EP.3~おやす?~
「ねっむ~い…」
慣れない環境にいるから?
色々考え過ぎた結果かな?
それとも、不安に怯えて疲れているから?
とにもかくにも睡魔が襲う。
こんな状況なのにすっごく眠い。
ついさっき起きたばかり。それなのに眠い。
「そういえばぁ…いつ街に着いたの~?」
「なぁんでぇ…こんなにぃ眠ぅいのぉ…?」
「不っ思議だなあ~」
独り言を呟きつつ私は寝床を探し回る。当然、誰にも聞こえていない(はず)。
寝て何か解決する?解決するのだろう。
最も、何の進展も無く寝て解決するーーーそんな好都合な事
なんてあるはずがない。
「おっかしぃなあ…私はどこを歩いているの?どこに向かってるの?」
小路に入ったり、大通り沿いを歩いてみたり、
大通りの先にある立派な建物に向かってみたり…
"疲れた"
「あれ?まったぁ同じ場所ぉ…!?」
どこへ行っても、どこを探しても
不思議な事に、
【私は歩いていない】
私は、ずっと到着地点にいた。
「おかしい…同じ場所?に戻っている?」
「へ~んなの~…へ~んなの~…へ~んな…」
馬鹿馬鹿しい。
泣いた
ただひたすら泣いた。いったい私の努力は何だったのか?
この世界は私を寝かせることすらも許してくれない…
意地でも寝てやる!!!
深い執念と眠気、絶え間ない不安感、不安定な思考と安定した混乱による疲弊で心が悲鳴をあげていた。
◎◎◎◎◎◎◎
実際のところパニックは恐ろしい。
自分の置かれている状況が分かる、状況の先が読める。
安定した状況下に置かれているとは幸運なことだ。
最も、『突然』安定から不安定に転化するからこそ
パニックになるのだけど。
常時パニックはむしろ安定した状況下ともいえよう。
ーーーパニックも複数あるけどね?
◎◎◎◎◎◎◎
静かな場所で眠る。この目的を果たせない絶望は大きい。
「1に睡眠!2に惰眠!3が二度寝で、次にうたた寝!最後にお昼寝!!!」
流石に、永眠だけは無いと思った。
起きている時間があるからこそ、眠る時間が楽しい!
そう思わない?
私はとにかく眠い人らしい。
その事が分かって少しほっとした。
「私って何なの~?ここは何~?わっからな~い…」
とにかく眠る為に行動を起こそう!少しやる気が出た。
ーーー相変わらず辺りは騒がしい。慣れ…
「これだけ人もいれば騒がしいかぁ…」
人が多いと騒がしい。その事は理解していた。
ただ、寝たい。無性に寝たい。何故かはわからない。
「もう…めんどくさいなぁ…」
ただ歩き回っただけ。その自覚があるからこそ疲労感と眠気が増す。
どこへ行こうが、何か起こそうが、何も得られるものは無い。
同じ場所へ帰ってくる。それだけだ。
「詰んだ…」
ああ、世界は私を見放したのか…
私はその場にうずくまった。
足も痛いし、すごく眠い、私と他はお互い影響無し。
なんなら踏まれようが、蹴飛ばされようが関係ないよね?
ど~せ私は空気と一緒よ~だ!!!
ふ…ふんっ!!もういい!もういい!
ここで寝よう!
プライドは捨てた。安いプライドだこと。
色々ぶれているかも知れない。でもそれでもいい。
私自体がぶれているブレブレ人間なのだから。
安いプライドを全てかなぐり捨てて
ここで眠る方針に決めた。
「おやすみなさあい」