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0.三界の間で
これはまだ、天界、人間界、魔界のつながりが強く、調和を保ちながらもそれぞれの世界が支えあっていた頃の物語である。
天界には天族と呼ばれる者たちが暮らし、魔界には魔族が暮らしていた。
そして三界の間にある人間界には、天族の加護を受け天族と同じ姿を持って生まれた者たちが暮らした。
太陽の瞳を持つ天族、夜の瞳を持つ魔族、天族の祝福と加護によって生きている人間。
各種族同士は必要最低限の接触しかせず、用があっても使いの生き物を使うのが普通であった。
だがある時、天族に祝福された地カルティナの王位に清く美しい魂を持つ人間が即位した。
天族の司る光に限りなく近い色の髪を持つ青年。
天族の加護を多く受けるその王を祝福するために天王とその末娘がカルティナに降り立った。
その時訪れた天族の姫は新しき国王と恋に落ち、一人の御子を授かった。
やがて生まれてきたのは天族の瞳と髪を備えた美しい姫であった。
名はルキア。
まさしく天の恩恵を受けし姫君であった。
初めまして。Sena Kisuiです。宜しくお願いします。