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ナイビット・カイラスの言葉

 臣民よ、静粛に。静粛に。何を諸君らが驚き、何を思っているか私にはわかる。しかし、しばし、しばしでよい、傾聴せよ。

 聞け。傾聴。

 我が身体を見ての嘆きか、嫌悪か。それが嫌悪であっても私はその心持ちを尊重しよう。そうだ、我が醜悪なる新たなる半身とでも言おうか。私もそれを目撃した一人として、最初に嫌悪感を抱いた者であると宣言しよう。そうだ、諸君らよりも先に私は私を嫌悪し、絶望した。その由、記憶し、私の言葉をなお心に刻むがよい。

 これぞ我が半身。これぞ醜くも強く、思い通りに動く科学の極限である。見よ。この通り身体は自由に動く。私は半身を傷つけられ、これを失ったが、代わりに機械の半身を得た。まさに肉体と機械の融合! これこそが人の進むべき新たな道である可能性もあろう。それほどに自由に動くのだ! 以前よりも力強いのだ! この機械の半身は。

 さて、ここで改めて皆に私の不在を詫びよう。私は怪我をし、その快復とこの半身の完成まで伏せっていた。その間の生活で様々に意に沿わぬこともあったろう。まことに申し訳しようもない。これよりはいままでよりも皆の声をよく聞き、政を行うこととしよう。私はこれまでより活力に満ちている。これよりは皆の暮らしもよくなるだろう。そのために努めることを約束しよう。

 しかしながら、その前に私には行わなければならないことがある。無論、この身体を傷つけたものへの報復である。つまり、かの邪竜、プトキ・ルルを退治せねばならぬ。

 先ほど、皆の暮らし向きを良くする政を約束したばかりであるが、それに反するような言やいかに、と考える者もいよう。それはまことに正しい。だが、私はここに宣言しなくてはならない。これはただの復讐ではないことを。私がプトキ・ルルを狩ることこそが、皆の未来に繋がっているのだ。それはこの都市の主産業が竜により成り立っていることのみならず、プトキ・ルルのその身体が卓越した金属素材となることにある。

 諸君、この半身はプトキ・ルルの鱗より精製されたものだ!

 竜の大きさにより素材に差があることは、つとに知られていようが、最大の竜たるプトキ・ルルの鱗、最上級の輝きを持つものであることがここに証明されたのだ。これはいずれ人類の資産となろう。それも邪竜が倒されればこそだ。

 だが私はこの身の非才により多くの勇敢なる竜狩りを失った。すでに皆が悼んではいたが、ここに哀悼の意を表し、再度私が竜狩りを招集すれば、先のような被害は出さぬと約束しよう。そして、諸君、竜狩りの再招集はすでに行われており、これが出立する日はそう遠くはない。私も再び指揮を執り、反省とともに完璧な勝利を見せる。それが死せる竜狩りたちへの最高の供養となるだろう。

 私はここに宣言する。いや、宣言しなくてはならない! 人類は科学の力で自然を征服するべきであると! これまで人類は自然と闘い、これを征服してきた。神人はこれをただ傍観してきた。神人はその書物に多くの知恵を蓄えていたにもかかわらず、古い因習にとらわれ、ただ人類を穏やかに見守るに任せてきた。その結果が今だ。人間主義者たちは真の科学を知らぬのに、科学を欲望のままに使うことに躊躇せぬ構えを見せている。彼らに神人の真の科学を見せなければならない。その時は到来した。神人の秘匿してきた技術は解放され、共有のものとなるだろう! プトキ・ルルを倒すために!

 再び宣言しよう。プトキ・ルルを倒すことが新しい時代を作る契機となると!

 皆も私の話を聞いたならば、恐れることなく協力してくれるものと信じている。私の半身を恐れるなかれ。私は科学と肉体の融合なり。自然を征服する科学の象徴なり!

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