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【1】 きたぞモエモン!

寝る前に思いついたので、いま起きて1時間くらいで書きました。

 ある日、自室で発売されたばかりのゲーム『異世界で賢者タイム~ヴァルキリーメイドとご奉仕~』(有限会社むっちりソフト)をプレイしていた俺のケツの下。床全体が光り輝いて、よく見ると魔法陣を描いているのに気付いた。


 というかゲームに熱中していて、完全に魔法陣が描かれて光り輝くまで気が付かなかったのだが、まあそれはいい。

 完全に魔法陣の中に取り込まれていることに気付いた俺は――。


「ひゃほおぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~ッ!!! キタ━━━ヽ(゜∀゜ )ノ━━━!!!!」


 と、ヘッドフォンを外して、その場で小踊りした。


 きたよきたきた。異世界召喚!

 苦節十八年。いつかはこの糞みたいな現実から逃避……もとい、俺の真価が理解される世界へ召喚されることを夢見て、高校の必修では柔道ではなく剣道を選択し(初日でボコボコにされたので、以後はサボってたけど)、異世界で役立つ知識を習得するためにインターネット掲示板サイト『おにいちゃんねる・異世界に持って行けるならT●KIOが最高!』スレッドにも入り浸っていた。


 その努力がついに実る時が来たのだ~~っ!!


 で、わくわくしながらその場に正座をして待つこと三分少々――。


 えらく時間がかかるな……。なんか足が痺れたし、喉も渇いてきた。


 いい加減飽きてきた俺は、立ち上がって部屋を出て――普通に魔法陣から出られた――一階に降りて、冷蔵庫からペットボトルのコーラと、ダイニングのテーブルに置いてあったポテチの袋を両手に持って、二階の部屋に戻る。


「マサトシ、なにやってるの? さっきからドタバタと二階で煩いわよ」


 時間は夜の十時頃。企業戦士である親父は残業なのかまだ会社から戻っておらず(組織の歯車となって働かざるを得ない所詮は無能な一般ピープル。だが、選ばれた存在である俺は違う。これから異世界でチートでハーレムを築く予定なのだから)、居間でドラマ『Wで始まりZで終わる悲劇』(ダブル不倫の結果、すべてを失う主婦の悲劇を描いたドラマらしい。大丈夫だろうか、うちの夫婦関係は?)を食い入るように見入っていたお袋(四十二歳パート従業員)が、何も知らずに暢気にそんなことを聞いてくる。


「――ふっ。母さん、俺はこれから異世界へ旅立つんだ。悪いけど老後の面倒は見られそうにない。いまから施設に入居するための資金を貯金することをお勧めするぜ」


 最後の親孝行とばかり、俺は両親の行く末を案じてそう助言をしておいた。


「あっそ。まあ、異世界でもハワイでも、バイス○ンウェルでも、地底世界シュペ○ターでもなんでもいいけど、変な宗教とか団体にはのめり込まないでね。大体、電車で一時間半の地元三流私立とはいえ大学に入学したんだから、いい加減親元から独立してもおかしくはないんだし、親元にいつまでもいるとか外聞が悪くてしかたないわ。まだしも友達とかガールフレンドがひっきりなしに訪ねてくるとかなら格好もつくんだけど、あんたいつまでも陰キャで……」


 くどくど余計な説教をするお袋に背中を向けて、俺は仏心を出したことを後悔しながら部屋に戻る。

 ふっ、一人息子の偉大さを理解できない母親など、母親の資格はないな。

 これで後顧の憂いはなくなった。いざ行かん、希望の異世界へ!!


 そして部屋の扉を開けた俺の目に映ったのは、微かに残光が光っている床の魔法陣と、点けっ放しの画面の中で触手――もとい、モンスターに襲われている姫騎士のグラフィクを、思いっきり腰の引けた姿勢で眺めている、身長百四十センチそこその青髪で、そこに猫のようなケモノミミが付いたJS……いいとこ十一歳くらいの少女が眺めている光景だった。


「――な、なんじゃこりゃああああああああああああああああああああああっ!?!?」


 思わず絶叫すると、少女ははっと表情を改めて画面から視線を外すと、俺の方を向いて――うわっ、ビキニアーマー(つるぺた)だよ。そんでもって腰に下げている剣と、黒曜石を削り出して作ったような鈍器は本物ですよね!? どうみても銃刀法違反です、本当にありがとうございました。


「Daiignki å øqvg fgi, fw gt økp Jgttg?(お初にお目にかかる。あなたがマスターですか?)」


 得体の知れない言葉を喋るロリ騎士。聞いたこともない言葉なのに、同時翻訳されているように、日本語の意味が頭の中に流れ込んできた。


「え!? もしかして相手が来るパターン?! 聖○戦争とかに巻き込まれたわけ!?!」


 おもっきりビビる俺の手元から落ちたコーラとポテチを、興味深そうに眺めるロリ。


「……さっきから煩いって言ってるでしょう、マサトシ。ドラマの邪魔――っっっ!!!」


 と、そこへ空気を読まずに乱入してきたマッマが、エロゲ――もとい、佳境になったゲーム画面と、その前で片膝を突いている、どう見ても卑猥なコスプレしたJSにしか見えないロリ。

 そしてその前で頭を抱えている俺を確認して、大きく目を見開いた。


 そうして、即座に携帯を取り出すと、

「じ、事案っ! 息子が! キモオタ、陰キャ、引きこもりと役満揃った息子が、ついに性犯罪に手を染めてしまったわ! おまわりさん、こいつです!!」

 もの凄い勢いで警察に通報する。


「わあああああああああっ! 違う~~っ! こいつは異世界から召喚されてきた異世界人なんだ! 見ろや、この耳っ!」

「救急車~っ! ついでに黄色い救急車もお願いします! ついに息子が現実と妄想との境界線を越えてしまいました!」

「だから違うっつーの!」

「――いま帰ったぞ! だが、なんだとっ!! マサトシ! お前という奴は!!」

「あああっ、あなた。ごめんなさい、私の育て方が間違っていたために……」

「いや、こうなったのは俺の責任だ。世間様に顔向けが出来ない、こうなればこの場で俺が……」

「いやいやいやっ。ちょっと待って、パパン! なんで真剣を持ち出してるの!? パパンは居合い抜き四段ですよね~?」


 さっきまでの日常が吹っ飛んで、いきなり寺内貫太郎一家状態になった俺の部屋の中。元凶であるロリ騎士は、我関せずとばかり、床に落ちたコーラとポテチを拾って、起用に蓋をあけて飲み食いしながら、満足げに頷いていた。


 そうして、これが俺と異世界からきた魔法剣士モニーク・エイダ・モンテビアン。通称『モエモン』との出会いだった。

さすがにこれは続きを期待する声はないだろうな……。

評価や感想があれば奇蹟だと書き終えた後で思いました。

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