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7.クロスとマルクは似た者同士?

 マルクはもともと王城で国王陛下の元に仕えていました。

ですが、それほど高い身分ではなく、下働きのような仕事を押し付けられていました。

ある時王城に赴いた公爵は風に流されてきた書類を拾いました。

城の会計報告だったのですが…その内容は雑で、城に仕えるものが作ったとは思えません。

クロスに言いつけて、書類を作成した人を連れて来させました。

 そうして連れて来られたのがマルクです。

みんなが罰されるのを恐れ、マルクに全てを押し付けたのです。

「ふむ、この書類はそなたが作ったのだな?」

「…はい」

「これには不備が多すぎる。城に仕えるものとして恥を知れ」

「申し訳ございません」

「第一、重要書類が落ちていること自体おかしい」

「おっしゃる通りでございます」

申し開きをしないマルクに公爵は苛立ったように言葉を重ねようとした…が、公爵家飼いの筆頭家臣クロスがそれを遮った。

「僭越ながら申し上げます。この書類の作り手はこの者ではないでしょう」

「…どう言うことだ?」

「王城にカナト様が手本にしていると言う表を書いたものがおります」

「だからなんだ?」

「あくまで私の考えですが、それはこの者ではないかと」

「…なぜそう思った?」

「左利きの文官は珍しいのです。噂によると、家が下級貴族であることから見下されているものの、とても美しい字を書き、書類作成に優れ、文官としての能力はこの上なく、下級貴族のわりに祝福も多く、カルティナの民ではないかと言われています」

公爵に耳打ちして、黒い笑みを浮かべてクロスがマルクを見る。

書類仕事を片付けられる文官は欲しい、それがありありと浮かんで見えた。

「そうか、クロスがそこまで言うのは珍しいな」

公爵はクロスの表情を読み、こちらも人の悪い笑みを浮かべた。

「マルク、と申したか?」

「はい」

「私の屋敷にこい」

「ですが…」

マルクの瞳には微かな恐怖がうつっている。

「今回のこと…王に報告されたいか?」

「っ、いえ。公爵様の仰せの通りにいたします」

 こうしてマルクは公爵家へ入った。

立っている人は親でも仕え精神のクロスにとっては格好の獲物。

マルクのこき使われる日々は始まった。


 そうして鍛えられたマルクはもともとの能力も相まって、クロスといい勝負の能力を身につけ、仕事人間とかしたのだ。

マルクにとって診療所で過ごした暇な時間は苦痛であった。

仕事をしていないと落ち着かない。

クロスとマルクは師弟で似た者同士になったのだ。

まぁ、クロスは黒い笑顔、マルクは爽やかな笑顔という点は微塵も似ていないのだが。

 クロスはマルクをよくいじめる。

公爵にバレないようにこっそり。

マルク本人も気がつかないように。

例えば、面倒ごとを起こすミアトの側近にしたり…である。

もっともな理由をつけて指示すればマルクは従う。

そしてたいていの場合面倒ごとをさらっと片付けてくるのだ。

クロスはそんなマルクを可愛がっている。

今もマルクはクロスの獲物なのであった。


ごめんなさい、予告と違います。なんとなくクロスとマルクについて書きたくなってしまいました。

次回こそは…!

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