあぃ…わかりましたぁ…」

 ペンと紙を差し出され、そこに記入する。


"トゥーノ"


 「トゥーノさんですね?お間違え無いでしょうか?」

 「では登録料として5モネイ頂きます。」


 腰に着いてる袋の中身を確認する。

ーーーぴったりだ。


 登録料を支払い、手続きを終える。


 「それでは!良きライフを御過ごし下さい!」


 こうして夢と希望に未知溢れた冒険者としての生活が始まった。

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