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魔王の視察2

「ふむ。面白い情報はありましたかラオルゥ」


「あまりないな。ルトラとシシーのせいで情報を話し合うどころではなくなったようだ。小声の話も我らに関することを避けて当りさわりのないことしか言っていなかった」


「完全な失敗ですね。仕方ありません。魔王様、この度は別行動をお願い致したいのですが」


「ああ、あまり問題起こすなよ?」


 この二人なら大丈夫だろうと判断して俺は二人を送り出す。

 残ったのは問題児中の問題児、シシルシとルトラである。


「くぅ、おのれシシルシ。やってくれたね!」


「あはは、ルトラちゃんあそこで問題起こしてたらあの二人に殺されてたよ。助けてあげたんだからお礼言ってほしいくらいなんだけどなぁ。ねぇ赤いおぢちゃん」


「あー、確かに情報調べに来たのに殲滅されたらイラッと来るだろうな。あの二人の気性からして邪魔になったら殺すか、程度にしか思わないだろうし、力持ったルトラとでも思えばいいんじゃないか?」


 あの二人に知られたらルトラと一緒にされるのは心外ですとか言われそうだけど。


「赤いおぢちゃん。どこ行く?」


「そうだな、とりあえず街中ぶらついて気まぐれに店覗いてみるか。魔族が店やってるかどうかすら知らないし」


「ふむ。僕様の時代ではそれなりに流通していたぞ。昔は人間族と仲が良かったらしくてその名残で商売が残っているのだ。我が時代では一部人間の街と流通していた場所もあったようだしな。全て潰してしまったから今はどうなっているかは知らんが」


『コイツ最悪だな。融和策失敗したらコイツ吊るしあげちまおうぜ?』


 いちいち悪趣味な事言うなよ武藤。とりあえず無視だ。


「あ、赤いおぢちゃん。あれ、あれ!」


 屋台を見付けたシシルシが俺を引っ張る。

 加減してくれているようで、腕が引きちぎられることはなかったが、彼女に引っ張られるとついつい身構えてしまう。

 シシルシに連れられてやってきたのは、焼き鳥屋のようなものだった。

 鳥かどうかは不明だが、とりあえずは焼き鳥と思っておこう。

 魔物の肉だろうことは確かだろうけど。


 とりあえず魔王達の分も含めて買ってやる。

 魔族領でのお金は魔王から貰ってるからな。ギュンター、有難く使わせて貰うぜ。

 ちなみに、酒場の金も俺が払って……そう言えばディアリッチオとラオルゥ、お金持ってたっけ?


 シシルシたちに聞いてみたけど、二人とも封印されてたからお金の類は持ってないらしい。

 ということは、自らの屋敷を持っていたディアリッチオが持ってなければあの二人も無一文の可能性が……

 一瞬、どうしようか迷った。だけど今更探したところで見つかるとも思えない。

 だから……俺は二人が金を持っているかどうかに気付かなかった。そういう事にしておこう。


 シシルシたちと三人で街中を見て回る。

 衣装を売っている所は防具屋と兼用らしい。

 折角だし皆の服でも選んでおくか。とりあえず先にこの二人の分だけでも。

 と防具屋に入った時だった。

 防具屋の片隅で、三人の男女が女性モノの服を前にしてなにやら楽しげにしているのを見付けた。


「いい、いいわ。さすが人間、この辺りの服も合うのね!」


「こう言うのは……好きじゃない」


 不意に、聞き覚えのある声が聞こえた気がした。

 魔族の女性が舞い上がるように服を選んでいる場所を見てみると、執事と思しき男と令嬢と思われる魔族の女。そして、疲れた顔で魔法少女のような服を着せられている見知った顔。


「矢鵺歌?」


「……え?」


 不意に出た俺の言葉に目ざとく反応し、矢鵺歌は俺に視線を向けた。


「武藤……誠? うそ、なんで……生きて……」


 突然感極まったように涙を零し出した矢鵺歌はその場に座り込んでしまう。

 驚き戸惑う魔族の女性、そして困った顔になる執事の男。


「あら、あらあらあら? なんですの? お知り合いですの? あら、あらあらあら? もしかして貴方も人間ですの? いいですわいいですわ。わたくしがペットにして差し上げましてよ! じぃ!」


「はい。ステータス強制表示」


 魔族の女に呼ばれた爺とやらは俺に向ってステータスを強制的に表示させた。

 突然だったので対策も何も出来なかった。


「むぅ……!?」


「あはは。赤いおじちゃんステータス見られてるよー」


「ああ、そうなんだが……俺真名無効持ってるからなぁ」


 真名で操られることはない。そればかりか、おそらく……

 青い顔をし始めた爺は片膝付いてその場に傅く。

 戸惑うお嬢様は完全無視だ。


「ちょ、ちょっとじぃ?」


「お嬢様、魔王陛下の御前にございます。臣下の礼を」


「は? え? 魔王、え? ええ? えええええええええええええええええええええっ!?」


 意味が分からず俺と爺を見比べるお嬢様。驚きの声を上げ、思考の全てを手放しぱたりと倒れた。

 呆然しながらもお嬢様を受け止める矢鵺歌。

 うん、これ、収拾付かなくなった気がする。

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