物資
討伐隊の編成について話したからには、そこに積み込まれた物資の話をしなければなるまい。参加者は百三十。それぞれ役割があり、手が余る者は誰もいない。これが予定では一ヶ月の行程を踏むことになっているのだから、必要な物資は食料に水だけでもかなりのものになる。陸上を行くとはいえ砂漠気候であるから、それは航海にも似る。補給に立ち寄る街もあるが、その間の数日~数週間は耐えなければならないわけだ。
具体的には一日の水消費量を五フント。腐敗に備えカルキが投入されるため美味い水では無い。そのためこの五フントの水は調理用として使われ、飲料としては別に運ばれるワインが好まれる。ワインは一〇フントが消費される計算になる。一般生活では尋常で無い量だが、竜狩りたちはこれを飲み干してしまう。
食料は過去の航海に比べればかなりマシだと言える。野菜は塩漬けキャベツを筆頭にピクルス中心となるが一フントは支給される。肉も塩漬けかコンビーフとしてやはり一フント程度。これに小麦粉から焼いたパンがやはり一フント。海の上に比べ小麦粉を持ち運び調理できるのはやはり大きい。これが基礎となり、長期保存できる豆類と熟していない果物が加わるのだから、行程中に飢えることは近年ではほぼないと言っていいだろう。
さらに個人で追加食料を持ち込むのも当然とされていた。嗜好品によってやる気も変わる。チョコレートや砂糖、蜂蜜が持ち込まれる場合が多い。またチーズは慣習として個人で持ち込むことになっていた。これは支給品のチーズを何にするかでもめた歴史があるためらしい。白カビ、青カビは言うに及ばず、チーズダニによる熟成、ウジをわかせたものなど長期保存の利く種類を竜狩りたちは食べ比べてきたのだそうだ。私も勧められてオレンジ色で堅く熟成されたチーズをひと玉持ち込むことにした。
そして今回の討伐行では補給のためにいくつかオアシスの街に立ち寄ることも決まっている。まず旅という点においては恐れるものは何もないように思えた。




